東京都の届け出制度で状況把握(昨年末時点で80.1%が届け出)~15.9%に『管理不全の兆候』、目立つ計画修繕未実施〜
おととし4月にスタートした東京都の管理届け出制制度で、届け出を済ませたマンションの15.9%が管理組合がないなど「管理不全の兆候がある」と判断される状態にあることが分かった。東京都が2月14日に公表した「東京マンション管理・再生促進計画」の改定案で、届け出制度によって把したマンションの状況を報告している。
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改定案によれば、届け出義務がある1983年以前竣工・6戸以上の「要届け出マンション」のマンションは約1万2000棟。このうち9436棟が届け出を行っている。母数は1万1786棟としており、届け出率は昨年12月末時点で80.1%。届け出を行った9436棟中1497棟(15.9%)は「兆候あり」と判断された。
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同制度では管理組合・管理者等・管理費の有無に加え、管理規約の有無と最終改正年、年1回以上の総会開催の有無・総会議事録の有無、修繕積立金の有無・1平方メートル当たりの月額、修繕の計画的な実施の有無・直近の実施年――について届け出をするように規定。
この7項目のうち「なし」が一つでもあった場合は「管理不全の兆候がある」と判断される。7項目中「なし」が複数あったのは662棟(44.2%)2項目「なし」は330棟(15.4%)、3項目「なし」は149棟(10.5%)。7項目全て「なし」と答えたマンションも33棟(2.2%)。
「なし」が1項目のマンションで最も多かった項目は「修繕の計画的な実施」だった。
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届け出を行ったマンションのうち旧耐震基準による建築は6874棟。耐震診断を実施したのは2203棟で全体の32.0%にとどまった。
このうち1138棟が「耐震性なし」と判定されている。1138棟中耐震改修を実施したのは298棟だった。
(マンション管理新聞:令和4年3月5日付け記事より抜粋)