「区分所有法・適正化法}改正法案 国会提出~管理業者管理者方式利益相反に説明義務「違反、業務停止命令対象に」 自治体の権限強化「報告徴収、立ち入り権を付与」~

投稿日:2025年03月15日 作成者:右田 順久 (92 ヒット)

区分所有法・マンション管理適正化法・同建替え円滑化法・被災マンション法等の改正法案が3月4日、閣議決定され同日国会に提出された。マンション管理適正化法は新たに管理組合の運営支援やマンション管理適正化推進計画の周知などを行う民間法人が登録できる「マンション管理適正化支援法人」制度を創設、自治体の権限を強化し、助言・指導・勧告に伴う管理者への報告徴収・立ち入り検査をできるようにする。「管理業者管理方式」では従来のマンション管理業の業務同様、重要事項説明会の開催・契約成立時の書面交付・管理事務の報告を義務付けた。利益相反についてはあらかじめ説明会を開き、今後省令で定める事項について説明する義務を負う。違反した場合は業務停止命令の対象になる。一部の規定を除き、いずれも来年4月1日の施行を目指す。

法案は「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律案」として一括で閣議決定された。
「いわゆる一棟リノベ」、建物敷地売却、取り壊し敷地売却など、区分所有法改正で新設される各種処分方法の事業手法などを規定するマンション建替え円滑化法は「マンションの再生等の円滑化に関する法律」に名称を変更する。
区分所有法の改正案は昨年2月に公表された「区分所有法制の見直しに関する要綱案」を踏襲した内容。適正な管理が行われるよう相互の協力義務を定めた「区分所有者の責務」が盛り込まれたほか、各種の新制度が創設される(2面参照)。
国土交通省は一連の法改正に伴う当面の効果、目標数値として管理計画認定の取得割合を2024年の約3%から施行後5年間で20%、マンション再生等の件数を同472件から同1000件と設定している。 マンション管理適正化法の主な改正点を下記(法案の概要:その1,その2)のとおり示した。
管理組合や区分所有者に必要な支援などの活動を行う民間団体を自治体に登録する「マンション管理適正化支援法人」制度を創設する。
マンション管理適正化推進計画の策定・変更について管理組合や区分所有者の意向・事情の把握も行うようにし、自治体に計画作成・変更について提案できる権限を与えたほか、改正区分所有法で創設が見込まれる各種の財産管理制度の適用を自治体に要請できる権利も盛り込んだ。

◇◇
◆法案の概要【その1】:マンション管理適正化
■「マンション管理適正化支援法人」制度創設
管理組合・区分所有者に対する情報提供・相談・提案、専門家派遣等の援助などを行う、一定の基準に適合した一般社団・財団法人が各自治体に登録できる制度を創設。同法人には自治体
にマンション管理適正化推進計画の作成・変更を提案できる権利を持たせる。区分所有法の改正案で創設が規定される▽所有者不明専有部分▽管理不全専有部分▽管理不全共用部分管理命
令の請求を各自治体に要請することができる権利も盛り込んだ。
■自治体の権限強化
「助言・指導・勧告」の対象に「マンションの修繕の実施」が適正指針に照らし「著しく不適切な場合」を追加。勧告を行った自治体は、管理組合の管理者らに専門家のあっせんを行うなど
必要な措置を講じるよう努めなければならない旨の規定を設けたほか、助言や指導等に際し、必要な限度で報告徴収、マンションに立ち入り建築。設備等を検査できる権限を新たに付与した。区分所有法の改正案で創設が規定される▽所有者不明専有部分▽管理不全専有部分▽管理不全共用部分―について管理命令を裁判所に請求できる権利も付与している。
■管理業者管理者方式
マンション管理業の業務(重要事項の説明等、契約成立時の書面の交付、管理事務の報告)における規定を適用。管理事務の報告は現行法77条2項の規定を適用し、定期的に説明会を開催し区分所有者に報告する。新たに、利益相反の恐れがある場合の区分所有者への事前説明も義務付けた。省令の規定に基づき説明会を開き、省令の規定に定める事項について説明する義務を負う。違反した場合は業務停止命令の対象にする。
■管理計画認定制度
新築マンションも対象に追加。管理組合の管理者等への引き継ぎ方法などを定めた上で分譲業者が申請する。認定後、管理者が選任され次第、管理者の同意を得た上で変更を申請する仕組み。省令で定める期間内に選任されない場合は認定を取り消す。認定マンションは、認定を受けている旨の表示をできるようにした。表示の規格、表示できる範囲は別途定める。

支援法人が自治体と連携することで、マンション管理の適正化、管理不全の改善・予防に対する取り組みを強化したい考えだ。自治体の権限強化も図る。助言・指導・勧告の対象として「マンションの市以前の実施」を追加、外壁などハードの劣化に言及できるようにしたほか、必要な限度で管理者に管理状況についての報告徴収、マンションへの立ち入り検査権を認めた。
管理者らが報告をしなかったり検査を拒んだ場合は10万円いかの過料を科す。 改正区分所有法で創設予定の各種の財産管理制度について、直接裁判所に適用を求める請求もできる。
マンション建替え円滑化法(再生円滑化法)では、建替え等の措置の円滑化を図る上で、建替え等円滑化指針に基づく自治体の助言・指導権を新たに付与した。立てつけは適正化法の改正案と同様で、マンションが著しく有害となる恐れがある場合等は建替え等の措置を実施するよう勧告できる、と規定したほか報告徴収、立ち入り検査も認めている。
正当な理由がなく勧告に従わなかった場合はその旨を公表できるとした。 管理業者管理方式は、現行法の管理業の業務に関する規定を適用する。
利益相反については新たに条文を設け事前説明を義務付けた。利益相反の対象にする取引相手、説明会の開催要領、説明内容は省令で規定する。

◇◇◇
区分所有法改正案「合意形成_ハードル下がる」
区分所有法、建替え円滑化法の改正案を表に示した。被災マンション法の改正案では各種再建方法の決議要件の緩和などが想定されている。
区分所有法は、建替えなどの処分行為を除き、合意形成のハードルが大幅に下がる決議要件の緩和が行われている。
まず、集会の議事、普通決議は、原則として「『出席した』区分所有者およびその議決権の各過半数で決する」こととした。
普通決議以外の決議につては、原則的な定足数を「区分所有者・議決権の過半数」とし、管理規約でこの定足数を上回る規定を設けされるようにしている。
これまで「区分所有者および議決権の各4分の3以上」の多数決議が必要だった管理規約の変更、共用部分の変更、管理組合法人の設立・解散当は部数が「区分所有者・議決権の過半数」に下がり、その上で出席区分所有者の4分の3以上の合意で決議できる。
区分所有者・議決権数が100だった場合、従来は75以上の賛成が必要だったが法改正後は最低で39の賛意を得れば済む。
今回の改正で新たに設けられる、「所在不明区分所有者」がいる場合、同所有者は集会決議の母数から除外されるため、ハードルはあらに下がることになる。 共用部分の変更では決議要件の「4分の3」を管理規約で「2分の1超4分の3未満」に設定することもできる。
また、高齢者用の施設改修に際して共用部分の変更を行う場合は3分の2以上で決議できるようにする。復旧の決議要件も。同様に3分の2以上と定めた。
管理組合法人が当該マンションの区分所有権、隣接する土地を取得えきる規定も設けた。区分所有権を取得した場合、区分所有者となる管理組合法人は集会における議決権を持たないこととした。
建て替えでは火災に対する安全性など、法相が定める基準に適合しないときは決議要件が「5分の4」から「4分の3」に下がる。処分行為に該当するため、母数は「所在不明区分所有者」をのぞく区分所有者・議決権の総数となる。
基準については建替え円滑化法の改正案でも「要除却等認定」の基準として同内容の基準を設定。こちらの基準は国交相が定める、と規定しており、区分所有法では、法相による基準を作成・変更する際はあらかじめ国交相と協議するものとした。
いわゆる「一棟リノベーション」は改正法案では「建物更新」と命名。建物敷地売却、建物取り壊し敷地売却、取り壊し決議同様5分の4以上の多数決で実施できるようにした。

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◆法案の概要【その2】:区分所有法、建替え円滑化法(再生円滑化法)
■「区分所有者の責務」を規定
区分所有者は、管理組合の構成員として建物・敷地、付属施設の管理が適正かつ円滑に行われるよう、相互た協力しなければならない旨を規定
■「国内管理人」の仕組みを整備
区分所有者が国外にいる場合、専有・共用部の管理を行う管理人を選任できる制度。集会での議決権行使、現行法7条に基づく債務の弁済等を行う権限を持つ
■所在不明区分所有者を集会決議の母数から除外
当該区分所有者以外の区分所有者または管理者が請求できることとし裁判所が認定
■集会の議事(普通決議)は出席区分所有者・議決権の各過半数で決する旨規定
■決議要件を緩和
共用部分の変更、管理規約の変更等、管理組合法人設立・解散、復旧、義務連反者に対する専有部分の使用禁止請求等の決議要件を緩和.区分所有者・議決権の過半数の出席+4分の3以上の合意で決議できるように改めた※復調は3分の2以上。定足数は規約で過半数以上に設定可能とし、決議要件も「共魔部分の変更」は「2分の1超から4分の3未満」の間に引き下げることも可能だとした。
■配管の全面更新など専有部分の使用等を伴う共用部分の管理について規定
■管理組合法人が当該マンションの区分所有権、隣接する土地を取得できる規定を整備。 決議要件は上記と同じ
■共用部分に係る損害賠償等の請求権について規定
■管理規約の保管・閲覧についてデジタル化
■所有者不明・管理不全専有部分、管理不全共用部分の管理制度を創設
■建て替えについて一定の要件を満たす場合、決議要件を「5分の4以上」から「4分の3以上」に緩和
■いわゆる「一棟リノベ」、建物敷地売却、建物取り壊し敷地売却、取り壊し、また再建を5分の4以上の多数決で決議できる旨規定
■団地一括建替え、団地内建物の建替え承認決議要件を緩和
■団地内建物・敷地の一括売却制度を創設
■団地内建物の全部または一部が滅失した場合の復旧方法を規定
・建替え円滑化法(再生円滑化法)
■建て替えその他の措置について自治体に建替に等円滑化指針に基づく助言・指導・勧告権を付与
■区分所有法で新たに規定される各種の処分制度についての事業手続きを整備
■隣地や底地の所有権を建て替え後のマンションの区分所有権に変換できる旨規定

(上記内容は、マンション管理新聞(2025年3月5日号)の記事より掲載)

 

「区分所有法・適正化法改正の法案一本化、3月国会提出へ」~国交省の法案、国土交通委員会で審議か~

投稿日:2025年02月11日 作成者:右田 順久 (437 ヒット)

区分所有法・マンション管理適正化法・同建替え円滑化法・被災マンション法の改正法案が1月24日に召集された通常国会に提出される見通しとなった。提出時期は3月上旬を見込んでいる。国土交通省が1月24日、提出予定法案を明らかにした。

    法案名は「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律案(仮称)」としており、区分所有法・被災マンション法・マンション管理適正化法・マンション建替え円滑化法の改正法案を一つの法案として提出する。審議も一括して行いたい考えを示している。
国土交通省参事官(マンション・賃貸住宅担当)付は「区分所有法等を含む一つの法案としてまとめて審議してもらう方向で調整中」だと説明している。
同省大臣官房総務課は、改正法案を審議する付託委員会については「国土交通委員会を希望しているが、それは国会でお決めになること」と話している。審議開始や法案決議の時期も「われわれが決める話ではないので申し上げられない」(同課)
同省不動産・建設経済局参事官(不動産管理業)付によれば、マンション管理適正化法の改正法案には管理業者管理方式の導入に際し管理者事務の受託契約に係る重要事項や利益相反の恐れが高い行為について、管理組合に対する事前の悦明会開催を義務付ける。
 同方式に関する部分の施行時期は「1年以内のどこかになるのかなという想定はされるが、法律が成立してからになるので制定されて言えない」とし、法案の中身も「審査中なのでお答えできない」(同参事官付)と話している。
同省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付によれば、管理適正化法改正法案では他に社会資本整備審議会・マンション政策小委員会の取りまとめ案を踏まえ、新築を追加する管理計画認定や自治体の勧告後の対応を可能にする仕組み等を検討している。
◇◇
 取りまとめ案で示された管理組合を支援する民間団体を自治体が登録できる仕組みは「マンション管理適正化支援法人(仮称)」の登録制度を創設して整える。
マンション建替え円滑化法の改正法案には一棟リノベーションなど区分所有法の改正で新設される決議に対応した事業手続きなどを盛り込む考えだ。
適正化法・円滑化法共に具体的な内容については「庁内で検討したり内閣府政局の審査中なのでお答えするのは難しい」(同参事官付)と明らかにしなかった。

 

 

(マンション管理新聞:令和7年2月5日号の記事より掲載)

利益相反に関して「説明会開催」を明示(国交省)~【管理業者管理者方式】の取りまとめ案の意見募集~

投稿日:2025年01月21日 作成者:右田 順久 (198 ヒット)

国土交通省は12月26日、社会資本整備審議会・マンション政策小委員会(齋藤藤広子委員長が12月20日に提示した取りまとめ案の意見公募手続きを始めた。
1月24日まで。案内から大きな変更はないが一部で修正が施されている。
「管理業者管理者方式への対応」では同方式の導入に際し、管理者事務の受託契約に係る重要事項や利益相反の恐れが高い行為について区分所有者への事前の説明を義務付ける旨の箇所に「あらかじめ管理組合に対する説明会を開催する」と解説を加えた。
同省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)は、委員の意見を踏まえ「説明はどういうものなのか明確にした」と話す。
管理組合の監事は「区分所有者に加えマンション管理士等の外部専門家を選任することが望ましい」と「区分所有者に加え」を追記。『マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン』で「区分所有者からも監事を選任することが望ましい」とされている点等を踏まえ修正した。
「管理計画認定制度の拡充等」では管理組合が任意で長期修繕計画や修繕積立金など公表できる検討に際し『「長期修繕計画ガイドライン』や『マンションの修繕積立金に関に関するガイドライン』等についても、必要な更新・見直しを行い、区分所有者や購入希望者等も適切な判断を可能とするような情報整備を行う」旨を追加した。
同参事官付は情報が「公開されたとしても判断基準がないと判断できないのでベースとなるものをしっかり更新していく趣旨」と説明、委員の意見を踏まえ追加した。ガイドラインは今回のマンション管理適正化法の改正に合わせて改正する考え。「毎年ちょっとづつ変えるよりは、必要に応じてまとめてやることを想定している」(同参事官付)「地方公共団体の体制強化」は「地方公共団体をはじめ地域全体で支援を行う体制の強化」の文言を修正。自治体の権限強化を踏まえ「ガイドライン・マニュアルや取組事例集等を整備する」などの内容を追加した。権限強化・体制の強化共に委員の意見を反映した。

 

(マンション管理新聞:令和7年1月15日付の記事より抜粋)

『2024マンション関連10大ニュース』~「管理不全」対策急も法改正は持ち越し~

投稿日:2024年12月21日 作成者:右田 順久 (424 ヒット)

 

2024年 マンション関連10大ニュース(マンション管理新聞)
1 注目集める「管理業者管理者方式」法制化へ
2 区分所有法改正 要綱答申も法案未提出
3 財産管理制度 自治体に申し立て権限付与へ
4 「引き上げ幅」不採用もガイドラインに反映
5 「置き配」でポイントも。、標準管理規約改正
6 適正化推進計画 東京・大阪が全域で策定
7 共用部分リフォーム融資 受理金額が最高額を更新
8 相次ぐ地震 マンション被害も
9 被害額9億円超 最大級の横領事件に発展
10 管理計画認定マンション 1500件超える

 

元日の能登半島地震で始まった2024年。標準管理規約が3年ぶりに改正され各種ガイドラインも改定。「管理業者管理者方式」の法制化に向け議論がスタートした。横領事件過去最大級の被害も明らかに。(以下、1~5大ニュースの詳細記事を抜粋し掲載。)

1 注目集める管理業者管理方式 法制化へ

国土交通省はマンション管理業者が区分所有法上の管理者に就任する「管理業者管理者方式」の法制化に向け議論を始めた。6月7日美に策定・公表した「マンション管理における外部管理者方式等に関するガイドライン」にのっとった「適正な運営を法制度上担保する観点」からマンション管理適正化法を改正し一定の実行力を持たせるのが狙い。同方式も検討対象としたマンション政策小委員会を10月に設置した。利益相反取引に対する区分所有者の保護などの視点で議論していく。12月20日の第3回会合で取り纏め案を示す予定だ。ガイドラインには同方式の留意点などが盛り込まれた。監事に外部専門家を導入ほか、利益相反取引等について日常管理における工事や取引発注で契約金額が総会決議や管理規約で定める今額以上は総会での承認を必須とすることなどが示された。
公益財団法人マンション管委センターはガイドラインを受け検討会を設置し予備認定基準の追加に着手。9月の取りまとめ案では管理規約案への「利益相反取引の制限」規定などが示されたが印鑑と通帳の同時保管禁止は見送った。10月の取りまとめでは歴相反の対象に監事を加えるなどの」修正を施した。来年2月から適用する。

2 区分所有法改正 要綱答申も法案未提出

法務省が目指していた今年の通常国会への区分所有法改正案提出が見送られた。
区分所有法制見直しを審議する法制審議会区分所有法制部会は1月16日の第17回会議で区分所有法等の改正に関する要綱案を審議し全会一致で決定。2月15日の法制審議会の総会で同要綱を全会一致で原案通り採択した。同日に法制審が法務大臣に答申した。当時、通常国会への提出を目指し時期は検討中としていたが、未提出となった。
同省秘書課は11月28日に召集された第216回臨時国会に改正法案を提出するかどうかについて「提出する法案については現在調整中で、現時点ではお答えできるものは何もないと」と話している。同課によれば改正法案を閣議に上程するかどうかも調整中。「それ以上お答えできることがない」(同課)と明らかにしなかった。臨時国会に提出しなかった場合、来年の通常国会に提出するかどうかもまだ調整中(同)としている。
要綱の中身を巡っては議論が活発だ、日本弁護士連合会(日弁連)は6月にシンポジウムを開催。区分所有法改正で重要な論点に上がっている「共用部分等に係る請求権の行使の円滑化」について、区分所有権の譲渡に伴い共用部分に係る損害賠償請求権も移転する「当然承継」採用を求めた。

3 財産管理制度 自治体に申し立て権限付与へ

 国土交通省は区分所有法の見直し要綱で創設が想定されている、専有・共用部分の管理制度について地方自治体にも申し立て権限を与える方針を固めた。マンション管理適正化法を改正し、特例をとして権限を付与する。6月10日に開かれた「所有者不明土地等対策の推進会議」で所有者不明等のマンションの再生などを円滑化する視点からマンション管理適正化法・同建替え円滑化法を見直す方針が示された。
この日提示された資料では、管理不全状態を是正しようと地方自治体が助言・指導・勧告を行っても「必ずしもマンションにおける合意形成ができるわけではなく、是正に至らない」と課題を指摘。管理不全マンションの是正に向けた自治体の権限強化のための方策として示された。
区分所有法制の見直しに関する要綱で示された「所有者不明専有部分管理制度」「管理不全専有部分管理制度」「管理不全共用部分管理制度」は、利害関係人の請求で裁判所が管理人を選任するが、同省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付は「地方公共団体であってもできるように適正化法に位置づけたい」と話している。 

4 「引き上げ幅」不採用も ガイドラインに反映

国土交通省の「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」で議論した管理計画認定制基準の見直しでは段階増額積み立て方式の積み上げ幅に注目が集まったが基準化は見送られた。

同省は均等積に立て方式にいた場合の月額を基準額とし、計画の暑気額は基準額の「0.6倍以上」、最終額は基準額の「1.1倍」以上とする考えを提示していた。3月26日の取りまとめ案では、「基準」とせず「適切な引き上げの考え方」にとどまったが、6月7日に改定された『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』には追加された。 

5 「置き配」でポイントも 標準管理規約改正

国土交通省は6月7日、マンション管理標準規約(単棟型・団地型複合用途型)を改正・公表した。同日、標準管理規約とは別に「置き配」に関する使用細則を定める際のポイント」も公表した。改正は3年ぶり。
置き配のポイントでは時間帯や宅配物を置くことが可能な場所、所定の場所に留め置くことができる期間、ルールに違反した場合の対応などを具体的に定めることを挙げた。
標準管理規約に置き配を入れなかった理由はについて同省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付は、「今まで他の使用細則のポイントを一切載せてないので」と説明している。標準管理規約は管理組合名簿・居住者名簿の作成、更新の仕組み、所在者等が判明しない区分所有者への対応、修繕積立金の変更などが盛り込まれた。

(マンション管理新聞:令和6年12月15・25日合併号の記事より抜粋)

『管理業者管理者方式』で監事の法規制の提案も~利益供与に危機感「絶対にあってはいけない」(国交省)、11/22政策小委員会・12月にまとめ案~

投稿日:2024年12月01日 作成者:右田 順久 (331 ヒット)

国土交通省は11月22日、都内で第2回マンション政策小委員会(斎藤広子委員長)を開いた。一般社団法人マンション管理業協会(管理協)、日本マンション管理士会連合会(日管連)、同マンション計画修繕施工協会(MKS・A)、同不動産協会(RECAJ)、NPO法人全国マンション管理組合会(全管連)がそれぞれの取り組みなどを紹介。委員と意見交換会を行った。
                                                                                                                                                      ◇
・日本マンション管理士連合会(日管連)の瀬下義浩会長は、管理業者管理者方式で、管理組合の監事にマンション管理士が就任した場合「利益供与が絶対にあってはけない」と指摘。管理         会社とともに「監事をする側にも法規制で罰則を含めた縛りをした方が宜しいかと考えている」と述べた。
また、管理組合の財産保全について、管理協の管理費等保証制度を例に「印鑑を預かる監事に関しても有効な補償契約という言葉をいれてもらった方が私はいいというふうに考えている      と保証措置に言及した。自治体の権限強化では「強制力をもって本当にボロボロのマンションに何とかしないと駄目だよと踏み込んでいけるような権限が絶対に必要になってくる」と指摘し」た。
・マンション管理業協会(管理協)の古川陽専務理事は、会員社の管理業者管理者方式取り組みとして、区分所有者の提案に対しウェブでアプリを通じて賛否を問い、賛成が多ければ正式
に会に諮る事例を紹介。こうした区分所有者の意見を取り入れる「工夫が一番重要」と述べた。
・全国マンション管理組合連合会(全管連)は畑島義昭会長と柿沼英雄副会長が報告。畑島会長はNPO法人福岡マンション管理組合連合会(福管連)が行う管理組合の役員等派遣事業では業務範囲を書面で契約し明確にしていることなどを説明した。
・マンション計画修繕施工協会(MKS・A)は喉の手術で声が出ない中野谷昌司専務理事に代わって林めぐみ事務局次長が代読。修繕履歴の登録・閲覧のシステムとして施工会社からの計画修繕工事の届け出義務化を提案した。「修繕履歴をビッグデータとして蓄積することが可能」と述べた。
・不動産協会(RECAJ)は、建替え組合設立認可公告後30日を経過した日から6カ月以内に権利変換計画が認定されない場合、価格の再評価が必要となるケースがあり。この「6カ月以内」の見直しなどを求めた。
・江守芙実委員は MKS・Aの修繕履歴の収集提案に関し、管理計画認定基準では修繕履歴情報の「管理」にとどまるとし「実際にそれが備えられているかどうかというところは基準になっていない」。 「そういう方に舵を切ってもいいのかなと思う一方、それを決めると認定する法の手間が非常に難しいだろうなと思っている」と述べた。
・第3回会合は12月20日の予定。取りまとめ案を提示する。

(マンション管理新聞:令和6年11月25日号の記事より掲載)

「外部管理者方式導入で『移行安全度リスト』」~日本マンション管理士会連合会が計15項目を提示~

投稿日:2024年11月09日 作成者:右田 順久 (337 ヒット)

一般社団法人日本マンション管理士会連合会(略称:日管連、瀬下義浩会長)は外部管理者方式を検討する管理組合向けに、同方式を導入する際のリスクを回避するためのチェックリストを作成し10月31日。ホームページで公開した。
マンション管理士ら外部の専門家、または管理業者が管理者に就任する「外部専門家管理者方式」「管理業者管理者方式」それぞれの「移行安全度」を計るもので計15項目を挙げた。
(下表をご参照)
             ◇
日管連は「項目が1つでも適用されない場合は安全ではないということになる」としている。
項目は国土交通省の『マンションにおける外部管理者等に関するガイドライン』の記載に基づいており、来年2月から適用される公益財団法人マンション管理センターの管理計画予備認定の追加基準にも合致させた。
日管連は外部専門家管理者方式について区分所有者の負担低減、専門家による高品質な管理運営が期待できる一方、「管理組合との利益相反などのリスク要因があることも事実」とし、外部専門家管理者方式へ移行する際のリスク洗い出しにチェックリストの活用を勧めている。

    【外部管理者方式を導入する際のリスクを回避する為のチェックリスト】  

マンション管理士が管理者となる場合(外部専門家管理者方式)
1-1 有効な賠償責任保険(含む第三者管理者特約)に加入している
1-2 印鑑を管理者に預ける場合、横領着服等犯罪に対する有効な補償に入っている
管理業者が管理者となる場合(管理業者管理者方式)
2-1 規約に管理会社等管理者の固有企業名が入っていない
2-2 規約に外部専門家(マンション管理士等)の監事の設置規定がある
2-3 外部専門家(マンション管理士等)監事の場合、有効な賠償責任保険に加入している
2-4 通帳は管理業者管理者、印鑑は組合員もしくは外部専門家(マンション管理士等)監事とされている
2-5 外部専門家(マンション管理士等)監事に印鑑を預ける場合、横領着服等犯罪に対する有効な補償がある
規約規定共通事項
3-1 管理者・監事が総会で選任される規定となっている
3-2 管理者・監事の任期が規定されており、任期は1~2年ととなっている
3-3 管理者・監事の欠格条項が規定されている
3-4 管理者・監事の誠実義務が規定されている
3-5 監事の意見陳述が規定されている
3-6 管理者・監事の利益相反防止が規定されている
3-7 組合員の総会招集権が、標準管理規約より厳しい規制をされていない
3-8 総会の議決事項が、標準管理規約17項目と同様以上になっている

(マンション管理新聞:令和6年11月5日号の記事より掲載)

 

『管理業者管理者』法制化(マンション管理適正化法改正)へ(国交省)~ガイドラインにのっとった運営を法制度上担保・来年の通常国会に法案提出~

投稿日:2024年10月14日 作成者:右田 順久 (914 ヒット)

マンション管理業者が区分所有法上の管理者に就任する「管理業者管理者方式」について、国土交通省は法制化を検討する。
6月7日に策定・公表した『マンションにおける外部管理者方式におけるガイドライン』にのっとった「適正な運営を法制度上担保する観点」からマンション管理適正化法を改正し、一定の実効力を持たせる狙いだ。同省不動産・建設経済局参事官付によれば、来年の通常国会への改正法案提出を念頭に置いている。
法改正後は有識者会議を設け詳細な運用等について検討する。施行日は未定。

   同局総務課企画官は法律の内容として、管理業者が管理者になったときの信義則、利益相反行為の禁止、報告義務のような「趣旨のことをイメージしていると」話す。
ガイドラインをベースにするが「法律論的にどれが法制化きるのか今調整しているところ。法制に位置づけられるものがあれば法制化したい。どれが盛り込めるのかは今の段階では言えない。」違反があった場合に監督処分や罰則対象にするかは「これから調整していくので申し上げられない」(同参事官付)としている。
法制化する理由について同参事官付は、ワーキンググループでのガイドライン作成の論議の中で、「『なるべく実効性が図られるようすべきじゃないか』といった意見も踏まえ、実態としてもトラブル事例やマンション管理センターに相談があるので区分所有者の保護を図る観点で検討する」と説明している。
適正化法改正後に有識者会議を設置し「施行に向けて詳細な運用や政省令を整理して有識者のご意見も踏まえながら実態とマッチする制度を検討したいと思っている」(同)
ガイドラインでは管理組合の通帳・印鑑の保管体制の望ましい対応や、利益相反取引等については日常管理における工事や取引発注で契約金額が総会決議や管理規約で定める金額以上は総会での承認を比すとすることなどが示されている。こうした点を有識者会議で検討の対象とするかは「議論するところではある」(同)
マンション管理適正化法の改正については住宅局が区分所有法制を見直し要綱案で示されている専有・共用部分の財産管理制度で、地方自治体にも申し立て権限を与える特例の付与を検討している。不動産・建設経済局参事官付によれば、これと合せて改正法案提出を念頭に置いている。

 住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付は、改正に当たり社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会を再度立ち上げ議論する進め方を想定している。
同小委員会で一緒に審議するかどうかについて不動産・建設経済局参事官付は「住宅局とあまり調整してないので今後調整していくことになると思う」と話している。
8月27日に発表した不動産建設経済局関係の2025年度予算の概算要求概要では改正後に設置する有識者会議の開催やマンション管理業の情報を一元的に把握できるポータルサイトの
整備費など、賃貸管理業の整備費も含め計3000万円を要求した。
同参事官付によればポータルサイトには同方式のメリット・デメリットや導入検討に資する情報の掲載をイメージしている。

(マンション管理新聞:令和6年9月5日号の記事より掲載)

『管理計画認定マンション・1000件を突破(8月2日付)』~7割強が「適正評価」に登録。50戸 以下が2割強。認定時の築年平均は21・5年、01年以降の竣工は542件~

投稿日:2024年09月01日 作成者:右田 順久 (574 ヒット)

公益財団法人マンション管理センターの専用閲覧サイトに掲載される管理計画認定マンションが8月2日付けで1000件に達した。5日の時点での認定数は1010件に上っている。認定マンションの7割以上が「マンション管理適正評価制度」への登録を行っていた。

管理計画の認定を行った自治体は、都道府県が認定する町村部を含め5件23区106市。都道府県別に見ると、最も認定数が多いのは東京都で273件。神奈川県が208件で2位。3桁を超えているのはこの2件のみ。大阪府94件、兵庫県77件、千葉県65件、埼玉県61件、愛知県55件と続く。
認定マンションが存在している中で最も少ないのは群馬・山梨・和歌山・岡山・高知・佐賀・大分県でそれぞれ1件。
市区別では、認定件数1位は横浜市で127件。唯一の3桁となった。2位は川崎市で60件、京都市が38件、大阪市と名古屋市が37件と続く(表参照)。
認定数が30件に達しているのは横浜・川崎・京都・名古屋・大阪・札幌・神戸の7市。認定数が1の自治体は44。政令都市は、20市のうち新潟市を除く19市で認定マンションが出ている。 東京都23区では全区で認定マンションが誕生している。最も多かったのは港区と世田谷区で21件。
◇◇
竣工年別に見ると、1970年以前が3件、71~80年が55件、81~90年が137件、91~2000が273件、01~10年が235件、11~20年が249件、21年以降が58件。
認定時、築40年以上だったのは97件。認定時の築年の平均は21.5年だった。
◇◇◇
認定マンションの中で最も古いのは、相模原市の「相武台第1住宅」で1963年。
個別規模で見ると最も多いのは31~50戸で235件。51~75戸で176件、76~100戸の131件が続く。
最も戸数が多かったのは船橋市の「ワンダーベイシティSAZAN」で1213戸、最も少なかったのは東京都港区の「赤坂新坂パークマンション」で9戸。
一般社団法人マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」に登録しているのは、8月16日時点で1010件中730件。全体の72.3%を占める。500件到達時の登録率を7.8%上回っている。評価は「星五つ」が598件、「星四つ」が131件、「星三つ」が1件。満点の100点を獲得したのは66件だった。

 

認定数上位の自治体(都道府県)   令和6年8月5日時点 

順位 自治体名 認定件数 順位 自治体名 認定件数
横浜市(神奈川県) 127 11 世田谷区(東京都) 21
川崎市(神奈川県) 60 12 福岡市(福岡県) 17
京都市(京都府) 38 13 板橋区(東京都) 16
名古屋市(愛知県) 37 14 所沢市(埼玉県) 16
大阪市(大阪府) 37 15 台東区(東京都) 15
札幌市(北海道) 35 16 仙台市(宮城県) 15
神戸市(兵庫県) 30 17 吹田市(大阪府) 15
さいたま市(埼玉県) 22 18 中央区(東京都) 14
港区(東京都) 21 19 墨田区(東京都) 13
10 千葉市(千葉県) 21 20 宝塚市(兵庫県) 13

 

◆戸数規模別の認定件数            ◆築年別の認定件数

戸数 認定件数 築年 認定件数
20戸以下 57 ―1970
21~30戸 115 1970―1980 55
31~50戸 235 1981―1990 137
51~75戸 176 1991―2000 273
76~100戸 131 2001―2010 235
101~150戸 92 2011―2020 249
151~200戸 57 2021― 58
201~300戸 56     ―
301~500戸 52     ―
501戸以上 39     ―  ―

(マンション管理新聞:令和6年8月25日号の記事より抜粋掲載)

『カスハラ対応』が最多、2位は「業務範囲の明確化」(標準管理委託契約書反映状況)~マンション管理業協会のマンション管理トレンド調査~

投稿日:2024年08月07日 作成者:右田 順久 (606 ヒット)

マンション標準管理委託契約書、反映する内容は「カスタマーハラスメント対応」がトップ。一般社団法人マンション管理業協会(管理協)が7月19日に公表した「マンション管理トレンド調査2024」の結果概要で、昨年9月に改訂された同契約書を管理組合に提案している場合の、契約書への反映内容を尋ねた設問があった。2位は「管理業務範囲の明確化」だった。管理計画認定制度では認定を受けたマンションがある管理会社が前回比で倍増している。
   ◇
調査は6回目。前回同様、IT活用、管理計画認定制度の取り組み状況などを尋ねている。前回から「長期修繕計画における修繕積立金不足」・「複合用途型・タワーマンション」への各対応を追加し、今回は昨年9月に改訂されたマンション標準管理委託契約書の反映状況等を尋ねた。今年4月1日~5月17日、会員348社を対象に実施し333社が回答した。回答率は95.7%。            ◇◇
【マンション標準管理委託契約書の反映状況】
昨年9月に改訂された同契約書の提案状況は102社が「積極的に提案している。(改訂済み)、104社が「現在提案中」(未改訂)と答えた。契約書に反映する、もしくは予定する項目は「カスタマーハラスメント対応」(164社)が最多(表➀を参照)。2位は「管理業務の範囲の明確化」(160社)だった。「管理組合の組合員から管理会社への要望がますます過剰になっていくのではないかと危惧しているといった意見が上がった。通知義務(13条)コメントの「感染症・認知症を知った場合の通知」について「内容に対応する条文の例も、今後、標準管理委託契約書に追記いただきたい」とする意見もあった。

【長期修繕計画における修繕積立金不足の対応】
直近1年間に管理物件に提案した施策ついて尋ねた。最も多かった回答は前回同様「修繕積立金」値上げ。「修繕工事の見送り、仕様ダウン等」が4位から3位に浮上した。(表②を参照)計画期間内資金ショートが発生する管理組合に今後提案を検討している施策も、トップは積立金の値上げ。以下長計見直し(修繕終期の長期化等)、修繕工事の見送り・仕様ダウン等と続く。

【複合用途型・タワー型マンションへの対応】
管理上の問題・課題は、前回同様「高度な要求に対応できる営業担当(フロント)の配置」「特殊な設備の点検・修理」「高度な要求に対応できる管理員・コンシェルジュの配置」がトップ3。複合タワーマンションでは「商業と住宅では求める管理レベルが異なり、利害関係が一致しないことが多々ある。今後外壁補修の時期等でも協議が整わない可能性が高い」とする意見もあった。

IT活用】
「導入済み」が最も多かった回答は前回同様「ウェブ会議システムの導入」で233社。前回比7社増。IT重説・書面の電子化は「ITを活用した重要事項説明」導入済みが48社で最多。

【管理計画認定制度】
会員の18.4%に当たる64社が「すでに管理計画認定制度を受けたマンションがある」と回答。前回の30社から倍増した。「特に検討していない」は前回比7社増の86社。理由は「管理計画認定が取れそうにないため」が28社で最多。重要事項調査報告書に制度認定の有無欄を設けているのは49社にとどまった。

【管理計画評価制度】
前回比21社増の68社が「すでに管理適正評価制度に登録したマンションがある」と答えた。 重要事項調査報告書に制度登録の有無欄を設けているのは35社。同制度の登録と管理計画認定申請に際し、管理協の「ワンストップサービスを利用している」と答えたのは35社。25社が「両制度を別々に申請している」と答えた。

【働き方改革等】
110社が「新型コロナ対応により新たな取り組みを始めた」、139社が「すでに取り組んでいた」と答えた。

 

➀標準管理委託契約書に反映した(する)内容  

回答(会社数) 項目
164 カスタマーハラスメント対応(標準委託契約書第8条、12条)
160 管理業務範囲の明確化(同2条)
137 書面の電子化、IT総会・理事会等DXへの対応(同25条他)
130 働き方改革に関する対応(別表第2)
119 居住者の高齢化・感染症まん延等への対応(同9条、13条)
99 現金収納業務の追加(別表第1)
その他
 *上記の件数は複数回答を含む。

 

②長期修繕計画における積立金不足対応として直近1年間に行った提案

回答24年度 回答23年度 提案の内容
300 297 修繕積立金の値上げ
235 222 長期修繕計画の見直し           *修繕終期を長期化等
163 145 修繕工事の見送り、仕様ダウン等
151 162 管理費支出削減分を修繕積立金口に振り替え *電子ブレイカー・LED等
122 102 共用部分リフォームローンの活用
119 111 駐車場の外部貸し等              *収益事業
62 68 管理費支出削減分を修繕積立金口に振り替え  *管理仕様ダウン
37 45 管理費支出削減分を修繕積立金口に振り替え  *管理委託費の値下げ
10 12 特になし
10 その他
*上記の回答件数は会社数 *上記の件数は複数回答を含む。

 

(マンション管理新聞:令和6年7月25日号の記事より掲載)

『大規模物件で外部専門家活用拡大』~2023年度マンション総合調査の結果報告(その2)~

投稿日:2024年07月20日 作成者:右田 順久 (494 ヒット)

国土交通省が発表した2023年度のマンション総合調査結果について、マンション管理新聞では数回に分けて掲載している。今回は管理組合向け調査の「専門家の活用」から「外部専門家」をピックアップ。前回調査同様、「活用したことがない」が5割以上に達している。活用したことがある専門家は建築士が最多。2位は弁護士だった。

専門家の活用状況は下の表をご参照。トップは4回連続で建築士(15.6%)。前回比0.8%増のマンション管理士と同0.1%の管理業務主任者が共に13.8%で同率3位。報酬を得て管理計画認定申請手続きもできる行政書士(1.1%)が今回追加されたが、同0.2%減の公認会計士と同率最下位。
「活用したことがない」は同1.7%減の53.3%だが、総戸数規模別では全10区分中7区分で減少した。特に大規模物件で専門家の活用割合が高くなっている。
「301戸以上500戸以下」で「活用したことがない」は前回比9.5%減で29.8%。「500戸以上」は同比4.8%減の11.4%だった。
◇◇
 建物の形態別でも顕著で団地型は13.1%も減少して初めて3割を切り、単棟型との差は28.6%と過去最大を記録した。
選任理由のトップ3は同4.1%増の「大規模修繕等の実施」(47.4%)。同1.2%減の「」知識・ノウハウの不足」(32.7%)、「管理費の滞納等への法的措置」(30.5%)で前回同様。今回追加された「管理の適正化」が28.6%で4位。活用方法は「単発のコンサルティング業務」、「顧問契約」がそれぞれ4.0%、1.8%増で前回同様トップ2.
理事長・副理事長ら役員への就任は5%に満たないが、理事長以外の就任はいずれも前回比増。「監事への就任」は前回比で1.0%上昇した。

 

                                外部専門家の活用状況(重複回答)                          単位:%

専門家(資格者名) 2023年度 2018年度 2013年度 2008年度
弁護士 14.5 15.2 18.7 18.6
建築士 15.6 15.6 24,4 22.7
マンション管理士 13.3 13.0 16.4 13.1
公認会計士 1.1 1.3 1.7 1.8
税理士 4.3 4.0 2.6 1.8
司法書士 2.7 2.7 4.6 3.0
行政書士 1.1
管理業務主任者 13.8 13.9
その他 3.3 3.1 4.3 3.6
活用したことがない 53.3 55.0 45.4 49.7
不明 5.3 3.2 6.5 6.6

(マンション管理新聞:令和6年7月15日号の記事より抜粋)

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