『2024マンション関連10大ニュース』~「管理不全」対策急も法改正は持ち越し~

投稿日:2024年12月21日 作成者:右田 順久 (52 ヒット)

 

2024年 マンション関連10大ニュース(マンション管理新聞)
1 注目集める「管理業者管理者方式」法制化へ
2 区分所有法改正 要綱答申も法案未提出
3 財産管理制度 自治体に申し立て権限付与へ
4 「引き上げ幅」不採用もガイドラインに反映
5 「置き配」でポイントも。、標準管理規約改正
6 適正化推進計画 東京・大阪が全域で策定
7 共用部分リフォーム融資 受理金額が最高額を更新
8 相次ぐ地震 マンション被害も
9 被害額9億円超 最大級の横領事件に発展
10 管理計画認定マンション 1500件超える

 

元日の能登半島地震で始まった2024年。標準管理規約が3年ぶりに改正され各種ガイドラインも改定。「管理業者管理者方式」の法制化に向け議論がスタートした。横領事件過去最大級の被害も明らかに。(以下、1~5大ニュースの詳細記事を抜粋し掲載。)

1 注目集める管理業者管理方式 法制化へ

国土交通省はマンション管理業者が区分所有法上の管理者に就任する「管理業者管理者方式」の法制化に向け議論を始めた。6月7日美に策定・公表した「マンション管理における外部管理者方式等に関するガイドライン」にのっとった「適正な運営を法制度上担保する観点」からマンション管理適正化法を改正し一定の実行力を持たせるのが狙い。同方式も検討対象としたマンション政策小委員会を10月に設置した。利益相反取引に対する区分所有者の保護などの視点で議論していく。12月20日の第3回会合で取り纏め案を示す予定だ。ガイドラインには同方式の留意点などが盛り込まれた。監事に外部専門家を導入ほか、利益相反取引等について日常管理における工事や取引発注で契約金額が総会決議や管理規約で定める今額以上は総会での承認を必須とすることなどが示された。
公益財団法人マンション管委センターはガイドラインを受け検討会を設置し予備認定基準の追加に着手。9月の取りまとめ案では管理規約案への「利益相反取引の制限」規定などが示されたが印鑑と通帳の同時保管禁止は見送った。10月の取りまとめでは歴相反の対象に監事を加えるなどの」修正を施した。来年2月から適用する。

2 区分所有法改正 要綱答申も法案未提出

法務省が目指していた今年の通常国会への区分所有法改正案提出が見送られた。
区分所有法制見直しを審議する法制審議会区分所有法制部会は1月16日の第17回会議で区分所有法等の改正に関する要綱案を審議し全会一致で決定。2月15日の法制審議会の総会で同要綱を全会一致で原案通り採択した。同日に法制審が法務大臣に答申した。当時、通常国会への提出を目指し時期は検討中としていたが、未提出となった。
同省秘書課は11月28日に召集された第216回臨時国会に改正法案を提出するかどうかについて「提出する法案については現在調整中で、現時点ではお答えできるものは何もないと」と話している。同課によれば改正法案を閣議に上程するかどうかも調整中。「それ以上お答えできることがない」(同課)と明らかにしなかった。臨時国会に提出しなかった場合、来年の通常国会に提出するかどうかもまだ調整中(同)としている。
要綱の中身を巡っては議論が活発だ、日本弁護士連合会(日弁連)は6月にシンポジウムを開催。区分所有法改正で重要な論点に上がっている「共用部分等に係る請求権の行使の円滑化」について、区分所有権の譲渡に伴い共用部分に係る損害賠償請求権も移転する「当然承継」採用を求めた。

3 財産管理制度 自治体に申し立て権限付与へ

 国土交通省は区分所有法の見直し要綱で創設が想定されている、専有・共用部分の管理制度について地方自治体にも申し立て権限を与える方針を固めた。マンション管理適正化法を改正し、特例をとして権限を付与する。6月10日に開かれた「所有者不明土地等対策の推進会議」で所有者不明等のマンションの再生などを円滑化する視点からマンション管理適正化法・同建替え円滑化法を見直す方針が示された。
この日提示された資料では、管理不全状態を是正しようと地方自治体が助言・指導・勧告を行っても「必ずしもマンションにおける合意形成ができるわけではなく、是正に至らない」と課題を指摘。管理不全マンションの是正に向けた自治体の権限強化のための方策として示された。
区分所有法制の見直しに関する要綱で示された「所有者不明専有部分管理制度」「管理不全専有部分管理制度」「管理不全共用部分管理制度」は、利害関係人の請求で裁判所が管理人を選任するが、同省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付は「地方公共団体であってもできるように適正化法に位置づけたい」と話している。 

4 「引き上げ幅」不採用も ガイドラインに反映

国土交通省の「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」で議論した管理計画認定制基準の見直しでは段階増額積み立て方式の積み上げ幅に注目が集まったが基準化は見送られた。

同省は均等積に立て方式にいた場合の月額を基準額とし、計画の暑気額は基準額の「0.6倍以上」、最終額は基準額の「1.1倍」以上とする考えを提示していた。3月26日の取りまとめ案では、「基準」とせず「適切な引き上げの考え方」にとどまったが、6月7日に改定された『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』には追加された。 

5 「置き配」でポイントも 標準管理規約改正

国土交通省は6月7日、マンション管理標準規約(単棟型・団地型複合用途型)を改正・公表した。同日、標準管理規約とは別に「置き配」に関する使用細則を定める際のポイント」も公表した。改正は3年ぶり。
置き配のポイントでは時間帯や宅配物を置くことが可能な場所、所定の場所に留め置くことができる期間、ルールに違反した場合の対応などを具体的に定めることを挙げた。
標準管理規約に置き配を入れなかった理由はについて同省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付は、「今まで他の使用細則のポイントを一切載せてないので」と説明している。標準管理規約は管理組合名簿・居住者名簿の作成、更新の仕組み、所在者等が判明しない区分所有者への対応、修繕積立金の変更などが盛り込まれた。

(マンション管理新聞:令和6年12月15・25日合併号の記事より抜粋)


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