『2023 マンション関連10大ニュース』~コロナ渦乗り越え 新時代へ開く扉~

投稿日:2023年12月19日 作成者:右田 順久 (897 ヒット)

 

          2023 マンション関連10大ニュース(マンション管理新聞)
1 マンション長寿命化促進税制 制度創設
2 第三者管理者・認定基準見直しでWG
3 区分所有法 来年改正へ 各方面から議論百出
4 国(国交省)が施策の方向を示す「大綱」を提示
5 新型コロナ 5類移行で対策収束へ
6 標準管理委託契約書5年振りに大幅改訂
7 マンションすまい・る債 23年で初の募集額超過
8 逗子・斜面崩落事故 遺族と住民側が和解
9 マンション管理士試験 合格率初の二桁に
10 管理計画認定マンション 350件超に

 

建物部分の固定資産税を減額する特別措置「マンション長寿命化促進税制」が創設された2023年。第三者管理者方式の課題がクローズアップされたほか、区分所有法改正に向け意見・要望が相次いだ。(以下、1~5大ニュースの詳細記事を抜粋し掲載。)

1 マンション長寿命化促進税制 制度創設
 国土交通省は4月6日、「マンション長寿命化促進税制」の詳細を公表した。
減税要件となる「長寿命化工事」の内容が4月1日に施行された告示で規定され、工事の詳細も提示された。管理計画認定とは別に自治体の助言・指導を受けて長期修繕計画を見直すなどして長寿命化工事を行った場合の要件も具体化した。「長寿命化工事」は外壁塗装等や開放廊下バ・ルコニー・屋上・屋根・ひさしなどの防水を改修するもので、おおむね一般的な大規模修繕で実施する内容で、2023年4月1日~25年3月31日に完了させることを要件とした。対象は➀10戸以上②築20年以上を経過③過去に同様の長寿命化工事を実施―に該当する管理計画認定マンションと、自治体の助言・指導を受け長期修繕計画を作成・見直し、一定の基準に適合するようになったマンション。
管理計画認定マンションは修繕積立金を引き上げて認定を取得することが必要で、引き上げ時期は「21年9月以降」と示された。助言・指導を受けたマンションについては長計の計画期間30年以上かつ残存期間内に長寿命化工事などを2回以上含むことや一平方メートル当たりの修繕積立金の平均額も示した。

2 第三者管理者・認定基準見直しでWG
 国土交通省は「外部専門家等の活用にあり方に関するワーキンググループ」を設置し10月26日、第1回会合を開いた。現行の『外部専門家の活用ガイドライン』を改正し、主に理事会非設置で管理業者が管理者に就任する場合の留意点を盛り込む。管理組合に不利益となり得る取引類型などについて検討する。早ければ年度内に改正する。
利益相反取引等については11月17日の第2回会合で、外部専門家の監事設置を必須とし契約金額が管理規約等に定める一定以上の場合、契約相手がグループ会社か同課にかかわらず個別契約について集会決議を必要とする案を提示。一定金額未満でもグループ会社であれば総会決議を必須とするが、非グループ会社であれば総会承認決議は不要とした。
10月30日には「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度の在り方に関するワーキンググループ」の初会合も開催。来年3月まで全6回開催する。管理計画認定制度については認定基準の在り方、さらなるインセンティブ(誘因策)等を中心に来年1月以降に議論する。標準管理規約は年度末をめどに改正する。
11月30日の第2回会合では管理情報の提供項目に修繕積立金の長期修繕計画上の予定額や積立方式などを開示する案を示した。

3 区分所有法 来年改正へ 各方面から議論百出
 来年の区分所有法改正に向け、各種団体が法務省に意見書などを提出した。
NPO法人全国マンション管理組合連合会(全管連)は4月11日に提出した要望書で「区分所有者の責務」規定について適正管理を努力義務ではなく「法的義務」とすることなどを求めた。弁護士らで構成する全国マンション問題研究会も同日付の意見書で同様の内容を要望した。大阪弁護士会は5月30日付で共用部分に係る損害賠償請求権に関する意見書を提出。区分所有者の変動があった場合でも管理者等による一元的行使の明確化を求め、区分所有権の譲渡に伴い損害賠償請求権も当然に継承される旨を低減した。日本弁護士連合会(日弁連)もおおむね同趣旨の意見書を同18日付で提出した。
一般社団法人日本マンション学会は8月28日付で意見書を提出。共用部分の変更決議では現行法を維持し「性能向上改修」を行う場合は、「3分の2」に緩和することなどを求めた。

4 国が施策の方向を示す「大綱」を提示
     国土交通省は8月10日、「今後のマンション政策在り方の在り方に関する検討会」の取りまとめを公表した。取りまとめは当面のマンション政策の検討・実施に当たっての基本的な認識とし、マンション政策全般に係る「大綱」として位置付けた。今後の施策の方向性では管理組合による適切な管理、役員の担い手不足、修繕積立金の安定的な確保、建て替え等の円滑化などで標準管理規約や各種ガイドライン等の整備を提示。
検討方針を明らかにした管理計画認定制度の認定基準・標準管理規約の見直し、管理業者が管理者となる場合を含めた外部専門家の活用のあり方に関してはワーキイングの設置を掲げた。

5 新型コロナ 5類移行で対策収束へ
 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は、感染症法上2類相当だった新型コロナウイルス感染症の位置づけについて、5月8日から季節性インフルエンザ等と同様の5類に変更することを決定した。これに伴いコロナ禍前の形式が戻った。各種ガイドラインも廃され、対面での研修再開など、管理会社の業務にも変化が表れた。5類移行前の3月13日にはマスク着用基準が緩和。本誌が大手15社対象に行ったアンケートでは5社が社内対応についてはマスク着用を要しないと回答した。
公益財団法人マンション管理センターは5類に移行した5月8日、感染拡大を抑止する観点で休止していた事務所での「面談による相談」を再開した。書籍の対面販売も再開した。

 

(マンション管理新聞:令和5年12月15・25日合併号の記事より抜粋)

『12年ぶり実態調査実施へ(東京都24年度予算要求概要)』~適正化促進・23年度の2・1倍を要求~

投稿日:2023年12月14日 作成者:右田 順久 (982 ヒット)

東京都は11月8日、2024年度予算の要求概要を発表した。
住宅政策本部は「マンション政策費」として23年度予算から3100万円減の9億1400万円を計上。マンション適正管理・再生促進事業に6億900万円、マンション耐震改修促進事業に3億4000万円を充てた。適正管理・再生促進事業における「マンションの管理適正化の促進」は23年度要求額の2・1倍に当たる4億3900万円を要求している。新規事業ではマンション実態調査を行う。都マンション課によれば、調査は12年度以来12年振り。調査対象は全分譲・賃貸マンションで棟数や管理状況に加え、耐震・環境・防災に関するアンケートなどを想定している。調査結果は公表の予定。

今年10月に始めた防災力向上や認知症対応に取り組む管理組合にマンション管理士を派遣し支援する「マンション社会的機能向上支援事業」を継続する。「マンション管理不全予防・改善支援事業」として今年4月にマンション管理アドバイザー制度に新設した管理規約改正や長期修繕計画見直しなどを支援する新コースも続ける。
管理状況届け出制度で届け出内容から管理不全の兆候があるマンションを個別訪問する「適正管理啓発隊」、届け出を行ったマンションへの「アドバイザー派遣費助成」についても要求している。「マンション再生の促進」は同比600万円減の1800万円を計上した。「マンション改良利子補給」は同比100万円減の51000万円を要求。
今年5月に始めた省エネ・再エネ導入に係る検討計画書の作成費用を補助する「既存マンション省エネ・再エネ促進事業」は同比1億7100万円減現の3200万円を計上している。マンション耐震改修促進事業は同比1億6900万円減。「管理費」の「住宅政策に関する企画連絡調整」内に「災害時も生活継続しやすいマンションの普及促進」として4億5000万円を要求した。同課によれば今年6月に始めた「東京どどまるマンション」へ防災資機材の購入費用補助のほか、広く防災対策の支援を検討している。

 

(マンション管理新聞:令和5年12月5日付の記事より抜粋)

『マンションストック694万3000戸、築40年以上約126万戸(2022年末)<国土交通省>』

投稿日:2023年10月05日 作成者:右田 順久 (1151 ヒット)

国土交通省は8月10日、2022年末現在の分譲マンションストック戸数を2021年末比9万3000戸増の約694万3000戸と発表した。増加戸数が10万戸を割り込んだのは2011年以来で11年振り。

居住人口は約1500万人。ストック戸数に、2020年の国勢調査による1世帯当たりの平均人員2.21を乗じて得た数値で、国民の1割強が居住している推計となる。
数値は3階建て以上の分譲共同住宅でRC・SRC・S造りをマンションとし建築着工統計等を基にして算出した推計値。1968年以前のストック戸数(5万3000戸)は国交省が把握する公団・公社住宅の戸数を基に推計した戸数を計上している。
◇◇
同日発表された2022年末現在の築40年以上のストック戸数は125万7000戸。10年前29万3000戸に比べて100万戸近く増え、10年後には現在の2倍以上に膨れ上がる見込みだ。前回までは、「築30年以上」「築50年以上」のストック数も集計していたが、今回から「築40年以上」に一本化し、推移をまとめる形に変更した。
変更について住宅局参事官付は、8月10日に取りまとめを公表した「『今後のマンションの政策のあり方に関する検討会』では『築40年以上』を『高経年』としている点を理由に挙げた。築30年・築50年以上のデータを個別集計することに大きな意義を感じていないとしている。
築40年以上のストックは前回調査から10万1000戸増加。ストック総戸数の18.1%となっている。築40年以上のストック数は10年後の2032年末には約60万8000戸に達する見通しだ。

(マンション管理新聞:令和5年9月25日付の記事「管理トピックス」より抜粋)

『分譲マンション管理会社のランキング<オリコン満足度調査>』~三井不動産レジデンシャルサービスが首都圏で3年連続1位、野村不動産パートナーズが東海・近畿で首位など~

投稿日:2023年09月09日 作成者:右田 順久 (928 ヒット)

Oricon ME(オリコンエムイー、本社・東京)は、9月1日、「顧客満足度ランキング」の分譲マンション管理会社部門を発表した。

首都圏では三井不動産レジデンシャルサービスが3年連続で総合1位を獲得した。2位は昨年同様、野村不動産パートナーズ、昨年6位の大成有楽不動産と同3位の東京建物アメニティサポートが同点で3位だった。調査は首都圏と近畿圏で今回7回目。東海は同5回目、九州は6回目。
ランキングは首都圏51社、東海37社、近畿44社、九州36社における「管理員」、「日常業務対応」、「管理会社担当者」など、5項目で評価。オリコン独自の計算で点数を出した。調査対象は過去7年以内に管理組合の役員経験があるマンション居住者等。回答者数は、首都圏1万385人、近畿5016人、東海1447人、九州1245人。
◇◇
 東海と近畿では、野村不動産パートナーズ画2冠を達成した。同社は東海では4年連続、近畿では初。九州では、昨年2位の住友不動産建物サービスが初の1位を獲得した。各地域の2位は、東海と近畿が三菱地所コミュニティ、九州は昨年1位の穴吹コミュニティ。
2020年から始めた、リプレイス経験がある管理組合の理事会経験者が対象のリプレイス部門では、首都圏では大和ライフネクストと長谷工コミュニティが同一で1位。大和ライフネクストは4年連続。長谷工コミュニティは初めての1位獲得となった。他地域では同部門の公表は行っていない。

 

◆首都圏(回答者:10,385人)         ◆近畿(回答者:5,016人)

順位 会社名 得点 順位 会社名 得点
三井不動産レジデンシャルサービス 72.7 野村不動産パートナーズ 70.9
野村不動産パートナーズ 72.0 三菱地所コミュニティ 70.7
大成有楽不動産 71.8 三井不動産レジデンシャルサービス 70.6
東京建物アメニティサポート 71.8 阪急阪神ハウジングサポート 70.3
三菱地所コミュニティ 71.6 浪速管理 70.2

★社名横の数値は得点。カッコ内は前回順位。(以下、リストも同様)

 

◆東海(回答者:1,447人)           ◆九州(回答者:1,245人)

順位 会社名 得点 順位 会社名 得点
野村不動産パートナーズ 70.8 住友不動産建物サービス 70.8
三菱地所コミュニティ 68.7 穴吹コミュニティ 70.1
日本ハウズイング 67.5 大京アステージ 69.7
大京アステージ 66.5 大和ライフンクスト 69.6
東急コミュニティ 66.1 穴吹ハウジングサービス 68.8

 

(マンション管理新聞:令和5年9月5日号の記事より掲載)

『大規模修繕工事業者ランキング(オリコン満足度調査)』~小野工建が総合1位2年連続、2位は建装工業~

投稿日:2023年08月11日 作成者:右田 順久 (994 ヒット)

大規模修繕工事専業、総合ランキング1位は2年連続の小野工建(本社・大阪)―。
Oricon ME(オリコンエムイー、本社・東京)が8月1日に公表した、マンション大規模修繕工事専門業者を対象に実施した顧客満足度調査で、こんな結果が出た。(下記の各リストをご参照。) 地域別では関東がヨコソー、近畿では大和技研が1位だった。調査は今回で3回目。新たに東海地方のランキングも作成した。

2位は昨年2位の建装工業(同・東京)、3位は昨年ランク外の富士防(同・神奈川)が入った。
得点は小野工建が76.4。建装工業75.9、富士防74.8。4位はカシワバラコーポレーション(同・山口)、5位は昨年4位の富士防だった。(表➀をご参照)
過去7年以内に大規模修繕工事経験があり、管理組合の理事、または、専門委員会委員として関わった全国の2745人にアンケート調査を実施。(詳細は末尾の「調査について」をご参照。)
➀施工会社の対応、②現場管理者の対応、③作業員の対応、④仕上がり、⑤保証・アフターサービス、⑥金額の納得感の6項目について尋ねた。
項目別では小野工建が6項目中5項目で1位。➀のみ建装工業が1位を獲得した。6項目中の最高得点は小野工建の「現場管理者の対応」で78.4。
戸数が100戸以上を「大規模」。100戸未満を「小規模」に区分した規模別、地域別のランキンも作成した。「大規模」は建装工業、「小規模」は小野工建がトップ。2・3位は「大規模」が富士防、「小規模」は高分子(同大阪)・建装工業。
地域別のランキングは表②のとおり。関東は1都6県、近畿は2府4県、東海は愛知・静岡・三重・岐阜の4県。それ例外の地域は規定の条件を満たしておらず非公表となっている。
関東の1位は昨年2位のヨコソー(同・神奈川)。2位は同5位のセラフ榎本(同・埼玉)、3位は同1位の建装工業。近畿の1位は同4位の大和技研(同・兵庫)、2位は同1位の建装工業、3位は同3位の小野工建だった。今回初の発表となった東海の1位は建装工業。
ヨコソーには「長期修繕計画を参照しアドバイスをしてくれたのが良かった」・「塗装が丁寧だった」、大和技研には「仕事が丁寧で作業員の方のマナーも良かった」・「適切、真面目、時間厳守が良かった」といった声が寄せられていた。

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【調査について―補足説明】
・現場管理者の対応、仕上がりなど、七つの項目に対して用意した「営業担当者の知識の豊富さ」
「現場管理者の説明の分かり易さ」など計24の設問を10点満点で評価し平均値を出した後、各項目の合計平均値を算出するなどして評価項目の特典を算出する。
・この得点に、満足度調査に対する評価項目の影響力を数値化した「重要度」を掛け合わせるなどして総合得点を計算する。総合得点は、継続的な評価のために最長で過去3年分のデータを集計して算出している。
・総合ランキング・評価項目別ランキングは50人以上、規模別・地域別ランキングは有効回答者数25人以上の回答があり、総合評点60点以上・「他社に薦められない」とした回答が一定割以下の企業を順位付けの対象にしている。ランキングの発表は最大10位まで。調査サンプルは2745人。21年4月、22年3月、23年2・3月、インターネットによるアンケートを実施した。
・国の「住宅リフォーム事業者団体登録制度」登録団体に加盟しているマンション大規模修繕を実施している企業を「マンション大規模修繕会社」と定義した。
・一部設備工事に特化、また主に自社やグループ会社が管理するマンションの大規模修繕を実施する企業は対象外とした。調査企業数は60社。
 

➀総合ランキング(全国)       ②地域別ランキング(関東)

順位 前年 会社名 満足度 順位 前年 会社名 満足度
小野工建 76.4 ヨコソー 76.9
建装工業 75.9 セラフ榎本 76.6
富士防 74.8 建装工業 76.5
カシワバラコーポレーション 74.4 アール・エヌ・ゴトー 75.4
シンヨー 74.3 YKKAPラクシー 75.1
ヤマギシリフォーム工業 73.6 富士防 74.9
伊藤 74.5
10 カシワバラコーポレーション 74.5
三和建装 73.9
10 シンヨー 73.6

★社名横の数値は得点。カッコ内は前回順位。(以下、リストも同様)
 

②地域別ランキング(近畿)     ②地域別ランキング(東海)

順位 前年 会社名 満足度 順位 前年 会社名 満足度
大和技研 78,1 建装工業 74.1
建装工業 77.9 乃一 73.1
小野工建 76.9 マルコオ・ボーロ加工 72.7
高分子 76.5
カシワバラコーポレーション 75.4
東洋シポデック 74.9
ビケンテック 74.1
7ー 旭技研 72.6

(マンション管理新聞:令和5年8月5日号の記事より抜粋)

「認定数が100件を突破」<管理計画認定制度・閲覧サイト掲載物件>~平均築年数、23.7年。横浜が17で最多~

投稿日:2023年08月01日 作成者:右田 順久 (1040 ヒット)

昨年4月にスタートしたマンション管理計画認定制度。公益財団法人マンション管理センターの専用閲覧サイトで公表される管理計画認定マンション数が7月14日付で100件に達した。
24日時点での掲載数は103件に上っている。制度開始から1年3か月での3桁到達となった。
認定マンションの6割は「マンション管理適正評価制度」の登録も行っていた。

認定数上位の自治体

順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 6位 6位
自治体名 横浜市 名古屋市 所沢市 神戸市 大阪市 浜松市 熊本市 京都市
件数 17 10 7 6 5 4 4 4

(令和5年7月24日現在)

 

管理計画の認定を行った自治体は町村部を含めると2件4区32市。
都道府県別に見ると最も認定数が多いのは神奈川県で24件。東京都17件。愛知県11件と続く。10件を超えているのは、この3都県のみ。認定マンションが存在している中で、数が最も少ないのは北海道、岩手・岡山・和歌山県の4道県で1件。
自治体別では、認定数の1位は横浜市で17件。2位は名古屋市で10件、3位は所沢市で7件だった。(上表を参照)
認定数が10を超えているのは横浜・名古屋市。認定数が1の自治体は18市あり、全体の半数近きに上る。
政令市は20市中16市で認定マンションが出ている。7月に制度を開始した千葉・広島市に加え、新潟・相模原市ではまだ認定マンションは出ていない。
東京都23区では板橋・台東・墨田・港区で認定マンションが誕生している。
竣工年別に見ると、1971年~80年が10件、81年~90年が23件。91年~2000年が21件、01~10年が20件、11~20年が28件、21年以降が1件。認定時、築40年以上のマンションは17件あり。認定時の築年の平均は23.7年だった。
認定マンションの中で最も古いのは横浜市の「竹山16-2住宅」、名古屋市の「大蔵ハウス」で1971年。
戸数規模で見ると、最も多いのは31~50戸で19件、76~100戸の18件、51戸~75戸が15件で続く。最も戸数が多かったのは、宝塚市の「中山五月台住宅団地」で790戸。最も戸数が少なかったのは八王子市の「ヴェルドミール大和田」で13戸。
一般社団法人マンション管理業協会の「マンション」管理適正評価制度」に登録しているのは103件中60件。全体の58.3%を占めた。評価は星五つが49件、星四つが11件。満点の100点を獲得したのは9件だった。

 

(マンション管理新聞:令和5年7月25日号の記事より抜粋)

「積立金の平均12,878円。㎡当たり210円、23区は213円・市部は198円」~東京都内・既存分譲マンションの設定値を調査<マンション管理新聞>(2023年1~3月流通10,839件対象)~

投稿日:2023年07月09日 作成者:右田 順久 (2163 ヒット)

マンション管理新聞社は2023年1~3月に流通した東京都内の既存分譲マンション1万839戸を対象に、管理費・修繕積立金の設定額等を調査した。調査は今回で20回目。データは23区、市部に分類し、築年,管理形態、戸数(規模)で区分した。(以下、第1240号・6月25日記事の抜粋)

23年1~3月に流通した東京都内の既存分譲マンション1万839戸(件)を対象に、平均管理費・修繕積立金、1平方メートル当たりの価格等のデータをまとめた。(下記の表➀を参照) 調査対象1万839戸を「23区」とそれ以外の「市部」に分類すると、23区は9035戸で全体の83.4%。
今回集計分の「㎡当たり価格(既存マンションの)」は23区で104.5万円。過去最高値を記録した昨年の99.2万円を更新した。価格が100万円を超えたのは07年の調査開始以降初めて。都全体でも95.6万円と、昨年の過去最高値(90.5万円)を更新している。(既存マンションの)平均価格は23区6281万円、市部3759万円。
平均管理費は1万4688円。昨年下半期に都内で供給された新築物件の平均管理費と比べると、6369円安い。1平方メートル当たりの単価は239円。
平均修繕積立金は1万2878円。前回比で736円増。1平方メートル当たりでは210円で、これも過去最高を更新。23区は213円。市部は198円で、いずれも過去最高を記録している。23区は前回比で11円もアップし、一気に210円台に突入した。市部も前回比で7円アップ。都全体で10円アップしている。

表②(下記の表②を参照)では、対象調査を築年別に分類した。
平均価格は「5年未満」では9214万円。築30年以上の各区分とは、いずれも2倍以上の差がある。
築20年未満の3区分における平均価格は7000万円を超えていた。
平均管理費は「5年未満」が1万9289円、平均修繕積立金は「20年~30年未満」が1万4927円で最も高かった。1平方メートル当たりの管理費の最高値も「5年未満」で319円。1平方メートル当たりの積立金は「50年以上」が228円で最高。「30年~40年未満」が224円で続いた。
◇◇
次には(下記に別表に東京都の『既存マンション・区市別データ(2023.1~3月販売分)(主要な区・市を抜粋)』を参照)として、区別及び市別のデータをまとめた。
「㎡当管理費」は前回と同様に、港区が334円でトップ。千代田区が340円で2位。3位は渋谷区で314円。「㎡当積立金」は前回4位タイの杉並区が234円で1位。武蔵野市が230円で続く。港区が227円で第3位であった。

表➀東京都・既存マンションデータ(2023.1月~3月販売分)

 

 

対象物件数 平均戸数 平均価格(万円) ㎡当価格(万円) 平均専有面積(㎡) 平均管理費(円) ㎡当管理費(円) 平均修繕積立金 ㎡当積立金(円)
23区 9,035 74,1 6,281 104,5 60,13 15,077 251 12,787 213
市部 1,804 91.0 3,759 55.8 67.38 12,742 189 13,335 198
全部 10,839 76,9 5,861 95,6 61,33 14,688 239 12,878 210

 

表②既存マンション・築年別データ(2023.1月~3月販売分)(2023.1月~3月販売分)

築年 対象物件数 平均戸数 平均価格(万円) ㎡当価格(万円) 平均専有面積(㎡) 平均管理費(円) ㎡当管理費(円) 平均修繕積立金 ㎡当積立金(円)
50年以上 798 80.7 4.212 77,4 54,39 12,597 232 12,391 228
40~50年未満 2,289 65,6 3.978 72,4 54,95 12,687 231 11,651 212
30~40年未満 1,732 56,7 4,516 77,2 58,49 14,860 254 13,128 224
20~30年未満 2,567 63,4 6,067 90,7 66,86 14,707 220 14,927 223
10~20年未満 1.865 107,1 7,459 109,5 68,15 15,501 227 14,309 210
5~10年未満 959 95,4 8,304 127,4 65,20 16,247 249 10,768 165
5年未満 629 105,8 9,214 152,2 65,50 19,289 319 7,885 130
全体 10.839 76,9 5,861 95,6 61,33 14,688 239 12,878 210

 

別表:東京都・主な区市別・既存マンションデータ(2023.1月~3月販売分)

 区 対象物件数 平均戸数 平均価格(万円) ㎡当価格(万円) 平均専有面積(㎡) 平均管理費(円) ㎡当管理費(円) 平均修繕積立金 ㎡当積立金(円)
千代田区 134 74.3 11,620 191.7 60.61 20,614 340 10,998 181
中央区 312 124.7 7,602 135.5 56.12 14,918 266 11,567 206
港区 560 97.5 13,348 197.4 67.63 23,263 344 15,339 227
新宿区 553 74.2 6,859 125,8 54.54 14,910 273 11,691 214
渋谷区 457 60.8 9,885 163.2 60.58 19,045 314 13,258 219
世田谷区 753 49.0 6,341 97.3 65.18 15,920 244 14,566 223
中野区 271 50.0 5,402 93.6 57.70 14,497 251 12,955 225
杉並区 376 51.9 5,031 89.1 56.48 14,162 251 13,217 234

 

 市 対象物件数 平均戸数 平均価格(万円) ㎡当価格(万円) 平均専有面積(㎡) 平均管理費(円) ㎡当管理費(円) 平均修繕積立金 ㎡当積立金(円)
武蔵野市 160 64.5 5,601 90.3 62.01 14,497 234 14,286 230
三鷹市 95 84.9 5,080 82.6 61.52 13,546 220 13,162 214
府中市 174 77.6 4,188 62.1 67.46 13,033 193 13,743 204
立川市 84 95.3 3,623 56.3 64.39 11,701 182 12,827 199
町田市 111 121.1 3,521 49.1 71.76 13,219 184 12,969 181
八王子市 201 110.8 3,200 41.7 76.80 12,750 166 13,932 181
日野市 66 97.6 2,869 42.2 67.92 12,747 188 13,351 197
稲城市 35 170.1 3,738 46.2 80.83 15,015 186 14,370 178
多摩市 97 94.5 3,310 43.4 76.28 12,124 159 14,364 188
調布市 117 96.7 4,547 65.4 69.56 12,952 186 14,286 205

 

(以上、マンション管理新聞:令和5年6月25日号の記事より抜粋 )

「防災」、認定基準の必須項目に<管理計画認定制度>~東京都が国に提案要求、長寿命化促進税制・適用要件緩和も~

投稿日:2023年07月04日 作成者:右田 順久 (976 ヒット)

東京都は6月15日、2024年度の国の施策要求をまとめ、公表した。11月の国の予算編成に対する提案要求と併せ、毎年2回提案要求を行っており「マンションの適正な管理と円滑な再生による良質なストックの形成促進」では、新たに「マンションの防災の推進」などを加えた。

今月5月に決定された「東京都地域防災計画 震災編(令和5年度修正)」で、マンション固有の課題や対策の方向性などが示されたことを踏まえ、エレベーターなど設備の対策や速やかな復旧等、また十分な備蓄が重要だと指摘。具体的な要求としてマンション管理計画認定制度で防災に係る計画作成・周知・訓練実施の取り組みを必須項目にするなど制度を拡充し、認定等を取得した場合「非常用発電設備、エレベーター、給排水・トイレ、設備等の防災対策に対して財政的な支援を行うこと」を求めた。
防災に積極的に取り組むマンションが「より評価される市場の形成に取り組むこと」とした。

災害時の共助を促進するため「マンション内および地域コミュニティーとのつながり形成に資する支援を強化すること」も求めた。
適正な管理と円滑な再生では「マンションの管理水準の向上」で新たに長寿命化促進税制について要求。申請できるマンションは「限定的」だとして、長寿命化工事の実施にかかわらず管理計画認定マンションを適用範囲に含めるとともに、特例措置の恒久化や対象税目の拡大などを求めている。
既存マンションでの太陽光発電設備導入の円滑化も要求に追加した。決議要件について「共用部分の変更としての扱いを明確にする」などの措置を求めている。

(マンション管理新聞:令和5年6月25日号の記事より抜粋)

『利益相反防止へ監督制度(全国マンション問題研究会)』~区分所有法改正で意見書「第三者管理」で注文も~

投稿日:2023年05月01日 作成者:右田 順久 (1067 ヒット)

マンション管理問題に取り組む弁護士らで組織する全国マンション問題研究会(山上知裕代表幹事)は4月11日付で法務省民事局宛てに「区分所有法制の改正に関する意見書」を提出した。「管理費等債権を登記された抵当権者に優先させる」など6事項を、区分所有法見直しの中間試案策定段階で論点や問題意識として追加するよう要望した。
それ以外の事項は別途意見書を作成・提出する予定だ。

意見書で取り上げたのは、▽管理費等債権の優先化、▽管理費等債権放棄の明確化、▽管理組合法人の理事等資格の明記、▽区分所有者以外の者が管理者となる場合の監督制度、▽管理組合による専有部分の取得、▽区分所有者の「適正管理義務」の6事項。
◇◇
管理費等債権の優先化や放棄の明確化、管理組合による専有部分の取得は今年1月21日、横浜市で開いた同研究会でも報告している。「管理組合法人の理事等資格の明記」では「理事に法人がなれるとの解釈を法文上明らかにすべきである」と求めている。理由として「法人が管理組合法人の理事になることを制限する見解」が影響し法人化していない管理組合においても「法人が理事になれないとの解釈されることある」と指摘している。
「法人が区分所有者でありながら管理組合法人の理事に就任する機会を奪われるだけの合理的な理由はない」などとして、管理組合の法人化・非法人を問わず「政策的に禁止する理由はない」とした。「区分所有者以外の者が管理者となる場合の監督制度」では「管理組合法人と同じく監事の設置を義務化するなど、当該管理者の利益相反取引等を監督するための制度を検討すべきである」と訴えた。理由として管理会社が管理者に就任する「第三者管理」の増加を挙げている。
管理会社が管理者として行う管理委託契約締結といった自己契約や双方代理は管理組合の集会決議で「許諾し得る余地はある」としたが「管理の専門知識が疎い素人が区分所有者であることが通常」だとして「集会決議が管理会社の監督機能を十分に果たすとは言い難い」と指摘している。
また近時の管理会社による第三者管理では非理事会設置型が増加しているとして「管理会社が決めた方針が集会上程され集会決議が形骸化する傾向がより顕著である」とした。
管理会社以外でマンション管理士など専門家や区分所有者が管理者に就任するケースについても「利益相反の問題は生じ得るところ、それも含めた検討を排除する趣旨ではない」と言及している。「区分所有者の『適正管理義務』」は、法制審議会区分所有法制部会で議論されている「区分所有者の責務」について努力義務ではなく、「法的義務として適正に管理すべき『義務』を規定すべき」と求めている。理由としてタウンハウス」では雨漏りなど共用部分の劣化が他の区分所有者に影響が存在しない場合がある、などといった例を挙げ「共用部分に不具合があっても集会の決議がされず共用部分の維持・管理が行われないことがある」と指摘。
「適正管理義務」は原則「規約や集会の決議に基づく管理を実施すべき義務とし、例外として身体や財産への侵害が生じていたり、その恐れがあったりする場合に「保存行為を行うべき義務」と提案している。
専有部分・共用部分を対象にし、専有部分は当該区分所有者、共用部分は管理者か、管理者がいない場合は区分所有者全員とした。
保存行為では現行でも区分所有者が修繕したうえで費用を求償する方法はあるとしたが、具体的な適正管理義務にもとづく請求ができれば「区分所有者の団体を訴訟や交渉の土俵に乗せることができる」とし、請求の容認や交渉が成立すれば「区分所有者の団体による工事を実施することができる」とした。
◇◇◇
1月21日の全国マンション問題研究会で議論された「管理費等債権の優先化」では先取特権の順位を定めた区分所有法7条2項を改正するなどして「登記された抵当権者に優先させる立法が不可欠である」とした。同様に同研究会で議論した「管理費等債権放棄の明確化」では管理費等の放棄や手続きについて同法7条4項以下か新たに同条の2としての立法化を求めた。
具体的な条文として、➀規約もしくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について集会(普通)決議に基づき放棄することができる。②前項の決議について特別の利害関係を有する区分所有者は議決加わることができない、③第1項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げないーと示した。
「管理組合による専有部分の取得」も同研究会で議論した事項。管理組合等が目的の範囲内で取得することの明確化や手続きについての立法化を求めている。
立法に際し「多数決議によって専有部分を取得し得るという方向性での検討をおこなうべき」とした。
取得した専有部分の議決権の行使については「否定する方向で検討がおこなわれるべき」とし、また当該管理費は「管理組合が支出し管理組合がこれに対応する収入を得るという循環が生じるだけである」として「負担義務は端的に否定すべきである」とした。
◇◇◇◇
意見書の中身はNPO法人全国マンション管理組合連合会(全管連)が同日付で提出した要望書と重複する部分が少なくない。同研究会に参加する折田康宏弁護士は「全国マンション問題研究会と全管連は一体となって発展してきた経緯があり、今回も考えが一致している部分がある」と話す。

(マンション管理新聞:令和5年4月25日・5月5日合併号の記事より)

『一定期間の見直しは必須』(マンション管理センター・3/14特別セミナー) ~長期修繕計画・修繕積立金の意義を解説~

投稿日:2023年04月01日 作成者:右田 順久 (541 ヒット)

公益財団法人マンション管理センターは3月14日、東京都千代田区で日本教育会館で特別セミナーを開いた。
第一部ではスペースユニオン1級建築士事務所の奥澤健一代表が「大規模修繕工事と修繕積立金の意義~長期修繕計画作成ガイドライン等改訂を踏まえて~」のタイトルで講演をした。

奥澤代表はまず、長計が必要な理由を解説。建築材料や設備機器は修繕が必要な時期や周期に違いがあるため、ばらばらの素材に対する修繕を場当たり的に実施すると「経済性・合理性・居住者への生活利便性への悪影響が出る」と指摘した。
修繕時期や終期を「ある程度集約することで経済性や効率性を高めたり、居住者の生活障害を低減するために長計は必要」と解説した。
長計の見直しについては「時期や工事費は変わっていくため一応の目安に過ぎない必ず実行しなければいけないものでもない。社会・経済情勢なども変わる」とし、「一定期間での見直しは必須」だと訴えた。

(マンション管理新聞:令和5年3月25日付の記事より)

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