投稿日:2015年06月30日 作成者:右田 順久 (2036 ヒット)
東京都は6月22日、国の2016年度予算・施策に対する都の提案要求を発表した。前回に引き続き、リノベーション等全員合意が必要な共用部分の処分に関し、特別多数決議で対応できる制度導入を提案している。要求はおおむね年に2回行っており、今回の要求も前回の内容踏襲したものが多い。
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今回は新たに、マンション建替え円滑化法に導入された「敷地売却制度」に言及した。耐震性能不足マンションに加え、既存不適格で建替えが困難なマンションも適用対象に加えるほか、既存マンションの除却を要件にしない、など適用要件の緩和も求めた。
他に新たな要求として、既存住宅ストックでは、適正な維持管理やリフォームを行う住宅に対する税の特例措置を設け、自主的な取り組みが促進される措置を求めた。
東京オリンピック等に向け公共用地としてマンション共有地の円滑な取得が必要とし、マンションの土地・建物の分離処分化が可能でも、分筆のための共同申請で全員合意が必要なることから、区分所有法と不動産登記法等関連法令の改正を要求。
そのほか、「スマートマンション化」に関し経済産業省MEMS補助事業の早急な再開、住宅金融支援機構のリバースモーゲージ融資限度額引き上げなどを求めている。
引き続き要求しているのは、建築基準法に基づき全員同意が必要な一団地認定廃止に関し、全員合意以外の廃止方法などの新たな仕組みの創設や、区分所有法の建替えで、別敷地での建替えが可能となる仕組みの整備、2戸1化など共用部分の処分を伴う改修・改築に関し、特別多数決議による実施が可能となる制度の導入、耐震診断・改修に関する国の支援拡充など。
(マンション管理新聞:平成27年6月25日付)
投稿日:2015年06月05日 作成者:右田 順久 (2150 ヒット)
一般社団法人マンション管理業協会(山根弘美理事長)は6月2日、都内で第36回定時総会を開いた。 総会後の懇親会であいさつした山根理事長は、現在改定に向けた取り組みが進んでいるマンション標準管理規約について言及。
国土交通省の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」がまとめた報告書について「『選択肢を増やす』と言っておられるが、経済原理的的な色合いが少し濃いように感じている」と評して見せた。理事会役員の資格要件について、会社法を参考にしている点にも、「何だろうと思う」と違和感を表明。「経済原理も大切だが、時間軸がずれていると現場では困ったものだな、というのが率直な感想」と述べた。
当日列席した公明党の井上義久幹事長も「標準管理規約については強い関心を持っている」として、「時代の変化に対応できる規約に仕上げていかなければならない。協会と連携を取って、しっかりと議論していきたい」と述べた。
2015年度は、今年1月に開設したウェブサイト「マンショWa」を活性化。各種イベントも実施する。制度改正では、管理組合の負担削減策として大規模修繕時の消費税の見直しを働きかけるための検討などを行う。清掃・植栽業務など現場品質の向上について検討したり、「2025年問題」に関する課題を基にした管理業の中長期的な方針の策定に向けた調査も行う。
(マンション管理新聞:平成27年6月5日付け)
投稿日:2015年05月18日 作成者:右田 順久 (2068 ヒット)
総務省は5月12日、各都道府県に対し、コミュニティー活動や防災活動を行う管理組合を自治会・町内会等の地縁団体同様、支援対象とするよう通知した。同日発表の「都市部におけるコミュニティの発展方策に関する研究会」報告書の提言を踏まえたもので、行政としては管理組合の役割を財産管理に限定せず、幅広い活動の主体として認めている。
住民制度課長による通知は技術的助言として、自治体が取り組むべき事項を8つ提示。管理組合の扱いについて、管理組合が行うコミュニティ―活動を「良好なコミュニティの形成に資するもの」と評価。自治体が地縁団体を対象に各種の連絡を行ったり、支援する際、「その内容に応じ、管理の一環としてこれらのコミュニティ活動を行っていると認められる管理組合等」に対しても、同様の取扱いを行うことを求めている。
自治体が認める判断基準は「自治体に任せる」と篠原俊博住民制度課長は話す。通知では国土交通省マンション政策室と協議済みと断っており、国交省の標準管理規約のコミュニティ条項が削除されても関係なく、活動の内容を重視して判断できるという考え方だ。
防災面では「多くの区分所有者が居住者として住むマンション」において、防災活動を行う管理組合を「自主防災組織として位置づけることが有効」と指摘。災害対策基本法により市町村長が作成する避難行動要支援者の名簿を管理組合に提供しやすくする形で、管理組合は名簿管理のルール等が求められる。
平時の取り組みでは管理組合による避難・防災訓練等への支援や、管理組合と民生委員等専門機関が連携できる体制の構築支援も求めている。
研究会報告書では、マンションでのコミュニティ―形成の担い手として自治会との関係を4分類し、管理組合を自治会同様「コミュニティ活動の主体」と位置付ける。災害弱者名簿の保有問題も触れている。
(マンション管理新聞:平成27年5月15日付)
投稿日:2015年04月27日 作成者:右田 順久 (1887 ヒット)
国土交通省は4月21日、住生活基本計画(全国計画)を見直すため、社会資本整備審議会住宅宅地分科会(座長:浅見泰司・東京大学大学院教授)を開いた。マンションに関係する論点では、専門家の活用等によるマンション管理適正化の推進、マンションを核にしたコミュニティーづくり等を示した。10回程度会合を開き、パブリックコメントを経て来年3月の閣議決定で改定する方針。
現行の計画における各種成果指標の進展状況では、既存で期間25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している管理組合の割合が2008年の37%から、13年は46%に増加。目標は20年の70%。都道府県で独自に設定できる指標では「マンション管理セミナー・研修会者数」を設定しているケースが1つ。市区町村では「長期修繕計画策定済みマンション率、マンション管理基礎セミナー満足度」を設定したケースが23あった。
今後の全国計画見直しでは、マンションの修繕を通じた長寿命化・質の向上、円滑な建て替え等促進も論点に掲げている。同省は住生活基本法に基づき期間10年の計画を立て、5年ごとに直し。06年の初回計画策定時から「住宅の量確保から質向上への転換」を唱えている。
(マンション管理新聞4月25日付)
投稿日:2015年04月04日 作成者:右田 順久 (5030 ヒット)
国土交通省は3月27日、「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(座長:福井秀夫・政策研究大学院大学教授)を開き、報告書案が了承された。同省では、報告書案で示されたパブリックコメント素案に基づき、5月初旬前後をめどに意見公募手続きを行い、夏頃までにマンション標準管理規約改正を目指す。「新たな管理ルール」として踏み込んだ内容を示す一方、現行の運営方法も認め、管理組合にとって選択肢が広がる形となる。
検討会は今回で終了。報告書案は標準管理規約・コメントの改正対象となる14項目をピックアップし、問題認識や考え方を提示。パブリックコメント素案も盛り込んだ。管理組合を財産管理団体として強調し、管理者の責務を財産的価値の最大化追求としてとらえている点が特徴だ。
外部専門家活用では理事会存否も含め3パターンを提示。役員規定に新たに欠格要件を設け、会社法等を参考に理事長の理事会への定期報告義務、監事の理事会出席義務等も規定する考え。修繕など管理業務の受発注では、利益相反取引防止の観点から選定に関する「ガイドライン」策定を提案。外部専門家の派遣制度・保険加入の整備を指摘している。
理事会における議決権の代理行使では、配偶者等の代理出席を「望ましくない」と示しつつ、最高裁判決を踏まえ規約明文化による代理出席は可能としている。
総会の議決権割合では、超高層を想定に階数・方角等の価値を反映した価値割合議決権を選択肢に加える。
コミュニティに関する条項は削除する。
会計など管理に関する情報は、財務書類など適切な文書作成・保管に対する理事長の責任を明確化する。管理費等の滞納対策では、滞納発生の場合、管理組合による財産調査に対する同意規定の設置を盛り込む。各種措置はフローチャートで参考提示する。
駐車場の使用方法は公平さに配慮し、定期的な入れ替えなど各種方式を示す考え。
専用部リフォームでは理事会承認を必要とする範囲等を列挙。上下左右階の承認は「過度な運用」とし、窓改修等も理事会承認方式に改正する。保存行為は具体的に例示し、各組合員による単独判断実施の禁止を明文化する。
災害時における理事会決議による応急工事実施や、緊急時における重大な影響を与える恐れがある場合の専有部分等への立ち入りは認める。
会計年度開始時期から総会開始までの支出に関し、理事会承認と総会報告の手続きを明文化する。
当日、委員から「役員を資質・能力等に着目して選任するというが、実際は輪番制が一般的で、現実と乖離しているのでは」という指摘もあり、「新たな管理」がどの程度普及するかは未知数だ。
(マンション管理新聞:平成27年4月5日付)
投稿日:2015年03月26日 作成者:右田 順久 (2043 ヒット)
いわゆる「団塊の世代」がすべて後期高齢者になり、 65歳以上が全人口比の30%を超える「2025年問題」を見据えた、マンション管理の将来ビジョンを検討する「マンション2025ビジョン懇話会」(座長:斎藤広子明海大学不動産学部教授)が3月16日、東京・霞が関で開かれたシンポジウムで提言をまとめ、発表した。マンション再生の推進や高齢化対策など5点について、関係団体の取り組みを求めた。
提言は①マンション再生の推進、②居住者の高齢化への対応、③資産価値の維持・向上のための施策の構築、④マンションの多様化に備えた他業態との新たな連携、⑤マンション管理の新たな債務ーの5点。
①では耐震・省エネ・バリアフリー改修といった再生メニューの長期修繕計画への組み込み、資金計画対策、再生内容に応じた議決要件の設定、②では認知症や在宅介護等の知識と当事者の人権に配慮した対応ができる情報収集と、情報収集におけるルールの整備の必要性、地域との連携などについて言及。
③ではマンションが立地する町全体を盛り上げて付加価値を高めたり、市場評価につながるマンション再生の実施や情報提供の促進、④ではマンションの多様化に伴い、管理業者がサービスを提供する場合は積極的な他業態との連携が、それぞれ必要だと訴えた。
⑤では管理業者らに、管理を通じて得たノウハウやアイデアが共用部分設計に組み込まれるよう、開発業者らに提案すべきだとした。
懇話会は有識者10人で組織。一般社団法人マンション管理業協会(管理協、山根弘美理事長)が2011年に設置した「マンション長寿命化協議会」が前身で昨年、管理協の諮問を受けていた。
当日は、斎藤広子座長が山根理事長に提言を答申した。山根理事長は「先延ばししない。自分の親、子供、マンション、地域、国の問題としてしっかり取り組んで行きたい」と述べた。
(マンション管理新聞:平成27年3月25日付)
投稿日:2015年02月27日 作成者:右田 順久 (2311 ヒット)
総務省は2月16日、第4回「都市部におけるコミュニティの発展方策に関する研究会」を開き、報告書構成案を示した。
今後の方向性として管理組合をコミュニティー活動の主体として明確化する考えを示した。区分所有法を根拠とする管理組合に、総務省があえてコミュニティ活動の主体としてお墨付きを与える形。区分所有者と世帯主(居住者)が一致しないマンションにおける課題言及はなかった。次回の3月24日の会合で報告書をまとめる。
方向性案では、管理組合をコミュニティ―活動の主体として明確にし、「行政が協働する地域のパートナーとして、自治会等に加えて管理組合を位置付ける」。その発展形に自治体による管理組合への活動支援、マンション同士の情報交換の場の創出を挙げている。
これまで管理組合の支援活動は建物の維持管理等の観点から国土交通省や自治体の建築部局等が行っているが、自治体のコミュニティ―担当部局を含む「自治体による部局横断的なマンション支援体制の構築」を提言している。
防災面のマンションと地域の連携は有効とし、まちづくり協議会などマンションを含めた地域の組織設立推進も示した。主な議論では「管理組合の本来の役割は財産管理であるが、それにとどまらず住民同士の横のつながりを作る活動をすることが望ましい」との価値観を提示している。
研究会では自治会・町内会の加入率低下、役員の担い手不足等を背景に都市部のコミュニティーの新たな担い手として管理組合に注目。任意団体ではない管理組合の人的資源や頑丈な建物に期待を寄せるが、管理組合も高齢化や外部区分所有者の増加など担い手不足の課題を抱えている。
コミュニティー問題は活動費や管理組合業務との関係をめぐり国土交通省でも議論。標準管理規約のコミュニティ―条項削除を検討するなど、総務省の方向性とは一致していない。管理組合の活動を決めるのは誰か。議論を呼びそうだ。
(マンション管理新聞:2015年2月25日付)
投稿日:2015年02月06日 作成者:右田 順久 (5276 ヒット)
公益財団法人マンション管理センターは1月26日、『マンション管理組合で作成する名簿の取り扱いに関する細則について』を発売した。
管理組合が作成する名簿の種類と作成にあたっての留意点、取扱いルールなどをまとめ、細則モデルを示した。
同書は管理組合が作成する名簿として、主に総会の招集や管理費等の請求などに利用する「区分所有者名簿」、建物の利用方法等で区分所有者と同一の義務を負う占有者の情報を得たりするために必要な「居住者名簿」、災害時の救助活動などに利用する「要援護者名簿」を想定した。
区分所有法やマンション標準管理規約、マンション使用細則モデル、マンション標準管理指針といった関連法令・ルールから名簿の作成根拠を提示。名簿を作成する上での留意点をまとめた上で、第三者への提供や作成の方針、安全性と利便性、公開性等に言及した「策定方針」と併せ、各名簿の取り扱いに関するモデル・コメントを提示している。
細則モデルは、「区分所有者」「居住者」「要援護者」の各名簿に応じ、それぞれ用意した。作成根拠になる管理規約の条文や利用の目的、名簿の掲載事項等に、それぞれ違いがあるからだ。
添付資料とし、マンション使用細則モデルや個人情報保護法、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組み指針の抜粋も収録している。
(マンション管理新聞:平成27年2月5日付)
投稿日:2014年12月19日 作成者:右田 順久 (2921 ヒット)
12月24日のマンション建替え等円滑化法施行を控え、国土交通省は「基本方針」、省令、容積率緩和特例に関する許可準則を公表している。
基本方針と省令はパブリックコメント募集時と概ね同じ内容。許可準則は「マンション建替型総合設計制度」を新設し、容積率割り増しの基準を示している。
基本方針は12月10日付けで告示。同日付の官報に掲載されている。9月4日にパブコメで示した案と内容はほぼ同じだが、容積率特例許可を行う際の地方公共団体に対する努力規定に「地域の事情を考慮しつつ」の文言が加わった(第6の3のハ)。管理組合には買い受け人選定の際、選定手続きの「透明かつ公正」な実施が求められている。
省令は11月28日付官報に掲載されている。8月27日のパブコメ案と比べ、若干順序の変更等はあるが、内容に大きな変更はない。書式では、特定行政庁から都道府県知事への除却認定通知書が追加された。特定行政庁等による認定や敷地売却事業に関する手続きの規定が大半を占める。
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法105条の容積率緩和特例に関する運用については12月5日、市街地建築課長名で各都道府県に通知した。
内容はマンション再生協議会のサイトで公表している。総合設計許可準則を改正し、「マンション建替型総合設計」を新設。地域の防災、環境等向上に資するものとして、「地域で活用できる防災備蓄倉庫設置、防災広場、地域に開放されたコミュニティ形成のための集会所、地域の子育て施設、高齢者向け福祉施設、地域の状況に応じた特定行政庁が定める取組み等」を挙げ、施設等の確保が必要と認められる場合、整備に応じた容積率割り増しが可能となる。公開空地設置は必要条件ではないが、高さ制限、斜線制限緩和の適用はない。容積率割り増しの程度は技術基準で提示した。非住宅部分の床面積が過大とならないよう許可方針も定めた。
「最終的な緩和の程度は自治体の裁量次第」(マンション政策室)と話している。
(マンション管理新聞・平成26年12月15・25日付)
投稿日:2014年11月16日 作成者:右田 順久 (1853 ヒット)
住宅金融支援機構は11月5日、2014年度の「マンションすまい・る債」の募集結果を発表した。
10万口・500億円の募集枠に対し、応募口数は5万7520口。13年度比124.7%で、応募率は57.5%と、13年度比で11.4ポイントアップした。
応募率が5割を上回ったのは、ペイオフ解禁された05年度以来。ペイオフ解禁時を除くと、00年度の制度創設以降、今回が最も応募率が高い。応募組合数は1607組合。13年度比で106.4%と、組合数も増加している。
(マンション管理新聞・平成26年11月15日付記事から抜粋)