『要除却認定』基準を議論、国交省が検討会設置〜5/13第1回会合、今年12月施行へ、「配管」は「スラブ下」排水管対象〜

投稿日:2021年05月18日 作成者:右田 順久 (1009 ヒット)

国土交通省は改正マンション建替え円滑化法で拡充された要除却認定の具体的な基準を議論する「要除却認定基準に関する検討会」を設置し、5月13日、第1回会合をウェブ会議形式で開いた。
同省マンション政策室によれば、同基準は意見公募(パブリックコメント)を経て、秋ごろまでに告示や一部を省令で定める予定。同室は、この日の検討会で要除却認定の拡充について「本年12月の施行を想定している」と明らかにした。検討会は8月までに全3回の開催を予定している。

委員は計5人。他に協力委員として国交省国土技術政策総合研究所の職員ら6人が参加している。座長は首都大学東京の深尾精一名誉教授。
当日は、要除却認定基準の方向性が提示された。外壁等剥落(102条2項3号)の基準の考え方では、RC造のマンションで劣化事象が目視で観測された場合に一定の鉄筋の腐食が発生しているか可能性が高いことを判定する基準としたい、と説明し判定式も示した。
判定は部位単位で四面の壁、階段室、バルコニー、片廊下、その他被庇の計8部位で行うとした。
火災に対する安全性不足(同2号)では、建築基準法の防火や避難関係の規定に適合していない既存不適格のうち、簡単な修繕で適合させることが困難なマンションを対象とすると示した。改修が可能な内装や非常用照明の設置等は対象外。
配管設備の腐食等(同4号)は、階下の天井裏を通る、いわゆるスラブ下排水管で、複数個所で漏水が生じていることを対象にするとした。給水管やガス管は「施工の困難さや衛生面での影響は小さいと考えられる」とし、対象外とした。
バリアフリー基準に不適合(同5号)は、バリアフリー法の建築物移動等円滑化基準の一部に不適合で、容易に修繕ができないものを対象にするとした。対象外として手すり設置などを挙げた。自治体が条例で基準を強化している場合は当該基準を適用する。こうした基準に適合しない建て替えについては「容積率緩和特例の対象外とする運用にしたい」と述べた。
この日の議論では、複数の委員から外壁等剥落等を判定する技術者がどういった人を想定しているかについて質問が出た。
同室は、外壁等剥落は「建築士をまずは考えているが、それ以外は検討中」とし、配管設備の腐食等については「建築設備士も対象になってくるのではないかと考えている」と述べた。
河野守委員は、外壁等剥落の調査箇所数についてルールがあるのかと尋ねた。同室は「例えば、南面と北面の外壁だと1住戸当たり1つのグリッドというふうに考えて、東面や西面は1住戸を縦に二つに割って2グリッドと考えている」と説明した。高さ4階建てのケースで「南面外壁で24グリッドというイメージ」とした。
大塚雅之委員は、配管設備の腐食等の判定は「他と比べてラフというか、判断の基準をどうみているか」と指摘。同室は「特殊事例で1カ所だけ漏水していることはあり得るが、数カ所の漏水は配管がかなり老朽化していると考えられるのではないかと考えて基準案とした」と述べた。

(マンション管理新聞:令和3年5月15日付の記事より抜粋)


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