マンション管理費 激論「祭り支出反対」・「災害時に必須」 ~『コミュニティ推進』 国が削除方針

投稿日:2015年09月30日 作成者:右田 順久 (2615 ヒット)

マンションの管理費をめぐる国の指針で、住民のコミュニティ作りを進める項目を国が削除しようとしている。管理費を地域の祭りや懇親会に支出することに住の賛否が割れ、トラブルが生じているためだ。管理組合の団体は「災害時などに向け、住民交流は欠かせない」と反発する。

「近隣住民の皆さんも奮ってご参加ください」。都内のマンションで7月、管理組合主催の夏祭りの案内が掲示された。「なぜ、マンション以外の人の費用を負担する必要があるのか」。住民の男性は不信を抱き、参加を見送った。埼玉県のマンションでは、予算10万円で開いた夏祭りで酒が振る舞われ、理事の知人の政治家があいさつした。参加者から「管理費の使い方としておかしい」との声があった。
管理組合の活動で、住民交流を進める催しへの支出にトラブルが目立っている。公益財団法人「マンション管理センター」には、近隣自治会への香典の支出や住民の飲食費への支出などについて昨年度、378件の相談が寄せられた。有識者でつくる国土交通省の検討会は、各地のマンション管理組合が規約を作る際の指針「標準管理規約」について議論してきた。焦点の一つは「コミュニティー条項」。住民や地域の交流を深めるため、2004年に「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティー形成」を盛り込んだが、今年3月、削除する報告書をまとめた。
高齢化などで管理組合の役員のなり手が減る中で、管理費の使い道をめぐる訴訟のリスもあるため、国交省は条項を削除する方針だ。10月、パブリックコメントを募る。
一方、22万世帯からなる国内最大の管理組合の団体「全国マンション管理組合連合会」は反発する。川上湛永事務局長は「日常生活だけでなく、災害時に備えたコミュニティ―作りは欠かせない」という。
管理組合は騒音や水漏れなどに対応し、日ごろの住民交流がもめ事の解決に役立っている。条項がなくなると、交流の催しに反対する住民に説明しにくくなる。指針は強制ではないが、国交省の調べでは過去4回の指針変更で全国の管理組合の約8割が変更点を反映してきた。ここ数年、マンション建設は年10万戸を超え、新たな管理組合は指針に沿った規約を作る可能性が高い。
首都圏と大阪府の計13マンション管理組合(9309戸)は5月、条項削除に反対する意見書を国交省に出した。一般社団法人「マンション管理業協会」も「地域との連携は防災活動などに効果がある」と訴える。
(朝日新聞:平成27年9月30日付(朝刊))


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