設計コンサル『全国的な連絡会結成を』関係4団体参加協議会・申し合わせ事項発表~大規模修繕「適正取引」で検討~

投稿日:2017年11月20日 作成者:右田 順久 (1705 ヒット)

「不適切コンサル」問題などを受け、大規模修繕工事の適正取引を促す方策を検討しようと今年4月、マンション管理関係4団体で発足した「マンション計画修繕工事における適正通引推進協議会」(川上湛永代表)は11月14日、マンション計画工事における適正取引に関する申し合わせ事項を発表した。
申し合わせ事項は、協議会参加団体は会員・構成員に対して適正取引に関する指導を行う―など3項目(下記を参照)。付帯事項として協議会にオブザーバーとして参加した改修設計コンサルタント団体、設計事務所らに今後の連携・情報共有を目的として全国的な連絡会(仮称・全国マンション改修設計コンサルタント連絡会)の結成を要望する。

協議会には一般社団法人マンション管理業協会、NPO法人全国マンション管理組合連合会(全管連)、一般社団法人マンション計画修繕施工協会、同・日本マンション管理士会連合会(日管連)が参加。
発表の席上、川上代表は、協議会の発足から申し合わせ事項の発表まで半年しかなった点に触れ「これからじっくりと取り組むテーマ」と言及。日管連の親泊会長は、設計コンサルタントについて、「そもそも設計として工事に携わる者が業者選定にかかわるのはどうか」と、現状に疑義を呈した。参加団体は各自倫理規定や会員行動要領などを設けており、事実上リベートの収受などを禁じている。全管連は「不適切コンサル問題」についての相談窓口をインターネット上に設ける。日管連は大規模修繕工事事業全般の運営を支援するためのノウハウづくりに取り組んでいく、といった対応を執るなどとしていた。

【申し合わせ事項】
1.当協議会参加団体は、会員社または構成員に対しての適正取引に関する指導を行う。
1.当協議会の参加団体は、信義誠実の原則に基づき社会的信頼を確保する。
1.当協議会の参加団体は、マンション関係団体連絡会と改変し、今後も情報の共有、連携を継続する。
付帯事項
今回オブザーバー参加していただいた改修設計コンサルタント団体、設計事務所の方々をはじめとして、マンション改修設計コンサルタントを業とする方々に、今後の連携情報共有を目的として全国的な連絡会の結成を本協議会として要望する。
(マンション管理新聞:平成29年11月15日付)

既存マンションの管理評価手法目指し制度に磨き<日管連>~マンション適正化診断サービス:来年から評価方法など変更~

投稿日:2017年10月31日 作成者:右田 順久 (2185 ヒット)

一般社団法人日本マンション管理士会連合会(日管連、親泊哲会長)が、おととし始めた「マンション管理適正化診断サービス」の調査内容・評価方法を来年から一部変更する。
修繕積立金の滞納状況についての調査を追加するなど、「長期修繕計画・修繕積立金」、「法定点検・修繕工事」における調査内容などを見直し、より適正な診断と評価ができるようにする。これまでは「割安な損害保険に加入できるかどうかを知る」ためのサービスという色合いが濃かったが、今後は既存マンションの管理評価手法として管理組合に認知される制度を目指す。

「マンション管理適正化診断サービス」は2015年7月にスタート。診断結果に応じ、日新火災海上保険が発売する火災保険の割引が受けられるなどのメリットがある。日管連によれば、今年8月末現在で2131管理組合・3075棟が同サービスを利用している。1年で約1000管理組合が利用した計算で、「好評を博していると評価できる」(佐藤優副会長)と、日管連も好感触を得ているようだ。
同サービスは管理実態や長期修繕計画の見直し状況など、14の大項目をも設け、それぞれ内容を確認。マンションの築年別に、状況に応じて得点を付け、最終的にS、A、Bの3段階で評価を行う。今回は、この診断項目ごとに設けているチェックポイントや加点基準を一部変更した。来年1月1日から適用する。
長期修繕計画では「均等積み立て方式」を採用し、計画の最終年の資金計画が黒字の場合、加点対象になるよう配慮したほか、修繕積立金の設定状況では管理費・修繕積立金を3ヶ月以上滞納している区分所有者がいない」などの調査項目を新設した。給・排水管工事に対しては、漏水事故が増加傾向にある点も加味し、加点対象を厳しくした。施工業者が大規模修繕瑕疵保険に加入し、保証期間内かどうかも見る。
評価事項の変更について佐藤優副会長は「これまで保険のためのサービスというウエートが高く、ソフトの見極めが少なかった。今回の改定ではソフト面での項目を増やした」と説明する。最高ランクの「S評価」を得るのは、今までより難しくなりそうだ。「今後は『既存マンションの管理評価ならこのサービス』というように、制度に磨きをかけていきたい」と意欲を見せる。
◆◆
〚マンション管理適正化診断サービス〛・・・研修プログラムを終了した「診断マンション管理士」が、管理実態や長期修繕計画、修繕工事の実施状況など計14項目についてチェックを行い、診断結果やアドバイスを記した「マンション共用部分診断レポート」を作成、提供する。診断は無料で実施する。診断は無料で実施する。診断結果はS、A、Bの3段階で評価し、結果に応じて日新火災海上保険が発売する共用部分用火災保険「マンションドクター火災保険」の保険料金の割引が受けられる。S評価を受けたマンションの管理組合には、イオンプロダクトファイナンスの「共用部分リニューアル融資」を利用する際に優遇金利が適用されるなどのメリットがある。
(マンション管理新聞:平成29年10月25日付記事の抜粋)

民泊の可否 条文整備(標準管理規約改正・国土交通省)~新築時の原始規約 細則委任も想定~

投稿日:2017年09月08日 作成者:右田 順久 (1867 ヒット)

国土交通省マンション政策室は8月29日、マンション標準管理規約・同コメントを改正し、公表した。6月9日に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)を踏まえ、民泊事業の可否を定める条文を整備した。
6月19日に示された改正案から大きな変更はなかったが、新築時の原始規約においては民泊の可否について「使用規則に委任しておくこともあり得る」旨の考えをコメントに追加した。

改正は単棟型に加え、団地型、複合用途型で行われている。民泊の可否を定める規定は12号2項として整備された。昨年11月に提示された「特区民泊」の可否を定める条文例も12条2項として想定されているが、標準管理規約の改正という形で提示されていないためか、条文番号はついていなかった。条文・コメントともに、改正案とほぼ同じ内容だが、新築時に原始規約で民泊の可否について使用細則に委任しておくこともあり得る、とする考えを12条関係のコメントに追加した。民泊を認める場合の標識の取り扱いについて記した18条関係のコメントも「標識」を「標識の掲示場所等」に改め、別添4「管理情報提供様式に記載のある項目例」の専有部分使用規制関係にも民泊の可否を追加している。この2点は、いずれもパブリックコメントに寄せられた意見に配慮して行われた変更だ。

6月19日から7月18日まで1カ月間行われたパブリックコメントには、1120件の意見が寄せられた。団体を含む意見提出者数は、,294件と、前回改正時における760件・125を大きく上回った。最も多かった意見は「専有部分の用途等」で289件。法施行に間に合わない場合の対応や考え方を明らかにするよう求めたり、「特区民泊が含まれるのかどうかが不明」「特区民泊、民泊新法、旅館業法、シェアハウスをそれぞれの項として掲げる必要がある」といった意見が挙がった。規約で民泊を制限できるのは「せっかくの新法が完全な骨抜きになる」との意見もあった。
マンション政策室は「届け出の際に民泊を禁止する旨の管理規約などないか確認したい」とした上で、規約の改正までには一定期間を要することから「総会・理事会決議を含め、管理組合として民泊を禁止する方針が決定されていないことを届け出の際に確認する予定」だとした。特区民泊については、特区民泊の可否を定めるよう求めた。「専有部分の貸与」には269件、その他全般に関する事項や改正事項以外に係る意見として297件が寄せられた。民泊の賛否については「あくまで感覚的な話で、具体的2何割くらいとはいえないが、どちらかといえば反対的な意見が多かった」(マンション政策室)としている。
(マンション管理新聞:平成29年9月5日付)

団地の敷地売却も検討・17年度中にガイドライン~国交省・団地再生検討会(8月1日初会合)~

投稿日:2017年08月07日 作成者:右田 順久 (1974 ヒット)

国土交通省は8月1日、東京・霞が関で「住宅団地の再生のあり方に関する検討会」(浅見泰司座長)の第2期第1回会合を開いた。昨年1月まで行われた第1期検討会での取りまとめを踏まえ、新たな再生手法や、建替え円滑化法上の敷地売却制度を団地マンションへ活用する場合の要件について検討する。
来年3月末に中間とりまとめを行い、敷地売却・一団地認定の要件取り消し・再開発の枠組みを生かした団地再生について、それぞれガイドラインを策定する方針だ。
会合では、団地の敷地売却制度について、現行法令を前提とした仕組みの案が提示された。土地を共有する全棟で耐震性が不足しているケースを対象にし、各棟で5分の4の決議を行えば、団地全体の敷地売却を可能にする。原則、同一法人やグループに売却することとしている。
ただ、委員からは「計画がしっかりしていれば別の事業者に売却してもいいのではないか」「1棟は売却、1棟は耐震改修というような手法も考えられるのでは」との意見も上がった。同省は「まずは現行法に則した制度を作り、その後課題を精査して考えたい」と述べた。
特定行政庁による一団地認定の職権取り消しについては、取り消しを行った際、公告区域内の全ての建築物に建築基準法違反が発生しない場合など、計4つの職権取り消しに係る例に基づく手続き方法や留意事項をまとめる。
第2期は2019年3月末までに計7回、会議を予定している。次回会合は10月ごろ開催する予定だ。(マンション管理新聞:平成29年8月5日付)

国交省立入検査 64社45.4%が違反 前回比7.6ポイント増~マンション管理業者141社を任意抽出 最多は「重要事項の説明等」~

投稿日:2017年07月29日 作成者:右田 順久 (1450 ヒット)

国土交通省は7月19日、マンション管理業者に対する2016年度全国一斉立ち入り検査結果を発表した。是正指導率は45.4%。過去5年間では最も高い数値で、前回比で7.6ポイント上昇した。

05年度の実施以来、12回目。全国のマンション管理業者のうち各地方整備局、北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局が141社を任意抽出し、16年10月から約3ヵ月間、事務所等への立ち入り検査を行った。登録業者数は2131。
検査は前回同様、管理業務主任者の設置や契約の成立時の書面の交付など5つの重要事項を中心に実施し、64社で、マンション管理適正化法の違反状態を確認。是正指導を行った。09年5月に省令改正した同法の制度改正に係る違反以外の是正者数は36。
前回比で、是正指導者数、是正指導比率共に増加した。同省は過去5年間の平均42.3%とし、「全体的な傾向としては例年並み」とする一方で、「省令改正による制度改正への理解不足が依然として見られる」としている。
5項目のうち、是正指導件数が最も多かったのは「重要事項の説明等」。不動産業課によれば、書面の記載ミスや漏れ等による違反が多くみられた。次に多かったのは「契約成立時の書面交付」で、こちらも説明書面の記載ミスや漏れが多数を占めた。
8年前の制度改正は「財産の分別管理」を主な内容としていたため、同項目では制度改正に係る違反が目立っていた。同課は「月次会計状況の報告書面の交付の遅れが多かった」とし、書面の記載ミスや漏れも確認されたと話す。財産の分別管理の認識不足も少なくなく、「イロハ方式」による財産管理の「徹底ができていない」(同課)現状だ。是正指導率が減少を示した「管理事務の報告」(14.2%、前回比2.1ポイント減)では、報告の遅れよる違反がほとんど。                       ◇
是正指導社数64のうち、一般社団法人マンション管理業協会(管理協)の会員会社で指導を受けたのは4社。管理協の担当者は「毎年減少傾向にあるのは一定の評価ができるが、究極の目標はゼロ。4社でも違反があったのは残念」と話している。
同省は「依然として協会社員において適正化法違反が見られることは誠に残念」とし、管理協に対し昨年度に引き続き同日付けで会員会社への管理適正化を要請。管理協は今年10月から12月にかけて、同法違反の未然防止などをテーマにした特別研修会を開く予定だという。

同課によると管理協会員・非会員の立ち入り検査結果の内訳についても纏めており、是正指導率については会員会社13.8%に対し、非会員会社は53.6%。差は昨年度末よりも拡大し、4倍近く開きがある。同省は「悪質な適正化法違反に対しては、適正化法に基づき厳正かつ適正に対処していく」としている。
(マンション管理新聞:平成29年7月25日付)

法案成立後「速やかに」モデル規約案を提示・トラブル防止へ<民泊新法案衆院で可決>~規約改正、間に合わなければ理事会・総会の“方針”でもOK~

投稿日:2017年06月13日 作成者:右田 順久 (1628 ヒット)

住宅地での民泊を認める住宅宿泊事業法、いわゆる「民泊新法」法案が6月1日、衆院本会議で可決された。参院審議を経て今国会で成立する見込みだ。
5月30日の国土交通委員会(西銘恒三郎委員長)では、分譲マンションで民泊事業を行うには、届け出の際、管理規約に民泊を禁止する規定がない旨を記載させるようにするなどのトラブル防止策が提示される一方、民泊を禁止する場合と許容する場合の管理規約例を、法案成立後、早急に提示する考えが明らかにされた。
委員会で中村裕之委員(自民)の質疑に答えた藤井比早之政務次官は「トラブル防止に向け、マンション標準管理規約を早急に改正し、モデルとなる規約例を示す必要がある。法案成立後、速やかに改正標準管理規約を公表できるようにする」と答弁。一方で「管理規約の改正には一定の期間を要する」と実態を踏まえ、「管理規約上に民泊を禁止するか否かが明確に規定されていなくとも、管理組合の総会・理事会決議を含め、管理組合として民泊を禁止する方針が決定されているかどうかについて届け出により確認する」と述べ、「禁止する方針を決定したマンションにおける民泊事業の実施を防止する」考えを示した。
法施行に伴い、実際には民泊を禁止したくても、施行日までに管理規約が間に合わないケースを念頭においたものだ。同日の質疑で、由木文彦国土交通省住宅局長は民泊の可否について「管理規約上で明確にしておいて頂くことが望ましい」旨の認識を示した。
(マンション管理新聞:平成29年6月5日付)

『「注意事項」参考に』改正個人情報保護法5月30日全面施行~個人情報保護委員会:収集・保管時のルールを提示~

投稿日:2017年05月15日 作成者:右田 順久 (1617 ヒット)

5月30日の改正個人情報保護法の全面施行が迫っている。改正後は個人情報を取り扱う人数要件が撤廃され、居住者名簿を作成・利用する管理組合は「中小規模事業者」として法の適用対象となる。ただ、個人情報保護委員会が昨年11月に公表した同法ガイドラインには、業界団体・管理会社から「管理組合が具体的にどう対応すべきかイメージができない」などの意見が寄せられていた。
同委員会はこれを踏まえ、3月に個人情報を取り扱う場合の「注意事項」を公表している。正式名称は「自治会・同窓会向け 会員名簿を作るときの注意事項(個人情報保護法の改正に伴う対応について)」。タイトル通り本来は自治会・同窓会向けだが、同委員会は「管理組合もこの『注意事項』を参考にすれば基本的には大丈夫」だとしている。「注意事項」では個人情報を集めて第三者に配布や提供をする場合、本人から同意を得る、利用目的を特定し通知・公表する、集めた個人情報の適切な安全管理措置を講じる、など取り扱いのルールを明記。災害発生時の安否確認、委託先に提供するなどの場合は、本人の同意がなくても第三者に名簿を提供できるとしている。
一般社団法人マンション管理業協会(管理協)も会員会社からの問い合わせに対し、『注意事項』を参考にする旨管理受託組合に周知するよう、案内している。「『注意事項』を管理組合に置き換えて考えてもらい、さらに管理組合向けに解説を施した形で通知している」(業務部)。管理会社には「今回の改正は規制強化ではなく、あくまでも個人情報の利活用の促進」(同)として法令を順守した業務の遂行を促しているという。「注意事項」は同委員会ホームページから閲覧することができる、(マンション管理新聞:平成29年5月15日発行)

「東京都 『マンション管理ガイドライン』 12年ぶり改訂」~管理業者・管理士編を新設~

投稿日:2017年04月09日 作成者:右田 順久 (1636 ヒット)

東京都は3月30日、『マンション管理ガイドライン』を改訂し、発表した。2月に公表された改訂案から、大きな変更はない。
昨年改正されたマンション標準管理規約をはじめ、都のマンション関係制度や現行の関連法令等に準拠。「管理業者編」「管理士編」を新設した。

「管理組合編」には「管理費」などを新設。改正標準管理規約に則し、コミュニティー形成の重要性を訴える一方、管理組合と自治会・町内会の活動を混同しないよう明記した。どういった経費が「管理費」に該当するのかも示した。大規模修繕工事についても追記した。今回新たに加えられた「防災対策」は防災組織の設置やマニュアル作成、「耐震化対策」は耐震改修に係る融資活用等を促している。「マンション再生」では、建て替えか修繕か、将来の方向性を決める際のフロ―チャートを掲載した。
「管理業者編」「管理士編」ではそれぞれの業務内容のほか、実務に当たる上での留意点をまとめている。
(マンション管理新聞・平成29年4月5日付)

大規模修繕 発注適性化で通知<国交省>~設計コンサルの「利益相反行為(マージン得ようと工作)」を提示~

投稿日:2017年02月07日 作成者:右田 順久 (3715 ヒット)

大規模修繕工事における「設計・監理方式」で、設計コンサルタントが管理組合の利益と相反する立場につくケースが報告されているとして国土交通省は1月27日、担当課長名義で関係団体に通知した。大規模修繕でトラブルや疑問が生じたときは、公益財団法人マンション管理センターなどの相談窓口の活用を周知するよう求めた。

通知名は「設計コンサルタントを活用したマンションの大規模修繕工事等の相談窓口の周知について」。住宅局市街地建築課長、土地・建設産業局建設市場整備課長名で出した。通知では、大規模修繕工事における「設計・監理方式」は、「適切な情報を基に透明な形で施工会社の選考を進めていくためにも有効であるとされています」とする一方、「管理組合の利益と相反する立場にたつ設計コンサルタントの存在が指摘されています」と具体例を示した。<下記※①を参照>
その上で昨年3月に改正されたマンション管理適正化指針で「工事の発注等は利益相反等に注意して行われる必要がある」旨が管理組合の留意事項に盛り込まれた点に言及。設計・監理方式を採用する場合は「設計コンサルタントが利益相反行為を起さない中立的立場を保つ形で施工会社の選定が公正に行われるよう注意する必要がある」とし、管理組合の取り組み例を示した。  <下記※②を参照>
相談先には公益財団法人マンション管理センター、同・住宅リフォーム・紛争解決センターを挙げている。
一方、建設労働者の社会保険未加入問題を受け、現在業界が契約見積もりに適正な法定福利費の計上と発注者の理解に取り組んでいる現況に触れ、マンションの大規模修繕工事の発注に際しても、適切な法定福利相当を含んだ額で契約を結ぶよう求めている。
通知は一般社団法人マンション管理業協会、同・日本マンション管理士会連合会、公益財団法人マンション管理センター、NPO法人全国マンション管理組合連合会宛て。通知で示した事例は、同省・マンション政策室が実施した工事発注に関するヒアリングで得られた証言等を引用した。
(マンション管理新聞:平成29年2月5日付)
◆◆◆◆◆
※①指摘されている事例
・最も安価な見積金額を提示したコンサルタント業務を依頼したが、実際に調査診断・設計等を行っていたのは同コンサルタントの職員でなく、施工  会社の社員であったことが発覚した。コンサルタント(実際には施工会社の社員)の施工会社選定支援により同施工会社が内定していたが、発覚が契約前だったため、契約は見送られた。なお、同コンサルタンとのパンフレットには技術者が多数所属していると書かれていたが、実質的には技術者でない社長と事務員1人だけの会社であった。
・設計会社が、施工会社の候補5社のうち特定の1社の見積もりが低くなるよう、同社にだけ少ない数量の工事を伝え、当該1社が施工会社として内定したが、契約前に当該事実が発覚したため、管理組合が同設計会社に説明を求めると、当該設計会社は業務の辞退を申し出た。このため、別の設計事務所と契約したところ、辞退した設計会社の作成していた工事項目や仕様書に多数の問題点が発覚し、全ての書類を作り直すこととなった。
・一部のコンサルタントが、自社にバックマージンを支払う施工会社が受注できるように不適切な工作を行い、割高な工事費や、過剰な工事項目・仕様の設定等に基づく発注等を誘導するため、格安のコンサルタント料金で受託し、結果として、管理組合に経済的な損失を及ぼす事態が発生している。

※②取り組み事例
○利益相反的な提案をしてきた設計会社を除外して選定した事例
・管理会社において、公開資料に記載の実績等を基に3社に見積もりを依頼し、設計会社を決定。3社のうち2社は、設計費は安価だったものの、工事とセットでの契約が条件となっており、かえって高額になるため、選定されなかったもの。 管理組合において、新聞・雑誌・経験上の知識等の情報を基に15社に見積もりを依頼し、うち7社から見積もりが提出され、金額・内容・実績等を勘案し、上位2社に絞り込んだ。工事項目の絞り込みなど工事費の削減に向けた提案を行った施工会社を管理組合が決定。
○施工会社を公募など透明な形で募集し、理事会における投票・審議など公正な手続きの下で決定した事例。
・設計会社は、公募および紹介に基づく13社のうち、5社に関して管理組合の担当役員が個別面談を行い、予算超過であった最高値の会社と、設計業務を十分に行えないと考えられる額であった最安値の会社を除外し、3社に絞り込み、組合員で設計に詳しい者と相談しつつ、理事会の過半数賛成となるまで、理事会投票を数次重ね決定。施工会社は、管理組合からゼネコン6社に提案を依頼し、書類審査により3社に絞り込み、理事会投票を数次重ね決定。
・設計会社は、管理組合において、従前から理事会のアドバイザーに就任していたマンション管理士の協力を得ながら、管理組合団体や他の管理組合からの紹介に基づき候補5社を選定し、提出された見積金額・実績・会社規模等を勘案して1社に絞り込み、定期総会で承認。施工会社は、専門紙で公募し、5社に現場を案内した上で、見積金額・実績・工事内容・会社規模・アフターケア等を勘案して管理組合の担当役員が1社に絞り込み、臨時総会で承認。

『管理不全予防制度』実行プラン発表、20年度までに創設・実施<東京都>~マンション再生・普及啓発・支援も~

投稿日:2017年01月18日 作成者:右田 順久 (1681 ヒット)

小池百合子東京都知事が策定を表明した「2020年に向けた実行プラン」が12月22日、知事の定例会見で発表された。17年度から20年度までの4ヵ年計画で、500に及ぶ政策目標を掲げている。
住宅の耐震化促進では、耐震アドバイザーの派遣や耐震診断・改修助成等の支援」を強化し、旧耐震基準マンション耐震化を促す。20年度までに住宅全体の耐震化率95%以上を目標にする。特定緊急輸送道路沿道建築物は19年度までに耐震化率90%、25年度までに100%を目指す。
分譲マンションの維持管理にも触れた。管理組合による適切な管理が行われるよう、都が作成している『マンション管理ガイドライン』を改定・周知するなどした普及開発を実施したり、管理状況の実態把握や個々の状況に応じた支援を区市等と連携して推進する。
老朽化マンション対策では、改修・建て替え・建物と敷地の一括売却等の再生手法の中から、管理組合が適切な選択を行えるよう専門家とも連携して、マンション再生の普及啓発や支援を行う。街づくりと連携して建て替え等を円滑化する仕組みとして「マンション再生街づくり精度」(仮称)の創設も提唱。17年度以降に制度を開始し、20年度までに6地区の指定を行う。管理不全の予防・改善のための登録・報告制度も設ける。20年度までの創設・実施を目指す。同プランに盛り込まれた施策は都が昨年発表した「良質なマンションストックの形成促進計画」や「耐震改修促進計画」に提示されたものとほぼ同様。
(マンション管理新聞:平成29年1月15日付)

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