実態把握へ調査開始<総務省関東管区行政評価局>〜都内の自治体・管理組合対象・4月にも結果公表へ〜

投稿日:2020年02月08日 作成者:右田 順久 (1256 ヒット)

総務省関東管区行政評価局は1月22日、「マンションの適正な管理の推進等に関する調査」を開始する、と発表した。適切な修繕が行われていない高経年マンションが増加する恐れが生じているなどの背景から、マンションの適正な管理に向けた行政機関による支援策等の実施状況や管理の実状などの実態を把握するのが狙い。

調査結果は公表する。適正なマンション管理について区分所有者らの意識向上や行政の関与の強化・充実等に貢献し、一層の適正化を推進したい考えだ。調査対象にする行政機関は東京都と都内区市。管理状況等の届け出制度を設けている自治体が主な対象となる。届け出制度を設けていない自治体の参考になるような情報把握等も行う。
実状把握に関しては一般社団法人東京都マンション管理士会に業務を委託。管理組合に対する支援を行う中で発生していた問題などの事例を収集し、課題を整理した上で実状をまとめる予定だ。同局によれば、管理組合の許可が得られれば管理状況等の届け出制度に基づく支援等を受けたマンションを訪問し、実状をヒアリングする。3月まで調査を実施し、早ければ4月中に結果を発表する。
調査は、総務省の各管区行政評価局等が管轄する地域の住民生活に密着した行政上の問題を取り上げ調査を実施し、必要な改善を図る狙いを持つ「地域計画調査」として行われている。
(マンション管理新聞・令和2年2月5日付)

『適正化計画』都道府県等地方自治体へ策定を促進(国交省)〜適正化法 初の本格改正へ、2月下旬にも法案提出〜

投稿日:2020年01月28日 作成者:右田 順久 (1339 ヒット)

国土交通省はマンション管理適正化法・マンション建替え円滑化法を改正する方針を決めた。1月20日に開会した通常国会に改正法案を提出する予定だ。
マンション管理適正化法の本格的な改正は、2000年の制定以降これが初めてとなる。2月下旬の提出を予定している。

マンション管理管理適正化法は、適切な維持管理の推進を図るため都道府県等地方自治体による、区域内マンションの立地状況等を踏まえた「マンション管理適正化計画」(仮称)の策定を促進する。建替え円滑化法は敷地売却ができる「要除却認定マンション」の対象を拡大するほか、団地の敷地分割を多数決で行えるようにする制度を創設する。
今回の法改正は社会資本整備審議会住宅宅地分科会・マンション政策小委員会が昨年12月に作成した、取りまとめ案に沿った内容だ。案は公表され、12月27日意見公募手続き(パブリックコメント)を開始。1月26日まで意見を募集している。取りまとめ案ではマンション管理適正化の推進策として「行政の役割の強化」を提示している。 地方自治体には「区域内のマンションの立地状況等を踏まえ、計画的にマンション管理適正化に関する施策を講じていくことが必要だ」などと言及。
国に対しては「地方自治体による能動的な関与を円滑化するために必要な措置を講じるべきだ」としている。
「要除却認定マンション」については、現行の要件である「耐震性不足」だけではなく老朽化、「特に外壁剥落等により居住者、近隣住民等の生命・身体に危険が生じる恐れがあるマンション」も対象とすることが重要だ、と指摘した。

適正化法については契約書面の電子化といった、マンション管理業関係の可能性も見込まれる。1月中にも一般社団法人マンション管理業協会が昨年実施したIT化・電子化の社会実験結果について、第三者で構成する検証検討会が国交省に報告書を提出する見通しだ。
今国会での法改正について同省・不動産業課は「現時点である、ないということは言えない」と話したが、報告書の提出を受け、改正法案に「書面交付原則の変更等」が盛り込まれる可能性がある。
(マンション管理新聞・令和2年1月25日付)

団地の敷地分割円滑化も〜マンション政策小委員会・まとめ案を提示〜

投稿日:2020年01月02日 作成者:右田 順久 (1330 ヒット)

社会資本整備審議会住宅宅地分科会下の「マンション政策小員会」(齋藤広子委員長)の第3回会合が12月20日、東京都内で開かれた。マンション管理の課題・現状や取り組むべき施策の方向性などを盛り込んだ取りまとめ案を示した。案では以下の七つの施策の方向性を提示している。

➀行政の役割の強化、②管理の適切性の評価・適切な修繕の促進、③管理適正化の促進に係る専門家・専門機関の活用の促進、④建替えの円滑化の促進、敷地売却事業の対象拡充、➄団地における敷地分割の円滑化、⑥再生円滑化の促進に係る専門家・専門機関の活用の促進、⑦行政による再生円滑化のための取り組みの強化―。
➀は各自治体による実態把握等とともに管理不全への支援等、能動的な関与の必要性を明記。国に対しては、各自治体による能動的な関与を円滑化するために必要な措置を講じるべきだとした。
④は耐震性不足でなくても、居住者や近隣住民に危険を及ぼす恐れがあるマンションも敷地売却の対象とする旨「重要」とした。
➄は全員合意によらない敷地分割を可能とする仕組みの構築を求めるなど、これまでの会合を踏まえて方向性を示した。
案には「中長期的な課題」も。団地型の再生における一団地認定の変更や解除、被災マンションの再生、ストックの継続的な実態把握とそれを踏まえた多様な管理形態や新たな再生手法の在り方、の三つを挙げている。
案については意見公募を行い、寄せられた意見を基に2月10日の時期会合で最終取りまとめ案を提示、議論する。
(マンション管理新聞:令和2年1月5日号付)

2019年のマンション関係のニュース〜マンション管理新聞から〜

投稿日:2019年12月20日 作成者:右田 順久 (1204 ヒット)

NEWS 1 東京都 マンション管理条例スタート
 東京都は3月29日、1983年以前に建築された6戸以上のマンションに管理状況の届け出を義務付ける「東京都におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」を公布・施行した。管理状況の届け出に関する規定は、来年4月1日に施行される。同条例は管理不全を防ぎ、適正な管理を促進するのが主な目的だ。

9月26日には、届出内容や提出期限などを規定した施工規則を公布。届け出内容では、管理組合・管理者等の有無、管理規約の有無と最終改正年、年1回以上の総会開催と総会議事録の有無、管理費の有無、修繕積立金の有無と1平方メートル当たりの月額、計画的な修繕の実施の有無と直近の実施年などを必須事項とした。適正な維持管理に関する事項として、長期修繕計画の有無・計画期間・最新作成年、滞納対応のルールの有無、空き住戸・賃貸化住戸の割合、耐震化の状況、設計図書の有無を定めた。
ほかに、マンションの社会的機能の向上に資する取り組みに関する事項として防災の活動やバリヤフリー化、共用部分のLED化など環境への取り組み、地域コミュニティに関する項目も設けている。提出期限は来年9月30日とした。届け出内容の更新は5年以内ごとに行う。

NEWS 2  適正管理 中古市場評価へ仕組みづくり
 一般社団法人マンション管理業協会(管理協)9月12日、マンション管理関係11団体による「マンション管理適正評価研究会」が発足した、と発表した。マンション管理の適正性が市場評価を受ける仕組みづくりを検討する。
会合では、管理情報の開示方法や管理状況の評価項目案などが示された。管理情報の開示は、管理組合にデーターベースに登録してもらう方式を提示した。登録する管理情報は、戸数など一般情報、評価する人で判断が分かれる客観情報、等級評価項目の三つを挙げた。
等級評価項目は、管理体制・組合収支・建築と設備・耐震診断関係・生活関連の五つの大項目の下にそれぞれの項目を設定した案を提示。11月の第3回会合では、マンション標準管理規への準拠状況が追加されている。 等級評価は、評価項目の合計ポイントに基づき評価し、S・A・B・C・Dの5段階評価を想定。満点は100ポイントで、90ポイント以上が最高評価のSとする案を示した。

NEWS 3  相次ぐ豪雨鵜被害 浸水対策でガイドライン策定へ
 今年も自然災害が発生した。8月の九州北部の豪雨のほか、関東などを襲った9月の台風15号や10月の台風19号でマンションにも被害が出た。台風15号では、強風によるガラスやバルコニー隔壁板などの破損、豪雨による機械式駐車場冠水などの被害があった。停電に伴う断水やエレベーター・排水ポンプの停止も発生した。
10月の台風19号でタワーマンションなどの浸水被害に伴う電気設備故障事故が発生したことを受けて、国土交通省と経済産業省は「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」を設置。11月27日に都内で第1回会合を開いた。国交省によれば、来年3月中に高圧受電設備を持つマンションやオフィスビルなどを対象にしたガイドラインを策定する見込み。  

NEWS 4  住生活基本計画見直しで『施策委員会』
 2016年に閣議決定された住生活基本計画の見直しについて議論する第47回社会資本整備審議会住宅宅地分科会が、9月12日、都内で開かれた。来年6月にも中間取りまとめを行う方針。マンション管理関係では、ストック時代の新たなマンション政策の在り方を検討するため、「マンション政策小委員会」を設置し、自治体による管理適正化への関与の強化・充実、再生円滑化のニーズに対応した事業手法の拡大、団地の柔軟な再生についても検討するとした。
同委員会の第1回会合では、①自治体が管理の段階から関与する必要性や有効策②耐震性不足以外の老朽化マンションを要除却認定する必要性③一部を残して他棟の建替え等を円滑に行うための敷地分割の要件等の考え方―などが論点として提示された。②については「要除却認定する基準について、築年数など単一のものでは難しいため総合的な視点での基準作りが必要」とする意見が上がった。

NEWS 5  大規模修繕工事の不確定要素を調査
 公益財団法人マンション管理センターは8月26日、追加工事や実数精算といった大規模修繕工事の不確定要素に係る取扱いの実態を調べるため、設計・管理コンサルタント業者を対象にアンケートを調査した結果を公表した。205社中、有効回答は55。
回答したコンサルの81.1%が、最終的な補修箇所を着工後実際の劣化状況に応じて決め、終了時に精算する「実数精算方式」を採用していた。工事業者が事前に自ら数量を確定し値段をいれる「責任数量方式」は11.9%。精算は契約金額から「追加精算になることが多い」、つまり増額になるケースが43.8%。
予備費は工事費の「10%程度」が最も多かった。
<以上、マンション管理新聞(令和元年12月15・25日付合併)の記事より抜粋>

東京都「総合計画」策定に着手~検討会設置 19年度中に、来年1月に意見公募~

投稿日:2019年11月12日 作成者:右田 順久 (1071 ヒット)

今年3月に施行された東京都のマンション管理条例で、知事による作成が義務付けられた、
管理不全を予防し適正な管理を促進するための基本施策を具体化する「総合計画」の作成に都が着手した。

10月31日に都が公表した資料によれば、計画作成に当たり「マンションの総合的な計画に関する検討会」(座長=齊藤広子・横浜市立大学教授)を設置。すでに2回会合を開いた。
会合は非公開だが議事概要は公開する。12月11日の第3回会合で計画の素案をまとめ、来年1月に意見公募を行う。3月中に計画を作成する見通しだ。
検討会では▽計画策定の背景と目的、計画の性格と位置付け、期間▽東京が目指すマンション居住の将来像▽施策展開に当たっての基本方針▽施策目標と具体的な施策展開―などについて検討する。

計画期間は2020年度~29年度の10年間の予定。政策目標を設定するほか、主要施策については5カ年の年次計画を示し、工程を明らかにする。
計画は都の住宅マスタープランの下位計画と位置付ける。内容・構成は16年3月に策定した「良質なマンションストックの形成促進計画」を踏襲する。
都が示した資料では、計画の構成は「良質なマンションストックの促進企画」をそのままスライドさせた。検討会で議論するマンション居住の将来像や基本方針、施策目標等も、3月に施行したマンション管理条例を踏まえた改編や来年4月にスタートする管理状況届け出制度に関する部分を改めた以外は、現段階では「良質なマンションストックの促進計画」で示された内容をほぼ引き継いでいる.
「良質なマンションストックの形成促進計画」と比較すると、「マンション居住の将来像」では、「全体像」に、新しく「管理が良好なマンションが適正に評価される市場環境が整備されている」と記載。「管理不全の兆候のあるマンション等に対する調査や助言、アドバイザー派遣による支援が行われ、マンションが適切に管理運営されている」とうたった。
そのほかでは「改修や建て替え、敷地売却などさまざまな再生手法の中から、管理組合がマンションの状況に応じた最適な手法を選択し、マンションが適切に再生されている」といった将来像を追加している。具体的な施策展開についても、基本的には「良質なマンションストックの形成促進計画」の内容にのっとっている。
(マンション管理新聞:令和元年11月5日付)

住生活基本計画見直しで再生事業手法の拡充を議論<社会資本整備審住宅宅地分科会>~マンション管理適正化の自治体関与の強化も政策の在り方検討・マンション政策小委員会設置~

投稿日:2019年10月01日 作成者:右田 順久 (1165 ヒット)

第47回社会資本整備審議会住宅宅地分科会(会長=中井検裕・東京工業大学環境・社会理工学院長)が9月12日、東京都内で開かれた。2016年に閣議決定された住生活基本計画の見直しについて議論する。来年5月まで毎月開催し、6月にも中間とりまとめを行う方針。新たな計画は21年3月の閣議決定を見込んでいる。                                                   ◇
マンション管理に係る主な見直しテーマは「マンションの老朽化、居住者の高齢化が見込まれる中、管理の適正化や再生にどのように取り組むべきか」。
主な課題としては管理不全の発生、新耐震基準マンション・大規模団地の高経年化、マンションの大規模化、既存ストックの増加を提示した。
ストック時代における新たなマンション政策の在り方を検討する必要があるとし、分科会下に、「マンション政策小委員会」を設置。同委員会で地方自治体によるマンション管理適正化への関与の強化・充実、再生円滑化のニーズに対応した事業手法の拡大、団地の柔軟な再生、といった事項について検討する、とした。委員会は来月以降3~4回議論を行い、年内に施策の在り方の方向性を示す。

住生活基本計画は06年施行の住生活基本法に基づき策定される。計画期間は10年で、おおむね5年毎に見直しを行っている。現行の計画期間は16年度から25年度まで。マンション管理関係では、敷地売却制度の活用促進や管理組合の担い手不足への対応などを基本施策として盛り込んで入る。
(マンション管理新聞・令和元年9月25日付)

「書面の電子化にも言及」管理協が国交相宛に提出~適正管理の方策で要望<コスト削減効果大きい>~

投稿日:2019年09月01日 作成者:右田 順久 (1278 ヒット)

一般社団法人マンション管理業協会(管理協、岡本潮理事長)は8月6日、「マンションの適正な管理を確保するための方策に関する要望」を石井啓一国土交通大臣宛てに提出した。

具体的な要望は10項目(末尾の※印をご参照)
管理費・修繕積立金の負担軽減や管理組合資金を確保する観点から、税制優遇制度等の創設や長期優良住宅化リフォーム推進事業の対象工事に機械式駐車場の解体・埋め戻し工事を追加するなどの措置を求めた。
マンション管理適正化法上の重要事項説明、契約成立時の書面交付方法に「電磁的方法」を追加する、また管理事務の報告にIT等を使った対面以外の方法を追加するなどの対応を求めている。
管理組合の都合による業務の縮小、管理業者の住所変更を、契約更新時に説明会を開く必要がない「従前の管理受託契約と同一の条件」の該当要件に加えるよう求めるなどの要望も行った。
管理費・修繕積立金については、一定割合を、勤労世帯なら所得税額控除、年金生活者世帯なら固定資産税の減額といった措置で負担軽減を図る、などのプランを示した。
重説等の電磁化については、管理員が常駐していない物件やリゾートマンションなど「管理業者の従業員が近隣で事業を営んでいないケースがある」と指摘した上で、IT技術を活用すれば地理的・時間的な制約をなくすことができ、従来要した時間・経済的コスト大幅に縮減できる、と訴えている。
重要事項説明書の電子化についても言及した。要望では、特に「従前と同一の条件」で契約を更新する際、「事前に全戸配布する契約書等の写しも相当量に上る」とし、電子化が実現すれば「経済的コスト縮減の効果は大きく、書類管理労力に伴うコストも大幅な削減が期待できる」とメリットを述べた。電子化が認められれば、書面の掲示を電子掲示板で行えるようになり、美観や効率性の向上も図れる、としている。


※【具体的な要望としての10項目】
(1)マンションの適正な管理を実現するための方策
1.管理情報の開示(法律関係)、2.情報開示マンションに係る優遇措置(予算関係)

(2)マンションの適時適切な修繕を実現するための方策
1.区分所有者が管理組合に納入する管理費・修繕積立金の負担軽減等の措置(税制・予算関係)、2.長期優良住宅化リフォーム推進事業の延長と拡充(予算関係)
(3)マンション管理適正化法の見直しに関する要望

1.AI・IoT等先進技術活用(法律関係)、2.重要事項説明の適正化(法律関係)、3.重要事項説明の同一の条件の対象の追加(法律関係)、4.管理業務主任者証の再交付(法律関係)、5.従業員証明書の記載項目(法律関係)
(4)その他の要望
1.大型の郵便受け箱設置・オープン型宅配ボックス設置のための補助制度の拡充(予算関係)

<マンション管理新聞:令和元年8月15日・25日付合併号>

「指針」の素案を公表・8月中旬にも意見公募<東京都>~ 検討委設置・適正管理の「具体例」提示~

投稿日:2019年08月08日 作成者:右田 順久 (1316 ヒット)

東京都は7月28日、25日に「マンションの管理の適正化に関する指針に関する検討会」(齋藤広子座長)の第1回会合を開いた、と発表した。当日は「マンション管理の適正化に関する指針」の素案が提示された。管理組合が適正な管理に向けて取り組む際の具体的な行動指針を定めたもので、8月中旬にも意見公募(パブリックコメント)を実施する。9月には第2回検討会を開き、最終まとめ案を示す予定だ。

指針は、今年3月29日に施行された「東京都におけるマンションの適正な管理の推進に関する条例」で、「都知事が定める」と規定されている。
この日示された素案は総則と①管理不全を予防するための必須事項➁適正な管理を行う上で重要な項目➂マンションの社会的機能を向上する取り組み④その他管理適正化に関する重要な事項―で構成。管理組合・区分所有者らに「管理組合の活動が指針に示す事項を満たすよう努める」ことを求めた。
素案はおおむね、都が作成した「マンション管理ガイドライン」を踏襲しており、適宜加筆・修正している。指針策定次第、来年3月末をめどにガイドラインも改訂する。

検討会は適正化指針の制定に伴い、指針に定める事項を審議する目的で、7月4日付で設置された。主な検討事項は管理不全を予防するための必須事項、適正な管理を行う上で重要な項目など。委員は左記の通り。会には委員に加え、「先行区」代表として豊島区の住宅課長も参加している。
座長=斎藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授/浅見真二・公益財団法人マンション管理センター総合研究所長/川上NPO法人日本住宅管理組合協議会会長/篠原みち子弁護士/鈴木良宜・一般社団法人マンション管理業協会事務局長/森川誠・同不動産協会理事・事務局長/若林雪雄・同東京都マンション管理士会副理事長。
(マンション管理新聞:令和元年8月5日付)

 

「マンションの終末期を考える『長寿命化・その先』」(コミ研6/27フォーラム)~建物だけではない。管理組合にも「終わり」が!タブー視せず問題点整理を~

投稿日:2019年07月09日 作成者:右田 順久 (1596 ヒット)

マンションコミュニティ研究会(廣田信子代表)は6月27日、東京・月島の月島区民会館で第19回フォーラムを開いた。今回のテーマは「マンションの終末期を考える」。参加者は定員の100人を超え、「マンションの終活」に対する関心の高さがうかがえた。                                                                                       ◆
当日は明海大学の小杉准教授による「マンションにはどんな終わり方があるのか」、スペース・ユニオン代表の藤木亮介一級建築士による「終末期を定めた上で長期修繕計画を考えることの意味」、などの講演があった。

小杉准教授はまず、「マンションの長寿命化」は、一般的に「建物の長寿命化」と認識されているが「管理組合の長寿命化も含まれている」、と指摘。マンションの「終わり」には、「建物の終わり」と「管理組合の終わり」の二つがある、との見方を示した。その一方、この二つの「終わり」が「タイミングよく一緒に訪れるとは限らない」とも。
このため「建物の終わり」が来たときには建て替えを選択。「管理組合の終わり」が来たときには、管理不全状態に陥ることを防ぐ意味で、管理組合と建物を同時に終了させる手段である「土地・建物の売却」ができるよう、管理組合が「元気」なうちに準備しておく、といった、それぞれの終末期における活動例を挙げた。
スムーズな週末を迎える手法の一つとして小杉准教授は、建て替えや土地・建物の売却時期を数十年後に「仮終末」として設定し、「仮終末」までは健全な管理組合を確実に維持させる、「高経年期管理を」提案した。
仮終末までに建て替えや土地・建物売却等の事業準備や合意形成を進めておく。仮終末が近付いたとき、建て替えや売却の必要がなければ、仮終末の延長・再設定も可能だ、とした。                                                                                      ◇
藤木氏は「現在の長期修繕計画はほとんどの場合『永遠にマンションが持続すること』が前提でマンションの終わりを見据えていない。終わりを見据えなくてよいのか」と問題提起を行った。
その上で、物理的・経済的にマンションが継続できなくなる「持続限界」と、「持続限界」が来る前に管理組合が自ら定めた適正なマンションの終わりを指す「持続限度」について、築50年前後の実在するマンションをモデルに検討した長計例を報告した。
このマンションは築80年を「持続限度」と想定、築78年で予定する6回目の大規模修繕は実施しないが、築80年までは修繕を放棄せず「維持」を続ける。
この場合、築68年以降は積立金の負担が大幅に減るが、藤木氏は「築80年時点での積立金残高を建て替えや建物解体費用に流用できる」点から、マンション継続の可能性も見据え積立金の金額を維持するのが安全な計画だとした。
藤木氏は将来の積立金額の変化を勘案し、25年を超える「超要期修繕計画」の作成を提案。同計画で全体を見通し、積立金の支出がピークを迎える年代に備え、事前に積み立てていくことが望ましいとした。「建物の生涯を把握するために『終わり』の設定は有効」と締めくくった。
(マンション管理新聞・2019年7月5日付発行)

 

2019年版総合管理受託戸数ランキング<マンション管理新聞>~グループ別15社で61.2%ノシェア・寡占化一段と~ 

投稿日:2019年06月01日 作成者:右田 順久 (6987 ヒット)

マンション管理新聞社は、管理会社各社の2019年3月末現在の総合管理受託 戸数の調査を実施した。その結果を「総合管理受託戸数ランキング」2019年度版として発表する。同集計には部分管理や賃貸管理戸数を除いた。集計した管理会社は502社。
◆◆
4月1日付で合併や管理事業を譲り受けた管理会社の場合は、吸収されたり事業譲渡した管理会社の3月末時点での受託戸数を合算して集計した。    「グループ別ランキング」は持ち株などで事実上支配下にある会社の管理受託戸数を総合集計したもの。管理会社上位12社に順位の変化はなかった。あなぶきハウジングサービスが昨年15位から二つ順位を上げて13位になった。
昨年7月1日付で子会社のあなぶきセザールサポートと合併、戸数を増やし12万1930戸でランクイン。伊藤忠アーバンコミュニティも昨年10月1日付で子会社のIUCコミュティライフと合併。10万6908戸を数え、昨年の16位から15位にランクアップした。上位15社まで10万戸を突破している。
1位の日本ハウズイングは45万戸目前、合人社計画研究所は20万戸の大台を超えた。グループ別ランキング15社の顔触れに変化はなかった。1位の大京グループと2位の東急コミュニティグループの差が昨年の1万4325戸から1万1088戸と、3237戸縮まった。
戸数別で見ると30万戸以上は4社、20万戸以上は1社(合人社計画研究所)増えて8社、10万戸以上は2社(あなぶきハウジングサービス、伊藤忠アーバンコミュニティ)増えて15社に、5万戸以上は1社(東京建物アメニティサポート)増えて22社に、4万戸以上は1社(明和管理)増えて30社に、3万戸以上は37社、2万戸以上は合併で3社(ICUコミュ二ティライフ、西新サービス、あなぶきセザールサポート)減って、1社(大和地所コミュニティライフ)増えて48社になった。
分譲マンションのストックは昨年末時点で654万戸と見込まれる。上位15社の市場占有率は53.7%で昨年から0.7ポイント増加、グループ別上位15社で見ても61.2%で昨年から0.3ポイント増加し、市場寡占化が一段と進んでいる状況が窺われる。
ランキング順位で市場占有率で見ると、上位10社では43.7%(昨年43.8%)、20社で59.2%(同58.0%)、30社で66.5%(同65.1%)、40社で71.4%(同70.1%)。50社で74.8%(同73.8%)100社で84.7%(同84.0%)、200社で92,6%(同92.0%)、300社で95.9%(同95.3%)となった。ちなみに、上位3社で18.6%(同18.7%)、グループ上位3社で23.1%(同23.3%)だった。
◆◆
増加戸数ランキングを左表に示した。―省略)
1000戸以上増加させた会社は昨年と同じ32社となった。1位から3位までは合併効果が大きく寄与した。
◆◆
管理委託費見直しの動きが顕著になってきた。管理員や清掃員などの採用難、最低賃金アップ、社会保険関連費用アップ、そして働き方改革の推進などから、受託している管理組合に管理委託費の値上げを依頼する動きだ。適正な収益が確保できない場合は管理継続の辞退を申し出るケースも増えている。大手管理会社の中には、親会社が分譲するマンションの受託管理に徹底し、リブレイスで受託した他社分譲マンマンションは、管理組合に自ら解約を申し出ているところもある。
管理会社も管理コストの上昇を指をくわえて見ているだけではない。少しでも上昇コストを自社で吸収できるように事務の効率化に余念がない。例えば、組合会計の業務効率化を目指してウェブ通帳化を進めているところもある。通帳レスにすることで増え続ける通帳保管や外に持ち出しての通帳記帳などの業務をなくし、大幅な業務改善と金銭事故防止につなげている。
すでに6割までウェブ通帳化を進めている大手会社も。AI(人工知能)やIoTを駆使したシステムの開発・運用にも各社は力を入れている。

国を挙げてマンションの長命化が叫ばれているが、その達成には「継続的な維持管理」が欠かせない。管理組合と管理会社が知恵を出し汗をかいて良きパートナーシップを構築することが求められている。
◆◆

<管理会社上位15社の顔ぶれ (2019年)>

順位 前年順位 管理会社 受託戸数
1位 1位 日本ハウズイング 448,774戸
2位 2位 大京アステージ 428,633戸
3位 3位 東急コミュニティ 338,581戸
4位 4位 三菱地所コミュニティ 334,601戸
5位 5位 長谷工コミュニティ 275,084戸
6位 6位 大和ライフネクスト 265,512戸
7位 7位 三井不動産レジデンシャルサービス 205,426戸
8位 8位 合人社計画研究所 204,652戸
9位 9位 住友不動産建物サービス 190,721戸
10位 10位 コミュニティワン 190,721戸
11位 11位 日本総合住生活 160,977戸
12位 12位 野村不動産パートナーズ 159,784戸
13位 15位 あなぶきハウジングサービス 121,930戸
14位 13位 穴吹コミュニティ  107,889戸
15位 16位 伊藤忠アーバンコミュニティ 106,908戸


グループ別ランキング 
(G:グループの意味)

1位 大京G            536,522戸
2位 東急コミュニティG      525,434戸
3位 日本ハウジングG       449,677戸
4位 長谷工管理ホールディングス  394,651戸
5位 大和ハウスG         360,619戸
6位 三菱地所コミュニティ     334,601戸
7位 三井不動産レジデンシャルサービスG  258,671戸
8位 合人社計画研究所G      230,356戸
9位 住友不動産建物サービス    190,721戸
10位 日本総合住生活        160,977戸
11位 野村不動産パートナーズ    159,784戸
12位 あなぶきハウジングサービス  121,930戸
13位 伊藤忠アーバンコミュニティ  106,908戸
14位 日本管財G          95,415戸
15位 東京建物アメニティサポート  74,618戸

*マンション管理新聞:2019年(令和元年)5月25日付より抜粋

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