投稿日:2014年12月19日 作成者:右田 順久 (2936 ヒット)
12月24日のマンション建替え等円滑化法施行を控え、国土交通省は「基本方針」、省令、容積率緩和特例に関する許可準則を公表している。
基本方針と省令はパブリックコメント募集時と概ね同じ内容。許可準則は「マンション建替型総合設計制度」を新設し、容積率割り増しの基準を示している。
基本方針は12月10日付けで告示。同日付の官報に掲載されている。9月4日にパブコメで示した案と内容はほぼ同じだが、容積率特例許可を行う際の地方公共団体に対する努力規定に「地域の事情を考慮しつつ」の文言が加わった(第6の3のハ)。管理組合には買い受け人選定の際、選定手続きの「透明かつ公正」な実施が求められている。
省令は11月28日付官報に掲載されている。8月27日のパブコメ案と比べ、若干順序の変更等はあるが、内容に大きな変更はない。書式では、特定行政庁から都道府県知事への除却認定通知書が追加された。特定行政庁等による認定や敷地売却事業に関する手続きの規定が大半を占める。
◇
法105条の容積率緩和特例に関する運用については12月5日、市街地建築課長名で各都道府県に通知した。
内容はマンション再生協議会のサイトで公表している。総合設計許可準則を改正し、「マンション建替型総合設計」を新設。地域の防災、環境等向上に資するものとして、「地域で活用できる防災備蓄倉庫設置、防災広場、地域に開放されたコミュニティ形成のための集会所、地域の子育て施設、高齢者向け福祉施設、地域の状況に応じた特定行政庁が定める取組み等」を挙げ、施設等の確保が必要と認められる場合、整備に応じた容積率割り増しが可能となる。公開空地設置は必要条件ではないが、高さ制限、斜線制限緩和の適用はない。容積率割り増しの程度は技術基準で提示した。非住宅部分の床面積が過大とならないよう許可方針も定めた。
「最終的な緩和の程度は自治体の裁量次第」(マンション政策室)と話している。
(マンション管理新聞・平成26年12月15・25日付)
投稿日:2014年11月16日 作成者:右田 順久 (1874 ヒット)
住宅金融支援機構は11月5日、2014年度の「マンションすまい・る債」の募集結果を発表した。
10万口・500億円の募集枠に対し、応募口数は5万7520口。13年度比124.7%で、応募率は57.5%と、13年度比で11.4ポイントアップした。
応募率が5割を上回ったのは、ペイオフ解禁された05年度以来。ペイオフ解禁時を除くと、00年度の制度創設以降、今回が最も応募率が高い。応募組合数は1607組合。13年度比で106.4%と、組合数も増加している。
(マンション管理新聞・平成26年11月15日付記事から抜粋)
投稿日:2014年10月27日 作成者:右田 順久 (2024 ヒット)
東京都は10月6日、住宅政策審議会マンション部会の第3回会合を開いた。会合は非公開。
15日公表の資料によると、都はマンション管理適正化施策基本的考え方として、良好な管理など「管理組合の努力が報われる市場の形成」が必要と指摘。「マンションは高い社会性を有している」とし、管理組合の適正化管理への努力や管理情報開示を「社会に対する義務や責任」と位置づけ、行政による管理組合の取り組み支援は必要、としている。
区市町村との連携では、都が施策推進の基本方針を定め、区市町村による管理組合への支援・指導を支援するとの考えを示した。
第2回会合の議事録では、市場の活用を求める意見に対し、「実際は煩雑な売買はなく、マンション管理は静かで別の話」と、市場活用の実効性に否定的な意見も示された。都に条例化を求める意見も紹介されている。(マンション管理新聞・平成26年10月25日付)
投稿日:2014年10月18日 作成者:右田 順久 (2211 ヒット)
国土交通省は10月6日、「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」を改定した。
既設の装置について、製造者や管理者等を交えた「協議の場の設置」等の取り組みを示している。3月28日に策定したガイドラインに新たに「関係主体間の連携・協働による取組み」の章を設け、3項目を追加した。
1つは既設の既設の機械式駐車装置を対象に、駐車場施設ごとに協議の場を設け、製造者、保守点検事業者、設置者、管理者、利用者が連携して安全対策(施設改修、安全利用の推進、利用者への教育訓練等)に取り組むこと。
2つ目は協議の場で製造者、保守点検事業者は安全な利用方法など必要な情報・知見の提供を行い、設置者、管理者は製造者、保守点検事業者の主体的な参画の下、利用者に教育訓練を字資すること。
3つ目は利用者の適正な利用の心掛け。改定した都市局街路交通施設課によると、「イメージとしては管理組合の理事会や総会のような場にメーカーやメンテナンス業者が出向き、安全対策の説明を行うこと。
立体駐車場工業会では事故事例の関する動画も用意してある」と話す。ガイドラインは管理者等が安全対策に取り組む際の手引き。今回の改定は消費者庁の消費者安全調査委員会が、7月に発表した報告書で国交相と消費者庁長官に求めた意見を盛り込んだ形。2007年6月から2014年7月11日までマンションの機械式駐車装置で13件の事故が起き、7人が死亡、うち3人は子ども。
(マンション管理新聞平成26年10月15日付)
投稿日:2014年09月16日 作成者:右田 順久 (2454 ヒット)
国土交通省は9月10日、第2回住宅団地の再生の在り方に関する検討会を開いた。3人の有識者が提案説明を行い、早くも団地再生事業法の創設が提案された。次回10月は別の有識者が説明を行う予定だ。
◇
前UR都市機構理事の大西誠委員は郊外型大規模団地の再生課題について、需要以上の保留発生、建築基準法86条の「一団地認定」解除に伴う全員合意、公正な容積設定方法などを説明。その上で、長谷川洋国土技術政策総合研究所住宅性能研究官が以前から提唱している団地再生事業法について触れ、多様な要望を実現できるとして同法の創設が必要と提案した。
宮原義昭委員は団地再生への市街地再開発事業応用の可能性と課題を説明し、土地の高度利用を前提とする市街地再開発事業と郊外団地の立地の違いに触れ、「物理的な高度利用ではない概念」の導入の必要性を指摘した。
外部識者では自力建替えを行った旧町田山崎団地の西木實コンサルタントが経緯などを報告した。大西氏の提案した団地再生事業法はアイデアの紹介にとどまり、同じ敷地に建替え・改修・現状維持が共存するイメージが示された。
質疑では「事業法の創設はいいとしても、そもそも団地が判断できる仕組みが不十分なので、その仕組みをどうするか、私法プラス公法でいくのか。いっそ公法からスタートするのもい一つの方法」「イメージ図は理想的だが、建替えと既存の棟との売却益の公正な配分方法や敷地の分割など、団地再生事業法はまだ乗り越えるべき課題が多い」等の意見が出た。長谷川氏が提要する団地再生事業法は所有者による団地再生計画決議、行政が都市計画決定する仕組みだが、団地再生事業を都市計画事業おする際の「公共性」判断の根拠が課題の一つとされている。
(マンション管理新聞平成26年9月15日付)
投稿日:2014年08月07日 作成者:右田 順久 (17781 ヒット)
移動体通信業者と契約を結び、屋上に携帯電話基地局を設置し収入を得ている管理組合が、税務署から所得の“申告漏れ”を指摘されるケースがここ1,2年増えている。国税庁は、こうした収入は「法人税法上の収益事業に該当する」として、法人税の課税対象になるとホームページ上で告知している。
告知がホームページに掲載されたのは、国税庁によれば7月25日。税法・解釈などに対する対する国税庁の解説・見解等を示す質疑応答事例」に、携帯電話基地局設置に関する項目を加えた。題名は「マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定」。掲載理由について国税庁課税課監理2係は「こうした案件について、一部の管理組合で申告漏れが数件あった。同様の取り引きが多数見込まれるということで、注意を喚起した」としている。
事例では、携帯電話基地局の設置について業者と建物賃貸借契約を結び、設置料収入を得ることになったが、設置料収入は「法人税法上の収益事業に該当するのか」と質問。質問に対しては、管理組合などの「人格のない社団」に対する法人税は「収益事業から生じた所得のみに課される」と解説した上で「管理組合が賃貸借契約に基づいてマンションの一部を他の者に使用させ、対価を得た場合には収益事業たる不動産貸付該当する」と回答した。「収益事業から生じた所得には法人税が課税される」と結論付けている。
設置料収入は消費税の課税対象にもなる、とした。告知では、前々年度の課税売上高が1000万円以下の場合は当該課税期間、つまり前年度の納税義務は免除されると解説している。ただ昨年1月以降に事業を始めた場合は、前々年度の課税売上高が1000万円以下でも、前年度の事業開始から6か月間の課税売上高が1000万円を超えれば課税対象になる、としている。事例は国税庁ホームページの「税について調べる」→「質疑応答事例」→「法人税」の収益事業項目に掲載されている。
今回の注意喚起は、携帯電話基地局の設置で管理組合が得る賃料収入に対して税務署のチェックが入るケーㇲが増えていることを示しているといえそうだ。そうしたチェックで申告が行われていない実情が認識され、注意喚起につながったと考えられる。
(マンション管理新聞:8月5日付)
投稿日:2014年07月18日 作成者:右田 順久 (2255 ヒット)
国土交通省は7月7日、有識者による「住宅団地の再生の在り方に関する検討会」の設置を発表した。団地再生の促進を図る為、権利調整や建築規制の在り方などについて、事業法的な観点も含め検討する。7月22日に第1回会合を開き、2015年中をめどに結論を示す。
主な検討事項には団地再生に関する現行制度や課題の整理、団地の建替え・改修の具体的事例分析、団地再生促進策の検討を挙げている。
検討会は浅見泰司東京大学大学院教授を座長に、委員9人と行政等と構成。マンション問題に詳しい鎌野邦樹早稲田大学大学院教授、一般社団法人マンション学会会長の小林秀樹千葉大学大学院教授、明治学院大学大学院教授の戎正晴弁護士の3氏が委員に選ばれている。行政等では法務省民事局、東京都、大阪府、横浜市、都市再生機構(UR)等が参加する。
今年6月に成立した改正マンション建替え円滑化法等法では、マンション敷地売却制度が創設されたが、郊外団地は民間事業者の敬遠が予想され、国会審議で太田昭宏国交相は「改正法等の整備だけでは困難」と指摘。付帯決議でも団地再生に関する幅広い検討が求められていた。焦点となるのは事業法という立法措置の可否。建築基準法の一団地住宅施設決定といった建築規制への対応や、被災マンション法改正の際「敷地分割」が議論されたものの結論が見送られたように、団地特有の複雑な権利関係の調整で妙案がみつかるかどうか。1年半かけて議論する。
(マンション管理新聞7月15日付)
投稿日:2014年07月07日 作成者:右田 順久 (2233 ヒット)
公益財団法人マンション管理センターは、8月27日、9月9日、東京・水道橋の住宅金融支援機構本店すまい・るホールで特別セミナーを2回開く。「マンションの建替え等を巡る動向について」「マンションの大規模修繕工事の進め方のポイントと工事費について」がテーマ。
「大規模修繕工事」については9月11日、大阪でも同内容ノセミナーを開く。詳細は次の通り。
❶8月27日 (時間)午後1時30分~4時 (定員)270人(先着順)(内容と講師)①マンションの建て替え等を巡る動向・マンション建替え円 滑化法の改正の経緯とその内容等ーー国土交通省・マンション政策室 職員、②マンション建替えの為の融資制度ーー住宅金融支援機構職員 *申し込み方法等は、同センターHPで受け付け
❷9月9日 (時間)午後1時30分~4時30分 (定員)270人(先着順) (内容と講師)①計画修繕の考え方と進め方のポイント『計画修繕工事マニュア実務マニュアル改訂版』の解説ーーマン管センター・鈴木了史 技術部長 ②大規模修繕工事の最近の工事費と今後の動向ーー一般財団法人建設物価調査会・橋本真一経済研究部長 ③大規模修繕工事に向け た資金の積み立てと借入に関する制度ーー住宅金融支援機構・牧山賢治マンション再生支援担当グループ長 申し込み方法等はホームページで 受け付け
❸9月11日 会場:住宅金融支援機構近畿支店すまい・るホール (時間)午後1時30分 (定員)80名(先着順)
☆上記の❶~❸のマン管センターHPはこちら以下 ↓
(マンション管理新聞7月5日付より)
投稿日:2014年06月27日 作成者:右田 順久 (2254 ヒット)
東京都は容積使用率等に関する都内マンション建て替え事例の分析結果を公表している。最寄駅から徒歩10分以内に立地し、指定容積率に余裕があり、平均還元率80%など、「条件に恵まれたものが多い」と評している。
データは5月22日に開かれた第1回東京都住宅政策審議会企画部会に提出されたもの。作成は東京都のマンション課。6月5日付けで都の都市整備局ホームページ「計画・調査・審議会」の「東京都住宅政策審議会~意見の概要」内で資料を公表した。資料名は「東京の住宅政策の現状と課題 マンションの適正化、マンション再生の誘導」。
データは「駅からの距離と容積使用率」「敷地面積と容積使用率「延べ床倍率と還元率」の3つ。建て替え時の平均築年数早く40年。都内の建て替え実績約100件中、数値が把握できる物件をグラフ化している。駅からの距離では通常徒歩10分以内とされる500m圏内に集中。敷地面積は500平方m前後が多く、500平方m未満の小規模マンションは殆どない。指定容積率に対する使用率は50%付近に点在し、100%を超える所謂容積の既存不適格マンションは1件しかない。建て替え前後の延べ床面積を比較した延床倍率は平均で1.5倍。従前の専有面積に対し無償で取得できる専有面積の割合を示す還元率の平均は80%だった。
マンション課では「初めてクロス集計してみたが、敷地に余裕があるなど条件に恵まれた物件が多い」と分析している。
(マンション管理新聞:6月25日付)
投稿日:2014年06月16日 作成者:右田 順久 (2129 ヒット)
リフォーム事業者団体の登録制度発足を目指し国土交通省は6月4日、制度案を公表し、パブリックコメントを始めた。7月3日まで意見を受け付ける。制度は告示で規定する方針だ。告示の公布・施行時期は「未定」(住宅生産課)としているが、8月中の告示が見込まれている。行政が登録団体にお墨付きを与え、安心してリフォームできる環境を整備したい考えだ。マンション共用部分、戸建て住宅、内装・設備といった事業者団体を想定している。団体には国交相への事業報告書提出義務がある。研修開催など人材育成体制の整備や構成員の業務について消費者が相談できる窓口の設置、ホームページで情報提供を行うことも求められている。大規模修繕瑕疵保険は請負金額が「戸数×100万円、またはⅠ億円」のいずれか小さい額以上の場合、発注者が文書で不要と意思表示したときを除き。原則加入が必要。団体の業務には研修・相談・情報提供のほか、構成員に対する指導・助言・勧告・除名等の措置を含み、国交相は必要な限度で団体に報告や運営改善等の指導・助言・勧告ができ、団体登録の抹消権限も持つ。(マンション管理新聞6月15日付)