投稿日:2016年02月18日 作成者:右田 順久 (1872 ヒット)
東京都は2月8日、今後10年間のマンション施策の目標を定めた「良質なマンションのストックの形成促進計画(案)」を発表した。22日まで意見を募集する。
2月1日に都住宅政策審議会で承認された都マンション施策推進計画案と同じ内容。2016年度から25年度まで展開予定の施策について数値目標等を定めている。マンションの基本情報登録制度、管理状況報告制度は施行を経て18年度に構築する予定。制度の義務付けなど条例化は妥当性を慎重に検討する姿勢だ。「耐震性を有しないマンションストックの比率」は14年度末12%に対し,25年度おおむね解消」を目標に掲げている。
都内旧耐震基準マンションは約1万2000棟。うちアンケート回収し約2300棟の耐震診断実施率は約17%、耐震改修実施率は約6%だった。
(マンション管理新聞・平成28年2月15日付)
投稿日:2016年01月18日 作成者:右田 順久 (2334 ヒット)
石井啓一国土交通相は1月4日、記者会見で、住宅団地再生促進のため、今通常国会に都市再開発法の改正法案等を提出する方針を示した。土地の所有者数を共有者数全体で一人と数える現行の規定を改め、構成する所有者単位で数える。
同法では所有者等の3分の2以上の同意で事業が進む。同省は区分所有法によらない、公法の法定再開発方式で団地建て替えを促進したい考えだ。会見で石井国交相は「区分所有法の改正ではなく、年再開発法の改正」と指摘。土地の共有者一人一人を組合員と数えるよう改め、「地方公共団体が都市計画による市街地再開発事業として住宅団地の再生を行うことを促進する」と説明した。
市街地建築課によると、一筆の敷地を共有する団地の場合、共有者の各区分所有者単位で所有者を数えることになる。同法では、一定の要件下、土地の所有者・借地権者は3分の2以上の同意を得て、市街地再開発組合を設立でき、自治体が認可する。公法の枠組みで権利調整が図られるため「私法で有る区分所有法の決議は不要」(同課)とされる。法定再開発としての団地再生事業のため、公益性も求められるが同課は介護・保育関連施設の併設等を想定する。法案は都市再生特別措置法など関連する改正法案一括の提出を予定している。
(マンション管理新聞平成28年1月15日付)
投稿日:2015年12月07日 作成者:右田 順久 (1929 ヒット)
国土交通省が11月18日に開いた、第7回「住宅団地の再生の在り方に関する検討会」では住宅団地の実態調査が公表された。2013年年末時点の全国の団地ストック数は、4970。築45年超の団地数は10年後、現在の291団地から5倍強の約1500団地に増える見通しだ。
同一敷地内に2棟以上・約50戸以上・敷地を区分所有者等で共有しているーの3項目を満たした物件を「住宅団地」と定義し、調査対象とした。階数は3階建て以上。小規模物件やテラスハウスといった物件は対象外。
13年住宅・土地統計調査の特別集計による全国規模のA調査と登記簿に基づく東京都内のB調査の2種類あり、マクロとミクロで調べた。調査期間は昨年12月から今年10月まで。
従来の住宅・土地統計調査の団地は外観判定のため、B調査で得た都内の「見かけ上の団地」と登記簿確認による「敷地共有団地」の割合(87・8%)を用いて、全国の集計値に補正を掛け、実数推計値として算出した。
<A調査>
13年末現在の団地ストック数は4970団地、約3万2000棟、約195万戸。
13年の総マンションストック数(約600万戸)で見ると団地型33%、非団地型67%となる。
建設年代別では、築25年経過以上が総団地数のうち約5割(2800団地、約91万戸)を占め、うち旧耐震基準は1600団地、約50万戸。老朽住宅団地としては、築45年超は15年現在、291団地。25年に約5倍の1551団地、35年に約10倍の2769団地となる見込み。建て替え実績では、14年4月現在、工事完了済みは114団地、約1万2700戸。いずれも「一括建て替えの実績はない」としている。阪神・淡路大震災分は含まない。
供給主体は民間71%(3531団地)、住宅供給公社16%(801団地)、UR都市機構13%(638団地)。UR供給における旧耐震基準の壁式構造比率は戸数ベースで約8割としている。
<B調査>
都の13年3月のマンション実態調査結果を基に、1983年建築以前の分譲マンションで同一所在地に2棟以上の住棟を抽出。登記簿で敷地共有関係を確認できた285団地を対象に、具体的要素を調査した。
共有関係は「分譲棟のみで敷地共有」が285団地中273棟(96%)。団地組合か棟別管理組合かは不明としている。異なる団地同士で駐車場等の一部のの土地共有形態等が5団地あった。立地は都心から三鷹等までの20キロ圏内が約5割。棟数別出は5棟以下が約7割。指定容積率は200%が最多52%、建ぺい率は60%が最多68%だが、既存不適格の割合は不明としている。都市計画法上の一団地住宅施設指定は30団地が指定された状態となっている、。
(マンション管理新聞:平成27年12月5日付)
投稿日:2015年11月18日 作成者:右田 順久 (1871 ヒット)
一般社団法人日本マンション学会(梶浦恒男会長)は11月7日、東京・白金台の明治学院大学で、改正案が公表された「マンション標準管理規約」の在り方をテーマにシンポジウムを開いた。シンポジウムは一般社団法人マンション管理業協会(山根弘美理事長)、NPO法人全国マンション管理組合連合会(山本育三理事長)、一般社団法人日本マンション管理士会連合会(親泊哲会長)が共催。シンポジウム終了後、この4会による共同提言が発表された。
共同提言は、改正案で管理費の使途(27条)・管理組合の業務(32条)から削除された「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」、いわゆる「コミュニティー条項」について言及している。
「管理組合による自治会費の強制徴収」など条項削除の趣旨を踏まえた上で「現代のマンションにコミュニティー活動が必須であることは明らか」だとし、マンションコミュニティーの在り方についてまとめた。提言は3項目。
まず区分所有者・管理組合に「コミュニティーを基盤にした『相互理解』と管理規約の『適切な運用』」、「組合活動と自治会活動の峻別に留意するなどコミュニティー活動のトラブルの防止」に努めるよう求めた。
コミュニティー条項は「存続が望ましい」とした上で、個々の管理規約における条項の存続・改廃については、管理組合ごとにその必要性を判断することが重要で「かつ、その判断が最も尊重されるべきものである」と確認。
管理組合団体の連合会、マンション管理士、管理会社らに引き続きマンションのコミュニティ―の育成に寄与し、管理組合を強くバックアップすることを求めた。
(マンション管理新聞:平成27年11月15日付)
投稿日:2015年10月29日 作成者:右田 順久 (2003 ヒット)
国土交通省マンション政策室は10月21日、マンション管理適正化指針・マンション標準管理規約の改正案をは発表し、パブリックコメントの募集を始めた。規約案ではコミュニティ条項を削除し、新たに管理組合業務に「居住環境の維持および向上」を設置。区分所有者以外も管理組合役員に就任できる外部専門家活用の導入、監事の大幅な権限強化、専有リフォームの承認制度の明確化等を提示している。パブコメは11月19日締め切り。同政策室によると年内の改正を目指している。
「マンションの新たな管理ルール検討会」(福井秀夫座長)が2012年1月に検討を開始して以来、3年9か月を経てようやく具体的改正案が公表された。管理組合役員に強い責務を求めているのが、最大の特徴だ。
最大の争点となった規約27条、32条の「コミュニティー条項」は削除の扱い。一方管理組合の業務を規定する32条12号に「居住環境の維持及び向上」を明記した。検討会で議論されていなかった表現だが「国交省の判断で入れた。住生活基本法や基本計画等の用語から引っ張ってきた」(佐藤将年マンション政策室長)という。夏祭り等イベントに取り組む管理組合に活動の解釈の余地を残したともみられ「各管理組合でご検討下さい」(同)と話している。
適正化指針の改正案では、管理組合によるコミュニティ形成の意義、外部専門家活用の際の監視・監督強化等を追加した。「発注等の適正化」項目では外部専門家の工事発注等に関するルール整備の必要性を記している。
規約改正案は、管理組合の定義をコメントで詳述。管理組合業務は建物、敷地、付属施設の管理を目的とし「それに付随しまたは付帯する事項」も目的の範囲内とした。
役員の規定には組合員要件を外す形で外部専門家の役員選任規定を併記し、管理組合の選択可能とした。理事・監事、理事長選任などの基本的パターンを図で示している。役員の利益相反取引防止の条文も設けた。監事の義務・権限は大幅に強化し、理事会出席義務、理事等の業務に対する報告請求権・調査権、不正行為覚知に基づく理事会招集権を規定した。理事長には理事会への定期的な報告義務を定め、災害時等における緊急的な保存行為を単独でできるとした。立ち入り権限では、事故等で緊急性のある場合、理事長は専有部分等に立ち入ることができ、コメントで、「大規模な水漏れ等」を例示している。
理事の代理出席はコメントで、規約に明文の規定がない場合「適当ではない」と指摘。代理人による議決権行使の代理人とは組合員の配偶者、一親等親族、他の組合員等と条文で明記。コメントで新築における眺望等を考慮した価値割合に基づく議決権も言及した。
専有部分のリフォーム規定では、理事長承認の対象要件に、「共用部分または他の専有部分に影響を与える恐れのあるもの」との文言を追加し、具体例を別表で一覧表示。窓ガラス等の改良工事は、管理組合による細則設定に基づく実施の規定を削除。組合による速やかな工事ができない場合、条文で理事長承認を経た個人施工をできるとした。
専有リフォーム等の承認は、迅速な審査に対応すべく理事会の書面・電子メール等の電磁的方法による決議を可能としている。駐車場使用はコメントで、公平な方法による定期的な入れ替えに言及。
新設の暴力団員排除条項は、専有部分の暴力団員への貸与禁止等を規定した。
その他、管理費等滞納者に対する各種措置をフローチャートで図式化、管理関係情報の開示等に関する参考例なども提示している。前回11年7月改正時、コメントに新設された、規約全般に対する「マンションの個別の事情を考慮して、必要に応じて、合理的に修正し活用することが望ましい」との文言は変更していない。
(マンション管理新聞:平成27年10月25日付)
投稿日:2015年09月30日 作成者:右田 順久 (2613 ヒット)
マンションの管理費をめぐる国の指針で、住民のコミュニティ作りを進める項目を国が削除しようとしている。管理費を地域の祭りや懇親会に支出することに住の賛否が割れ、トラブルが生じているためだ。管理組合の団体は「災害時などに向け、住民交流は欠かせない」と反発する。
「近隣住民の皆さんも奮ってご参加ください」。都内のマンションで7月、管理組合主催の夏祭りの案内が掲示された。「なぜ、マンション以外の人の費用を負担する必要があるのか」。住民の男性は不信を抱き、参加を見送った。埼玉県のマンションでは、予算10万円で開いた夏祭りで酒が振る舞われ、理事の知人の政治家があいさつした。参加者から「管理費の使い方としておかしい」との声があった。
管理組合の活動で、住民交流を進める催しへの支出にトラブルが目立っている。公益財団法人「マンション管理センター」には、近隣自治会への香典の支出や住民の飲食費への支出などについて昨年度、378件の相談が寄せられた。有識者でつくる国土交通省の検討会は、各地のマンション管理組合が規約を作る際の指針「標準管理規約」について議論してきた。焦点の一つは「コミュニティー条項」。住民や地域の交流を深めるため、2004年に「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティー形成」を盛り込んだが、今年3月、削除する報告書をまとめた。
高齢化などで管理組合の役員のなり手が減る中で、管理費の使い道をめぐる訴訟のリスもあるため、国交省は条項を削除する方針だ。10月、パブリックコメントを募る。
一方、22万世帯からなる国内最大の管理組合の団体「全国マンション管理組合連合会」は反発する。川上湛永事務局長は「日常生活だけでなく、災害時に備えたコミュニティ―作りは欠かせない」という。
管理組合は騒音や水漏れなどに対応し、日ごろの住民交流がもめ事の解決に役立っている。条項がなくなると、交流の催しに反対する住民に説明しにくくなる。指針は強制ではないが、国交省の調べでは過去4回の指針変更で全国の管理組合の約8割が変更点を反映してきた。ここ数年、マンション建設は年10万戸を超え、新たな管理組合は指針に沿った規約を作る可能性が高い。
首都圏と大阪府の計13マンション管理組合(9309戸)は5月、条項削除に反対する意見書を国交省に出した。一般社団法人「マンション管理業協会」も「地域との連携は防災活動などに効果がある」と訴える。
(朝日新聞:平成27年9月30日付(朝刊))
投稿日:2015年09月14日 作成者:右田 順久 (2302 ヒット)
東京都住宅政策審議会(会長:小林秀樹千葉大学大学院教授)は9月3日、「東京都におけるマンション施策の新たな展開について」都に答申した。
管理不全マンション予防保全等のため、一定の試行期間を経た後、条例化によるマンションの基本情報登録や管理状況報告義務付けを提言している。改修、耐震化、建て替えなどのマンション再生支援の充実も求めた。
7月6日公表の答申素案に対し、同月13日から26日まで意見募集を行い、31人計33通の意見が寄せられた。審議会は9月3日の第2回会合で答申案を了承した。
内容に大きな変化はないが、旧々耐震基準マンションやIs値が特に低いマンションに対する耐震化の優先的支援などを追加している。
答申の特徴は管理不全マンションの予防・改善を目的に、基本情報登録制度や管理状況定期報告制度の創設、条例化による管理組合等への義務付け、行政の調査・指導権限付与等を提言。ただし、条例化には区市町村の協力や法的問題精査が必要なため、施策の対象範囲について一定期間試行的な運用を行い、検証も求めている。高橋竜太郎マンション課長は「試行期間の実施時期や期間は未定」と話している。
管理状況の評価・判定基準は国土交通省の「マンション管理標準指針」等を参考にした作成を提案。管理不全マンションの改善に向けた指導等ではマンション管理士等との連携を指摘している。マンション再生支援では、改修による再生支援は「建て替えと比べ不十分」と指摘し、支援の充実を求めた。段階的な耐震改修等への助成検討や、老朽マンション建て替えでは高さ制限の運用に関し、区市の主体的取り組みを支援すべきとしている。
(マンション管理新聞:平成27年9月15日付)
投稿日:2015年08月27日 作成者:右田 順久 (3918 ヒット)
火災以外のリスクにも幅広く対応するマンション総合保険。今年10月以降、保険料の大幅な値上がりが予定される一方、マンション管理状況を保険料に反映する新商品も始動する。「10月からのマンション保険は新次元に突入する格好。管理組合は9月末までに見直しの必要性を検討して欲しい」と代理店はアドバイスしている。
「一見、目をを疑うような金額も有りますが、これが10月からの現実」とセゾン保険サービスの岩崎正裕マネージャーは指摘する。 同社の協力を得て作成した、今年10月以降の損害保険の5社の築年別保険料は表(割愛)の通り。 前年対比では、例えば築20年は東京海上グループ2社を除く3社で15~71%値上がりする。3社は昨年も保険料率等を改定しており、2年連続の改定。一部は築浅で値下げとなるが、経年マンションの値上げ幅の大きさが目立つ。
新築と築35年を比較すると、三井住友海上は5倍、損保ジャパン日本興亜は4倍と、経年による保険料格差も拡大している。
保険料以外では、免責金額設定の細分化や築年数に応じた免責金額の引き上げ、一定年数以上の原則新規契約不可などを行う会社もある。 東京海上日動は従来通りだが、保険料を改定しないわけではなさそうだ。
代理店の間では「来年4月ごろに保険料を改定する可能性は高い」と見られている。
10月の改定で最も影響を受けるのは長期5年契約で今期満期を迎える高経年の管理組合。5年前と比べ「保険料が8倍になる組合もある」(マンション保険バスターズの西澤健之最高経営責任者)。
値上げ後の金額は管理組合にとって想定を超えるケースが多いため、満期のお知らせを前倒しする形で対応している。「9月末までに長期5年契約を契約し直す、他社に乗り換える、保険内容を削るなど、選択肢はいろいろあるが、検討できる時間は限られている。管理組合は早目に検討を開始して欲しい」(セゾン保険サービスの岩崎氏)と指摘する。
新しい選択肢として登場するのは日新火災の「マンションドクター火災保険」。7月発売開始となった新商品で、一般社団法人日本マンション管理士会連合会(以下、日管連)がマンションの管理状況を診断し、診断結果が保険料に反映される。
現地に派遣されたマンション管理士は14項目について加点方式で評価するが、全項目で最高得点の場合、大幅な値引きとなる。
都内管理会社の保険担当者は「給排水管項目では最高得点がステンレス管だったり、総じて評価のハードルは高い。高経年マンションで全部満点は考えにくく、標準的なマンションであれば激安というわけではない」と指摘する。別の代理店は「保険商品選びは損害事故発生時の保険会社の対応なども考慮すべきなので、様子見したい」と話す。
現在、日管連には50件以上の診断申し込みがあり、「管理組合にとって適正な管理運営への動機付けになればありがたい」(村上民夫事務局長)と話している。
損保ジャパン日本興亜では63項目のチェックリストを作成し、保険の引き受け条件に活用し始めている。あいおいニッセイ同和損保は「10月の時点では導入しないが管理内容と保険料を連動させる仕組みは検討している」(広報担当)としており、新たな潮流を予感させる。
「永遠のテーマかもしれないが、個人賠償特約について今一度議論してもよいのでは」とマンション保険バスターズの西澤氏は提案する。マンション保険での請求金額最多は個人賠償事故のため、個人賠償は最重要の特約であると同時に、保険料値上げの一大要因にもなっている。個人賠償を個人加入にすると加入漏れの恐れがある。
西澤氏によると福岡県のマンションで、保険料値上がりのため「理事会が管理費の値上げか個人賠償の特約を外すか賛否両論となり、膠着状態となった」と話す。
打開策として同社では戸当たり年間2000円の委託料で、個人単位の加入に対応する一括管理の仕組みを考案。代理店が全戸の補償状況を管理し、満期案内も行い、補償不要とする人には管理組合に漏水時賠償の覚書を提出してもらう。
大手管理会社の保険担当者は「保険料高騰で管理費の値上げが必要というほどの管理組合はまだ少ない。外すと加入漏れまで手が回らない」と話す。管理費値上げの大きな要素になるほど保険料の高騰が続く場合、代理店も新たな仕組みを考えておく必要がありそうだ。
(マンション管理新聞:平成27年8月15・25付)
投稿日:2015年07月10日 作成者:右田 順久 (2065 ヒット)
一般社団法人日本マンション学会は(梶浦恒男会長)は6月22日、国土交通省が5月8日に公表した「マンションの」新たな管理ルールに関する検討会報告書に対する意見を発表した。外部専門家活用やコミュニティ条項等に関する報告書の記述を「不適切」と指摘。報告書記載の標準管理規約パブリックコメント素案の内容では「標準という名がつく管理規約の基本を逸脱」するとし、11項目にわたり大幅な見直しを求めている。
意見では、役員を外部の専門家に委任する、いわゆる「第三者管理」を想定した改正としては「おおむね適切な内容」と一定の評価を与えたが、区分所有者による理事会・総会方式で行う一般的なマンションを対象にしている箇所は「管理実態を踏まえていない」と批判。
報告書で示された内容は「委任型標準管理規約」として位置づけるか、一般的なマンションを対象とする場合は「管理実態に即して大幅に見直す」よう求めた。
一般的なマンションに適用する場合の問題点として、まず報告書管理組合を「財産管理団体」と強調している点を「偏った法的理解」と批判。管理組合には「物的価値のみならず居住価値の維持」という両面の役割があり、後者の重要さを強調した。
外部専門家活用では、本来役員のなり手不足対策として「持ち回り、コミュティー形成、責任の軽減、管理会社の役割等」の観点からの工夫が必要だとして、報告書は「その視点が決定的に欠落している」と批判している。
利益相反行為は問題意識に理解を示しつつ、「集団の意思決定の中で解決する問題」だと結論付けた。報告書の「過度に誇張」した内容では理事の活動を委縮させ、「理事や委員の事態につながる懸念」があるとして、規約改正ではなくガイドラインでの対応を求めた。
理事会の親族による代理出席を否定している点は、「行き過ぎ」で、不要な混乱を引き起こすと危惧。株式会社の役員会と管理組合の理事会を同一視する発想は「不適切」だとしている。コミュニティー条項では、報告書の記述に「誇張」が含まれ、援用する法律論は「偏り」があり、「不適切」だと指摘。2007年9月20日の東京高裁判決等でコミュティー活動の必要性は認められており、コミュニティー活動を行う管理組合を違法と認めた判例はないことに触れ、コミュニティー条項削除案の撤回を求めた。
その他駐車場使用方法は「特定の方法を推奨するような書きぶりは不適切」だと指摘。専用部分修繕や共用部分保存行為についてはマニュアル検討の必要性に言及した。意見はホームページで公表している。
(マンション管理新聞:平成27年7月5日付)
投稿日:2015年07月10日 作成者:右田 順久 (1938 ヒット)
一般社団法人日本Mンション管理士会連合会(日管連、親泊哲会長)は7月1日、「マンション管理適正化診断サービス」を開始した。
日新火災海上保険が発売した「マンションドクター火災保険」に管理組合が加入する際に必要な診断で、同社と業務提携する日管連が無料で実施する。管理運営状況や修繕工事などを診断し、「管理状況が良好」と判断した場合、保険料が20~30%程度割引かれる。診断後に提出する「マンション共用部分診断レポート」は、維持管理にも役立てることができる、としている。
日管連によると、3日までに東京や大阪など5管理組合から診断サービスの依頼があった。診断申し込みは日管連ホームページでも受け付けている。診断者は日管連加盟の管理士会に所属し、所定の研修を受け、マンション管理士賠償責任保険に加入している管理士。約350人が対応できる状況だ。同保険の始期は10月井1日以降。
(マンション管理新聞:平成27年7月5日付)