管理促進計画案で質疑<適正化法との整合性も検討>東京都議会〜3/16都市整備委員会・敷地売却「効果的な支援策も」〜
東京都議会第1回定例会は3月16日、都市整備委員会が開かれ、4月に全面施行するマンション管理条例で知事が策定する決まりの「東京マンション管理・再生促進計画」(素案)などについて質疑があった。
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森口つかさ都議(都ファースト)は、素案の届け出制度の強化などについて質問。マンション管理適正化法・マンション建替え円滑化法の改正法案を見据えた見解も尋ねた。
栗谷川哲雄・民間住宅施策推進担当部長は、4月から「分譲マンション総合相談窓口」の相談員を2人に増員し、月1回土・日曜の開設や毎週水曜日の開設時間の延長による体制強化を挙げた。
法改正については、「改正マンション管理適正化法に基づく計画との整合性の検討や、敷地売却制度等に係る効果的な支援策の検討、調査など改正法案の内容を踏まえ必要となる準備を進めていく」と答弁した。中村ひろし都議(立憲民主)は、成果指標で要届け出割合を2025年度末に80%とした理由や、耐震診断の実施率(おおむね100%」の把握・達成方法、空き家問題への対応などを質問した。栗谷川部長は、届け出制度を先行している豊島区が「制度施行5年間で7割程度であったことなどを参考に設定した」と述べた。 耐震診断の実施は届け出内容等で測定し、現行の派遣事業で働き掛けると答弁したが、中村都議は届け出の目標が80%なら「全体でも80%ではないか」などと指摘した。
空き家問題は、従来の相談対応のほか現行の『マンション管理ガイドライン』を3月に改定して作成する『マンション管理ガイドブック』で「相続されない場合の対応を記載するなどし、意識向上を図る」と答弁した。曽根はじめ都議(共産)は、素案の「まちづくりと連携した老朽化マンション等の再生」で、再開発等にマンションが巻き込まれ「区分所有者の権利を不当に侵害することがないよう歯止めが必要だ」と指摘した。管理状況の届け出等に関する事務の区市町村への委譲に伴う交付金などに触れ、昨年の台風19号による浸水被害など防災の問題や取り組みについて質問した。栗谷川部長は、地下の電気設備が浸水した問題を踏まえ、同ガイドブックで「風水害対策についての解説を掲載する予定」と述べた。
届け出事項の防災への取り組みでは、管理組合の了承を得た上で都のマンションポータルサイトに事例を掲載し「普及啓発を図る」と答えた。交付金は「対象事務を区市町村で処理した件数に応じて都から事務処理特例交付金として支払うことになっている」と答弁した。
奥澤高広都議(東京みらい)は「消費者の普及啓発」や「地域コミュニティーの形成」を増やすための取り組みなどを質問。栗谷川部長は、3月に『安心して住宅を売買するためのガイドブック(マンション編)』を改定し「管理や取引に関する知識向上に取り組む」と述べた。地域コミュニティーの形成は防災同様、同サイトへの事例の掲載などを挙げた。 菅野弘一都議(自民)は老朽マンション対策で都の「マンション再生まちづくり制度」の普及が重要だと指摘。栗谷川部長は「管理組合が決議等の手続きを円滑に進められるよう支援し再生を促進する」などと述べた。
(マンション管理新聞・令和2年3月25日付)