投稿日:2021年09月07日 作成者:右田 順久 (1436 ヒット)
国土交通省は8月26日、2022年度予算概算要求の概要を公表した。
マンション管理適正化・再生円滑化として例年通り、マンション管理適正化・再生推進事業、マンションストック長寿命化等モデル事業を推進する。
来年4月1日の改正マンション管理適正化法の全面施行に向け地方自治体による管理適正化の取り組みを支援するほか、管理計画認定制度の認定を受けたマンションに、住宅支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」、また住宅取得時の「フラット35」の融資金利を引き下げる優遇措置を設ける。住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付によれば、金利引き下げは認定を受けたマンションに対するインセンティブ(誘因策)で、所轄部局となる住宅金融支援機構・住宅金融室は「詳細は今後整理していく」と話している。
マンション管理適正化・再生推進事業は2億7000万円を要求。21年度予算額(2億100万円)の1・34倍。管理の専門家による相談体制等の西部に対する支援を強化する。同参事官付は「どうやって管理計画認定の申請をしたらいいのか、管理計画認定とは何なのかといった疑問や相談に対応する体制を作っていきたい」と話している。
◇
「マンションストック長寿命化等モデル事業」は21年度予算同額17億円を要求した。「耐用年数の半分を超えている」という現行の応募要件の撤廃を検討している。
市街地建築課では「防災上の観点で浸水対策や備蓄倉庫の設置などの取り組みに対応できるように幅広いマンションを対象に考えている」と説明する。同課によれば、優良建築物等整備事業で自治体を通じたバリアフリー改修や省エネ改修等の補助についても同様に築年要件の撤廃を検討している。
同事業の「マンション建て替えタイプ」では、改正マンション建替え円滑化法で拡充された要除却認定基準に適合するマンションへの支援を行う。
◇
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、住宅生産課によれば、350億円を要求した「住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」な中での実施を想定している。同事業の中では、新たな事業として、外壁や窓の断熱といった省エネ改修の補助を検討している。補助率や要件は今後検討する。管理組合を対象にするかは「財務省との折衝次第だが今のところ排除することは考えていない」(同課)。
◇
不動産産業課は「不動産管理業における適切な管理の推進」で3300万円を要求した。
21年度予算で計上したマンション管理業者等のコロナ禍の状況やIT活用等の実態調査を引き続き実施する意向だ。21年度の調査は9月か10月に開始する予定で全登録業者を対象とするかは未定。
(マンション管理新聞:令和3年9月5日付の記事より)
投稿日:2021年08月01日 作成者:右田 順久 (1032 ヒット)
・昨年4月にスタートした東京都の管理状況届け出制度で、届け出を済ませたマンションの14.4%が、管理組合がないなど「管理不全の兆候がある」と判断される状況にあることが分かった。
◇
・6月21日にウェブ会議形式で行われた東京都マンション施策推進会議で、都が同制度に対する取り組みを報告。 今 年3月末時点の届け出数などを明らかにした。資料は都のマンションポータルサイトで公表している。
・同資料によれば、今年3月末時点における1983年以前竣工・6戸以上の「要届け出マンション」は約1万2400棟。 このうち8494棟が届け出を行っている。届け出率は約68%。
・同制度では管理組合・管理者等・管理費の有無に加え、管理規約の有無と最終改正年、年1回以上の総会開催の 有 無、総会議事録の有無、修繕積立金の有無・1平方メートル当たりの月額、修繕の計画的な実施の有無・直近 の 実施年などについて届け出するよう規定。この7項目のうち「無し」が1つでもあった場合は「管理不全の兆 候 がある」と判断される。
◇◇
・この日の報告では届け出マンションにおける7項目の「無し」も割合を提示した。
*グラフでは、以下の各項目についての「無し」の割合を示している。
管理組合が無し(3.6%)/管理者が無し(3.2%)/管理規約が無し(3.4%)/総会開催(年1回以上)が無し (5.2%)/管理費の徴収が無し(1.1%)/修繕積立金の徴収が無し(4.0%)/修繕の計画的な実施が無し (9.0%)。
・「無し」があったマンションでは7項目中「無し」がいくつあったかの割合を明示。
*グラフでは、“管理不全の兆候あり”とされる必須7項目のいずれかを含む1226棟の“必須項目”が無い項目数 (1〜7)毎に棟数を示している。(n=1226棟)「無し」が1項目:715棟/「無し」が2項目:188棟/「無 し」が3項目:121棟/「無し」が4項目:62棟/「無し」が5項目:71棟/「無し」が6項目:43棟/「無し」 が7項目(必須7項目が全てが無し):26棟。
・また「管理不全の兆候がある」と判断されたマンションにおける積立金の有無・修繕の計画的な実施の割合を示 した。7項目中「無し」とする回答があったのは届け出済の8494棟中の1226棟。全体の14.4%が「管理不全の兆 候 がある」と判断される結果となった。7項目中の「無し」の割合が最も多かったのは「修繕の計画的な実施」(9.0%が実施無し)。「総会の開催」が2位(5.2%が実施無し)。
◇◇◇
・1226棟中、715棟(59.3%)が「無し」と答えた項目は1項目にとどまっていた。
2項目は188棟(15.3%)、3項目目は121棟(9.9%)。7項目全て「無し」が26棟(2.1%)あった。修繕積立金制
度がないケースは3割弱に及んでいる。
・2021年度は管理不全の兆候があるマンションに対する調査などに取り組む。
(マンション管理新聞:令和3年7月25日付の記事より抜粋)
投稿日:2021年07月01日 作成者:右田 順久 (1214 ヒット)
国土交通省は6月14日、改正マンション管理適正化法で国交相が策定する、マンション適正化の「基本方針」を公表し、意見公募(パブリックコメント)を始めた。7月15日まで鵜権を受け付ける。同省マンション政策室によれば、交付時期は「意見の内容次第」とした上で早ければ7月下旬から8月頃を想定している。(基本方針案概要は省略) ◇
3月17日の「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」で示した案から大幅な変更はないが「管理認定計画認定制度の適切な運用」で、国が講ずる必要な施策として新築マンションを対象とした管理計画の予備的な認定の仕組みを別途、追記した。検討会提示案では、「新たに分譲されるマンションも含めて管理計画認定制度が積極的に活用されるよう」とする表現とどまっていた。
検討会で「予備認定」について具体的な議論はなかったが、同室は「省内で議論を重ねていく中で新築物件も適正管理に資する制度を併せて検討していく必要があるのではないかと判断を追記した」と説明する。関係団体の意見も聞いたとしている。同室によれば、予備的な認定は、分譲事業社からの申請を想定している。引き渡しを経て管理組合が本申請を行う流れになる。予備認定に関しては、新たな基準は設けない方針。事前に審査できない認定基準項目については「対象外と云うことを想定している(同室)。他にも、文書の追記や削除などの修正をしているが同室は「分かりやすく明確にするため微調整した」と説明している。
◇
意見公募は当初4月をめどにしていたが「来年の施行に向け準備、検討する中で基本方針や認定基準委影響がないかどうか検討の時間を要した」(同)という。同室によれば、遅く手も12月末ごろ頃には自治体による助言・指導・勧告に関するガイドラインや、管理計画の認定事務に関するガイドラインを作成・公表する予定だ。
6月24日には改正マンション建替え円滑化法で拡充された要除却認定基準概要の意見公募も開始した。配管設備腐食等の基準で一部修正があった。
(マンション管理新聞:令和3年6月25日付の記事より抜粋)
投稿日:2021年06月01日 作成者:右田 順久 (9383 ヒット)
マンション管理新聞社は、管理会社各社の2021年3月末現在の総合管理受託 戸数の調査を実施した。その結果を「総合管理受託戸数ランキング」2021年度版として発表【表1】する。同集計には部分管理や賃貸管理戸数を除いた。集計した管理会社は530社。4月1日付で合併や管理事業を譲り受けた管理会社の場合は、吸収されたり、事業譲渡した管理会社の3月末時点での受託戸数を合算して集計した。
「グループ別ランキング」【表2】は持ち株などで事実上支配下にある会社の管理受託戸数を総合集計したもの。
◆
グループ上位15社の顔触れに変化はないが、あなぶきハウジングサービス・グループが前回の12位から9位へランクアップした。建衛工業(本社北海道)とホームライフ管理(本社東京)の株式を取得したことで、17万5512戸に達している。
単独別の上位の顔ぶれと順位に変動はなかった。三井不動産レジデンシャルサービスが6815戸減少させたが、「部分管理」を見直した結果、としている。
上位15社は総じて前回から受託戸数の伸びを鈍化させている。その要因の一つが分譲マンションの供給の減少だ。不動産経済研究所発表の「全国マンション市場動向」によれば、18年の8万256戸に比べ19年は7万660戸と12.0%も減らした。特に首都圏は15.9%、近畿圏も13.9%も落ち込んだ。来年の管理受託戸数の伸びも期待できない。同研究所の発表によれば、20年は2年連続の減少で、全国で5万9907戸と前年比15.2%減の6万戸割れとなった。 ◇
受託戸数の伸びが鈍化したもう一つの大きな理由が「管理委託費見直し」の動きだ。あくまでも管理継続を前提としながら、昨今の人手不足や人件費高騰、協力会社などからの値上げ要求を受け、業務の効率化や経費の見直しなどの経営努力だけでは原価増化分を吸収できないとして、管理組合に「管理委託費の値上げ」「管理仕様の変更」等の要求を実施した結果の現れだ。
また、費用面以上に「管理組合の要求・注文が不合理」だとして「現状ではサービス品質が保てない」と管理会社の方から契約辞退を申し出る動きも見られた。
昨年の調査では住友不動産建物サービスが受託管理組合の「1割近く」に契約解除の申し入れを実施したことで、大幅に受託戸数を減らした。今年の調査でもこの動きが続いている状況が見れる。
三菱地所コミュニティも前年から1906戸減らしたのも「管理委託契約書や管理仕様の見直し」の動きの結果といえよう。親会社である三菱地所レジデンスのマンション供給状況(18年3614戸、19年3365戸を考慮すると、単純に5千戸強ほど、既存マンションの受託管理戸数を減らした形だ。
◇◇
総合管理受託ランキングでは30万戸以上が5社、10万戸以上が16社(昨年比1社増)、5万戸以上が25社(同2社増)、3万戸以上が36社(同1社増)、1万戸以上が87社(同2社増)となった。
分譲マンションのストックは昨年末時点で675万戸と見込まれる。上位15社の市場占有率は54.3%。グループ別上位15社では61.3%となった。
ランキング順位で市場占有率を見ると、上位10社で44.3%(昨年44.7%)、20社で59.7%(同60.2%)、30社で66.7%(67.1%)、40社で71.2%(71.7%)、50社で74.5%(74.8%)、100社で83.9%(同84.6%)となった。 ◇◇◇
管理会社各社は近年DX(デジタルトランスメ―ション)による管理サービス力を入れている。人手不足や居住者の高齢化対策などで推進されてきたDXだが、結果的に新型コロナウィルスの感染予防対策でその推進に拍車がかかった形となっている。
オンライン理事会やオンライン集会、電子投票をはじめ管理委託契約書や各種契約の電子化も始まった。こうしたITを活用した総会・理事会の「デジタル化」対応を踏まえた標準管理規約の改正も近い。
また、来年4月には一般社団法人マンション管理業協会による「マンション管理適正評価制度」(仮称)がスタートする。「マンションは管理を買う」時代の幕開けといえる。今後は、管理会社各社のDXや管理適正評価への取り組み状況が、総合管理受託戸数ランキングに大きく反映してきそうだ。
★ 管理会社上位15社の顔ぶれ (2021年版) 【表1】
順位 |
前年順位 |
管理会社 |
受託戸数 |
1位 |
1位 |
日本ハウズイング |
469,898戸 |
2位 |
2位 |
大京アステージ |
431,656戸 |
3位 |
3位 |
長谷工コミュニティ |
373,760戸 |
4位 |
4位 |
東急コミュニティ |
341,642戸 |
5位 |
5位 |
三菱地所コミュニティ |
334,074戸 |
6位 |
6位 |
大和ライフネクスト |
275,140戸 |
7位 |
7位 |
合人社計画研究所 |
223,043戸 |
8位 |
8位 |
三井不動産レジデンシャルサービス |
202,606戸 |
9位 |
9位 |
住友不動産建物サービス |
173,194戸 |
10位 |
10位 |
野村不動産パートナーズ |
166,976戸 |
11位 |
11位 |
日本総合住生活 |
161,437戸 |
12位 |
12位 |
コミュニティワン |
160,683戸 |
13位 |
13位 |
あなぶきハウジングサービス |
131,347戸 |
14位 |
14位 |
穴吹コミュニティ |
110,491戸 |
15位 |
15位 |
伊藤忠アーバンコミュニティ |
106,243戸 |
★グループ別ランキング(G:グループの意味)【表2】
1位 大京G 542,147戸
2位 東急コミュニティG 525,694戸
3位 日本ハウジングG 470,783戸
4位 長谷工管理ホールディングス 410,412戸
5位 大和ハウスG 376,168戸
6位 三菱地所コミュニティ 334,074戸
7位 三井不動産レジデンシャルサービスG 264,552戸
8位 合人社計画研究所G 252,479戸
9位 あなぶきハウジングサービスG 175,512戸
10位 住友不動産建物サービス 173,194戸
11位 野村不動産パートナーズ 166,976戸
12位 日本総合住生活 161,437戸
13位 伊藤忠アーバンコミュニティ 106,243戸
14位 日本管財G 98,136戸
15位 東京建物アメニティサポート 77,613戸
★増加戸数ランキング位 (上位15社)【参考】
1位 積水ハウスGMパートナーズ 11,016戸
2位 日本ハウズイング 10,347戸
3位 長谷工コミュニティ 6,967戸
4位 合人社計画研究所 5,968戸
5位 三井不動産レジデンシャルサービス 5,224戸
6位 レーベンコミュニティ 4,376戸
7位 あなぶきハウジングサービス 3,357戸
8位 関電コミュニティ 3,258戸
9位 野村不動産パートナーズ 2,850戸
10位 エスリード建物管理 2,807戸
11位 グローバルコミュニティ 2,515戸
12位 エンゼル 2,392戸
13位 近鉄住宅管理 2,219戸
14位 大和ライフネクスト 2,129戸
15位 JR西日本住宅サービス 2,095戸
※買収・合併・事業譲渡含む
*マンション管理新聞:2021年(令和3年)5月25日付より抜粋
投稿日:2021年05月18日 作成者:右田 順久 (1073 ヒット)
国土交通省は改正マンション建替え円滑化法で拡充された要除却認定の具体的な基準を議論する「要除却認定基準に関する検討会」を設置し、5月13日、第1回会合をウェブ会議形式で開いた。
同省マンション政策室によれば、同基準は意見公募(パブリックコメント)を経て、秋ごろまでに告示や一部を省令で定める予定。同室は、この日の検討会で要除却認定の拡充について「本年12月の施行を想定している」と明らかにした。検討会は8月までに全3回の開催を予定している。
◇
委員は計5人。他に協力委員として国交省国土技術政策総合研究所の職員ら6人が参加している。座長は首都大学東京の深尾精一名誉教授。
当日は、要除却認定基準の方向性が提示された。外壁等剥落(102条2項3号)の基準の考え方では、RC造のマンションで劣化事象が目視で観測された場合に一定の鉄筋の腐食が発生しているか可能性が高いことを判定する基準としたい、と説明し判定式も示した。
判定は部位単位で四面の壁、階段室、バルコニー、片廊下、その他被庇の計8部位で行うとした。
火災に対する安全性不足(同2号)では、建築基準法の防火や避難関係の規定に適合していない既存不適格のうち、簡単な修繕で適合させることが困難なマンションを対象とすると示した。改修が可能な内装や非常用照明の設置等は対象外。
配管設備の腐食等(同4号)は、階下の天井裏を通る、いわゆるスラブ下排水管で、複数個所で漏水が生じていることを対象にするとした。給水管やガス管は「施工の困難さや衛生面での影響は小さいと考えられる」とし、対象外とした。
バリアフリー基準に不適合(同5号)は、バリアフリー法の建築物移動等円滑化基準の一部に不適合で、容易に修繕ができないものを対象にするとした。対象外として手すり設置などを挙げた。自治体が条例で基準を強化している場合は当該基準を適用する。こうした基準に適合しない建て替えについては「容積率緩和特例の対象外とする運用にしたい」と述べた。
この日の議論では、複数の委員から外壁等剥落等を判定する技術者がどういった人を想定しているかについて質問が出た。
同室は、外壁等剥落は「建築士をまずは考えているが、それ以外は検討中」とし、配管設備の腐食等については「建築設備士も対象になってくるのではないかと考えている」と述べた。
河野守委員は、外壁等剥落の調査箇所数についてルールがあるのかと尋ねた。同室は「例えば、南面と北面の外壁だと1住戸当たり1つのグリッドというふうに考えて、東面や西面は1住戸を縦に二つに割って2グリッドと考えている」と説明した。高さ4階建てのケースで「南面外壁で24グリッドというイメージ」とした。
大塚雅之委員は、配管設備の腐食等の判定は「他と比べてラフというか、判断の基準をどうみているか」と指摘。同室は「特殊事例で1カ所だけ漏水していることはあり得るが、数カ所の漏水は配管がかなり老朽化していると考えられるのではないかと考えて基準案とした」と述べた。
(マンション管理新聞:令和3年5月15日付の記事より抜粋)
投稿日:2021年04月01日 作成者:右田 順久 (1640 ヒット)
国土交通省の「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」(齋藤広子座長)の第5回会合が3月17日、ウェブ会議形式で開かれた。1月の会合で示されたマンション標準管理規約(単棟型)改正案の一部が修正されたほか、改正マンション管理適正化法で国交相に義務付けられた「基本方針」の案が示された。
基本方針は今回初めて全文が明らかになった。管理計画認定制度における認定基準案も一部を修正し提示された。同省マンション政策室によれば、4月をめどに意見募集(パブリックコメント)を実施し、6月ごろに基本方針の告示や改正した標準管理規約の公表を行う予定だ。
◇
検討会の会合は今回が最後、当初は基本方針案、管理計画認定制度における認定基準案を検討する予定だったが、標準管理規約の改正も議題に加わった。標準管理規約改正案の議論は前回のみの予定だった。マンション政策室は「多数のご意見を踏まえ、結果の報告も兼ねて改めて議論した方がいいということで追加した」としている。 ◇
標準管理規約は、1月の第4回会合で示された案との比較で一部を修正。定義」に「ウェブ会議システム等」を新設するなどの加筆・修正があった。「置き配」については方針を改め「共用部分に物品を置くことは原則として認められない」とし例外的な措置として認める旨を示している。
前回は提示されなかった改正点も提示された。同規約上、書面で提出することになっていた一部書面について「電磁的方法」による提出を想定した条文を用意したほか、2017年の最高裁判決を念頭に置き、役職が付いた理事を理事会の過半数の決議で解任できるとする規定を新たに設けた。理事会では理事そのものの解任はできない旨、コメントで注記している。
◇
管理計画認定制度の認定基準案では、第2回会合の素案で示した長期修繕計画の見直しを5年以内から「7年以内」に変更した。同室は、これまでの議論を踏まえ「実際に見直し作業をするとプラス1〜2年を要する」と説明した。長計の計画期間も25年以上を「30年以上」に変えた。「部材や工法など技術的に進んで修繕周期が長期化している」と変更理由を述べた。資金計画では、一時金徴収が予定されている場合を示していたが、「将来の一時的な修繕積立金の徴収予定がないこと」と変えた。
◇
基本方針案の概要では、従来の管理適正化指針で提示されている「管理組合が留意すべき事項」について、第3回会合で示した管理規約違反の是正措置を、管理費等の滞納などの場合には「法的措置等を取ること」が重要と具体的にした。基本方針案に別紙で管理計画認定制度の認定基準案も記載しており、同室は意見募集の際も「包含されていると思う」と話す。
この日の検討会で同室は、ワーキンググループ(WG)の議論を踏まえ、「長期修繕計画作成ガイドライン」「修繕積立金に関するガイドライン」を改定する考えを明らかにした。
同室は、改定箇所は「今の段階ではまだ申し上げられない」としているが、長計ガイドラインは既存マンションの計画期間25年以上を認定基準と同様の30年以上にする予定だ。ただ、現行の5年程度ごとの見直しについては「(程度と)多少ブレがある表現をしていて認定基準と齟齬がないかと思うので今のところ変える予定はない」と話している。
標準管理規約改正案で示した専有部配管の一体的改修を行う際にあらかじめ長計に記載する点については「どう定めるのか示す必要はあるかと思っている」(同室)という。
現行の新築マンション購入向けの修繕積立金のガイドラインは「既存マンションも参照できるよう位置づけを変える予定」(同)。金額も「変える。ベースとなる単価と地域ごとの係数を掛けて自分のマンションと比べられるようなものを想定している」という。共に策定時に意見募集していないため今回も実施しない予定で早ければ6月ごろに改定したい意向だ。
(マンション管理新聞:令和3年3月25日付の記事より抜粋)
投稿日:2021年03月01日 作成者:右田 順久 (2640 ヒット)
神奈川県逗子市のマンション敷地の斜面が崩落し、市道通行中の高校生が死亡した事故から1年が経過した2月5日、遺族がマンションの全区分所有者と管理組合、管理業務を受託している管理会社らに対し、約1億1800万円の損害賠償等を求めて横浜地裁に提訴した。管理会社・管理組合については善管注意義務違反による不法行為責任等を追認する構えで、敷地の保全責任を誰が負うのかが問われることになりそうだ。 ◇
訴状によれば、被告は区分所有者・管理組合、それぞれ連帯して損害賠償金を支払うよう求めた。計700万円の慰謝料も求めている。
原告が追及する、各者の法的責任をについて示した。(下記の管理組合らの法的責任の表をご参照。)区分所有者には土地工作物所有者もしくは占有者として責任を負う、と指摘した。
昨年2月に国土技術政策総合研究所が行った現地調査では崩落について「乾湿、低温等による風化を主因としたもの」と報告。
この点から原告側は「異常な自然力による誘因もなく、ある日突然風化により土砂が崩れたのだから、造成地として通常有すべき安全性を欠いている」とし、「設置または保存の瑕疵が存在する」と言及。敷地共有する区分所有者を工作物所有者もしくは占有者とし、土地工作責任に基づく損害賠償責任を求めた。
「管理組合は共有部分の占有者ではない」と結論付けた上級審の判例があるなどの点から、管理組合ではなく区分所有者を「土地工作物の所有・占有者」と見なしたと考えられる,
崩落した斜面が「土地の工作物に当たるかどうかについては「宅地造成地も自然の土地に人工を加えて作ったものであるから土地に工作物」だとし、崩落した斜面を含む敷地は「造成地として土地の工作物に当たる」と結論付けている。
マンションの敷地については、1960年ごろ、地山が市道工事のため切土。道路脇に擁壁が増築され、68年ごろ造成地として造成以降手付かずのまま、2003年ごろマンションの建築が申請され「当初の造成地の形状を維持したまま建築が許可され、マンションの敷地となった」と経緯を開設している。
また、当初のマンション開発業者が実施した擁壁の地質調査結果で、03年時点で調査した斜面の対策工事の必要性や風化による強度低下が指摘されていたことも明らかにした。
◇
管理会社の従業員については管理委託契約上の善管注意義務違反による不法行為責任を追及している。
同社従業員は事故前日、敷地巡回中崩落した斜面上部の地面に長さ4メートル・幅1センチの亀裂を発見して写真を撮影。その後「同日中に管理会社担当支店に連絡、担当者に対応を相談し危険情報を共有していた」とする。
こうした状況から、事故が起きる可能性を予見できたのに、亀裂周辺やその直下区域への人の立ち入りを禁止するといった、注意義務を怠り必要な対策を取らず「漫然と放置した過失」により、斜面を崩落させ生徒を死亡させたとした。
管理会社には従業員の善管注意義務違反に加え、従業員の使用者責任も併せて追及。
現場は土砂災害防止法による土砂災害警戒地域に指定され、事故直前の20年1月には県による2回目の地盤調査が行われていた点から「危険であることを十分認識していた」としている。
管理組合は、管理会社に業務を委託し管理組合としての管理業務を遂行させていた点から管理組合の善管注意義務違反の行為についての不法責任、また管理会社従業員の行為について使用者責任を負うとした。
原告側は使用者責任を負う使用者が複数いる場合も、「各損害賠償債務は不真正連帯債務となる」と述べている。
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<参考>
□管理組合等の法的責任について
全区分所有者 |
土地工作物責任(民法717条) |
管理会社
従業員 |
不法行為(民法709条)
使用者責任(715条)
不法行為 |
管理組合 |
不法行為・使用者責任 |
□民法の関連条文
第644条(受任者の注意義務)
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
第709条(不法行為による損害賠償)
故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害したものは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
第715条(使用者等の責任)
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を 負う。ただし、使用者が被用者の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意を しても損害が生ずべきであったときは、この限りではない。
2.使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3..第2項の規定は、使用者または監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
第717条(土地の工作物等の占有者および所有者の責任)
土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を与えたときは、その工作物の占有者は、 被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が 損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2.前項の規定は、竹木の植栽また支持に瑕疵がある場合についても準用する。
3.前2項において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者または所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
(マンション管理新聞:令和3年2月15日付)
投稿日:2021年02月01日 作成者:右田 順久 (1409 ヒット)
ウェブ会議システムなどITを活用する、総会・理事会の「デジタル化」対応を踏まえ、マンション標準管理規約の改正が検討される見通しになった。国土交通省が1月29日に開く予定の「マンション管理の新制度の施行に関する検討会」(座長=齋藤広子・横浜市立大学教授)で、標準管理規約の改正検討について議論する。 ◇
国交省・マンション政策室は「総会・理事会のデジタル化について議論する予定」だと説明する。総会(集会)については区分所有法に規定があるため法務省の管轄となるが、「同法との兼ね合いも含め議論を行う」としている。検討会は当初、3月開催予定だったが、「デジタル化」について議論を行う目的で急きょ開催が決まった。同室は「コロナ禍で(総会・理事会のデジタル化対応が)喫緊の課題として挙がってきたため」と話す。 ◇
総会・理事会のデジタル化については一般社団法人マンション管理業協会の「ITを活用した総会の在り方検討会」が昨年12月、報告書を国交省住宅局長・法務省民事局長宛て提出している。
報告書ではオンライン総会・理事会、オンラインを併用する総会・理事会の適正実施に向け提言を行った。
総会では議決権行使の取り扱い、招集手続き等について「区分所有法・標準管理規約等における法解釈の明確化が必要」だと指摘。理事会では「標準管理規約等の明示が必要」だと訴えていた。
(マンション管理新聞:令和3年1月25日付)
投稿日:2021年01月01日 作成者:右田 順久 (1137 ヒット)
東京都が11月19日、国の2021年度予算編成に対する提案要求をまとめ公表している。7月の国の施策・予算に対する提案要求と併せ毎年2回提案要求を行っており、マンションの適正な管理と円滑な再生による良質なストック形成促進についても毎回の提案要求事項になっている。
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今回の要求事項は「改修によるマンション再生の促進」「マンションの管理水準の向上」「既存マンション取引き時における管理情報の開示促進等」など全11項目。「団地型マンションの再生の円滑化」が削除された以外は、7月の要求とほぼ同様の内容だ。
7月の要求では、改正マンション管理適正化法の公布を受け「マンション管理適正化法と地方公共団体の条例との関係」を要求事項に掲げている。
東京都を含め、改正法に先行して管理状況の実態把握方法や管理適正化のための管理組合等に対する助言・指導等に関する規定を設けた条例を制定した自治体に配慮を求める内容だ。
要求では「同法の運用などに配慮し、当該当自治体の条例制度の運用などに大きな影響が生じないようにすること」としている。
「管理水準の向上」では従来、優良な管理が行われているマンションなどを評価し「税制、金融等の優遇措置を講じる」としてきたが改正法の公布を受けて、改正後の適正化法の運用に当たって、こうした措置を講じるよう修正を施している。
(マンション管理新聞:令和3年1月5日付版より抜粋)
投稿日:2020年12月20日 作成者:右田 順久 (1342 ヒット)
NEWS 1 新型コロナ感染拡大 未曽有の事態に直面
新型コロナウィルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言が4月7日、7都府県を対象に発令された。宣言を受け、マンション管理の現場は、これまでにない事態に陥った。
管理人や清掃業務の縮小・一部休止といった宣言下における対応方針を打ち出す管理会社も一定数に上った。
都内のマンションでは、大手管理会社から「管理スタッフを配置できない」、ごみ出しについては収集日の運搬作業までを必要最低限のスタッフで行うなどの対応を記した文書が届いた。その後撤回されたが、管理会社も混乱していた。この管理組合の理事長は「ごみ出しだけは絶対にやってもらわないといけない。マンションが崩壊する」と口にした。
別のマンションでは、ごみ出し・ごみ置き場の清掃など一部業務だけを実施し、各種点検は一部延期・中止の対応が掲示された。
4月16日には緊急事態宣言の対象が全国に拡大。在宅勤務によるスタッフ不足で理事会への「月次報告」を諦めるという会社や、4月開催予定の総会について「全て延期」を管理組合に提案したとするケースもあった。大規模修繕工事は「6割は休工」した改修業者もいた。セミナー・相談会などが宣言発令前の3月ごろから中止や延期が相次いだ。
NEWS 2 改正適正化法・円滑化法が公布
マンション管理適正化法・建替え円滑化法の改正案が6月16日、衆議院本会議で可決・成立し、24日に公布された。
適正化法は同法が制定された2000年以降、初の本格的な改正となった。一部を除き、公布から2年以内に全面施行される。同法では、国が策定する「基本方針」に基づき、地方自治体が策定できる「マンション管理適正化推進計画」と、同計画を策定した区域における管理組合が定めた「管理計画」の認定制度を新たに創設した。自治体が管理組合に対して助言、指導、勧告できる規定も盛り込まれた。
マンション管理業関係では、重要事項説明・書面交付について変更した。住説は、自治体から管理計画の認定を受けた管理組合の管理者については、管理者側が希望しない場合、書面の交付だけで済むようにした。重説書や契約時に作成・配布する書面は、管理組合側の承諾があれば、電子ファイルなどに置き換えることもできる。
建替え円滑化法では、これまで耐震性不足が要件だった要除却認定の対象を拡大し、外壁の剥落等により危険が生じる恐れが生じることなどを加えた。認定を受けた「特定要除却認定マンション」は、多数決で敷地売却などができる。施行は21年12月の予定。
NEWS 3 東京都 管理状況届け出制度を開始
東京都も条例に基づく管理状況届け出制度が4月1日、スタートした。9月30日に届け出期限を迎えた。
都マンション課によれば、10月12日時点の届け出数は全体の約4割。届け出義務対象の1983年以前に建築された6戸以上の分譲マンションは約1万4000棟としており、約5600棟が届け出を行った計算だ。同課は、同様の制度を先行する豊島区や板橋区で届け出数が5割に達するまで1年を要した点から、半年で4割は「そこそこ順調だ」と評価した。
条例で未届けマンションには管理組合・区分所有者への報告を求めたり、職員らによる調査ができるが、まずは督促などで自発的な届け出を促す考え。
都内23区26市のうち要届け出マンション上位10区・上位3市に届け出を尋ねると9月30日時点で区は世田谷区が届け出率48.5%、市部では多摩市が64.3%で最も高かった。
NEWS 4 適正管理評価制度 22年4月スタートへ
一般社団法人マンション管理業協会(管理協)が創設を進める「マンション管理適正評価制度」(仮称)の開始予定時期が2022年4月に決まった。管理協によれば、改正マンション適正化法の管理計画認定制度の開始予定時期に合わせた。
9月4日にはホームページに制度の概要等をまとめた専用ページを開設。管理組合が自分のマンションの管理状態をチェックできるよう、仮の評価シートも掲載した。
同制度は、マンションの管理状況を五つの評価項目で評価する。評価結果は総会決議を得た上で管理協が物件管理情報システムに登録し情報開示する。昨年9〜12月に計4回にわたって関係団体による「マンション管理適正評価研究会」で管理の適切性が市場価値に反映される仕組み作りや情報開示などを検討していた。
NEWS 5 敷地斜面崩落 通行人が死亡
神奈川県逗子市で2月5日、市道沿いの分譲マンション(築16年、38戸)敷地の斜面から土砂が崩落し、通行中の女子高校生が巻き込まれて死亡する事故が起きた。
同市は、管理組合の承諾を得て実施した斜面の応急復旧工事に要した費用と、今後実施する本復旧工事の費用について管理組合と協議。市は当初「第一義的には原因者負担」としていたが、市道の早期復旧などを理由に12月の市議会で本復旧工事費は市が合意書案や補正予算案を可決した。
事故を巡っては、一部の報道機関が、遺族が管理会社の代表と区分所有者の住民らを刑事告訴したと報道。10月には神奈川県が事故前日に管理員が斜面上部に亀裂を発見し管理会社に連絡していたと明らかにした。
<以上、マンション管理新聞(令和2年12月15・25号付)の記事より抜粋>