『住宅マスタープラン案』東京都公表~適正管理・再生を促進・2月26日まで意見受け付け〜
30年以上の長期修繕計画(長計)に基づく修繕積立金額を設定している管理組合の割合、2030年度末には全体の8割に―。東京都が1月27日に公表した住宅マステタープランの改定で、こんな政策指標が掲げられた。
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従来のマスタープランでは長計の設定期間は25年だったが、今回の見直しで30年に改められる形だ。管理状況の届け出を行った「要届け出マンション」の割合は、30年度末までに100%を目指す。同プラン案に示された政策指標を(下表を参照)示した。関連する観測・実況指標として建て替え等の件数なども提示している。
実況指標は他に大規模災害への備えとして一定の取り組みを実施しているマンションの割合を提示。災害時のマニュアルを作成しているマンションの割合は31%だとしている。
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案では「安全で良質なマンションストックの形成」を目標に、2大施策としてマンションの適正な管理と老朽マンション等の再生の促進を提示。
「適正な管理」では管理不全の兆候があるマンションに専門家を派遣し長計作成等の支援を行う。第三者管理者方式の円滑な導入支援、ITを活用した総会・理事会が開催できることを普及する、などを具体的施策として掲げた。
管理計画認定制度では認定取得を支援し、また認定情報や管理が良好なマンションに関する情報を「マンションポータルサイト」などで発信する。
「再生」は建て替え計画等の検討支援などに加え、専有部分を集会室やテレワーク用のコワーキングスペースなどに改修し共用部分に変更する場合の合意形成の要件緩和などについて国に要請する、としている。
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「環境性能の向上」として太陽光発電・電気自動車充電設備設置の促進、アドバイザー派遣などを挙げた。
敷地内に太陽光発電設備を設置できない場合は隔地での設置や再エネ由来電力の共同購入の促進など、管理組合が環境性能向上の手法を選択できるよう支援に取り組む、などとしている。
ほかでは優良な管理が行われているマンションが市場で適切に評価されるよう「価格査定マニュアル」(公益財団法人不動産流通推進センター作成)に維持管理に関する査定条件の充実等を図るよう、同センターや国に要請するなどの施策も掲げた。計画期間は21~30年度。年度内の策定を予定している。
案は住宅政策本部のホームページなどで閲覧できる。意見は2月26日まで受け付ける。(詳細は同ホームページを参照)
(マンション管理新聞:令和4年2月5日号の記事より抜粋)
★以下の表は上記の記事とセット掲載。
関連する政策指標
◆30年以上の長期修繕計画に基づく 68.1%* ⇒ 80% 修繕積立金額を設定している分譲 (2021年1月時点)(2030年度末) マンション管理組合の割合◆管理状況の届け出を行った要届け 67.8% ⇒ 100%出マンションの割合 (2020年度末) (2030年度末)◆マンション再生まちづくり制度適用 1管理組合 ⇒ 20管理組合地区内において再生に係わる決議等 (2020年度末) (2030年度末) の手続きを行った管理組合数 ◆マンションの耐震化率 94.4% ⇒ おおむね解消 (2019年度末) (2025年度末) |
*参考値(25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金を設定している
分譲マンションの割合
関係する観測・実況指標
◆管理適正化推進計画を作成した区市の全区市数に (2022年4月1日改正法施行)
対する割合 ◆東京都優良マンション登録表示制度の認定を受け 217件(2020年度末) ているマンションの数 ◆マンションの建て替え等の件数(累計) 約180件(2019年度末) ◆旧耐震基準のマンションの耐震診断の実施率 32.6%(2020年度末) ◆全部または一部の窓に二重サッシ以上または複層 29.5%(2018年度末) ガラスの窓を使用しているマンションストックの比率 |
(マンション管理新聞:令和4年2月5日号の記事より抜粋)
以上