投稿日:2018年08月01日 作成者:右田 順久 (1553 ヒット)
東京都は7月18日、西新宿の都庁で「マンションの適正管理促進に関する検討会」の第4回会合を開いた。
各マンションの管理状況を把握し、状況に応じた助言・支援を実施するための管理状況報告制度を盛り込んだ「東京における分譲マンションの適正な管理の促進に向けた制度の基本的な枠組み」の中間まとめ素案の案を提示した。
案には、都や管理組合・区分所有者、マンション管理士・管理業務主任者らの役割も規定した。
都は適正な管理の促進を図るための必要な施策を推進し、施策を総合的・計画的に推進するための基本的な計画を定める。マンション管理に関わる者が適正に管理を行う際の基本となるべき「指針」も定める。
管理組合の役割には適正な管理の実施、区分所有者は管理運営への参加、マンション管理士・管理業務主任者は組合運営に対する助言・行政が実施する適正な管理促進のための施策との連携を掲げた。
管理状況の報告は、まず1983年以前に建築された6戸以上のマンションに、5年ごとの届け出を求める。届け出により管理状況を確認し、管理不全が疑われるマンションを把握、都は結果を管理組合に通知する。届け出がない場合、督促・指導を行い、管理組合らの協力を得た上で必要な調査を行う。制度開始後、届出状況を見ながら全マンションを対象とする、とした。当面届け出義務がないマンションも、届け出を行うことができる。
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都は今会合を踏まえて案に手を加え、9月12日の次回会合で再度議論する方針。その後、パブリックコメントを行う予定だ。
(マンション管理新聞:平成30年7月25日付)
投稿日:2018年07月07日 作成者:右田 順久 (1509 ヒット)
国土交通省は6月29日、2017年度下半期受注分、上・下半期合計受注分の建築リフォーム・リニューアル調査結果を発表した。
建設業許可業者5000者に対し、当該時期に元請けとして受注した工事について調査。17年度管理組合発注による工事工事受注高は5845億円(前年度21.4%減)。
住宅の用途別にみると、共同住宅に係る工事受注高は1兆6120億円(同11.1%減)。内訳は専有・専用部分5326億円、共用部分7713億円、専有・共用部分全部2902億円となっている。
同省では年間の主たる工事別受注件数を集計していないが、上・下半期のデータを基に算出すると、「劣化や壊れた部位の更新・修繕」が最多の664万8847件だった。
17年度下半期の管理組合発注による工事受注残高は2929億円(前年同期比(19.0%減)。住宅に係る工事受注残高1兆8606億円の15.7%を占めている。
用途別では共同住宅に係る工事受注高は7957億円だった。内訳は専有・専用部分2565億円、共用部分4061億円、専有・共用部分全部1246億円。
主たる工事目的別受注件数は、「劣化や壊れた部位の更新・修繕」が375万1327件でトップ。同31.1%増と大幅に増えた。昨年同様、「省エネルギー対策」が14万272件と続く。
(マンション管理新聞:平成30年7月5日付)
投稿日:2018年06月14日 作成者:右田 順久 (1780 ヒット)
国土交通省マンション政策室は5月24日、2017年末現在の分譲マンションのストック数を前年比10万6000戸増の644万1000戸と発表した。旧耐震基準ストック数は約104万戸。マンション居住人口は同25万人増の約1533万人で、17年の新規供給戸数は約10万6000戸としている。
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同日発表された築後30、40、50年以上の分譲マンション数は、築30年以上~40年未満は約112.0万戸(同2.3万戸増)、築40年以上~50年未満は67.6万戸(同8.7万戸増)、築50年以上は5.3万戸(同1.2万戸増)。
同省によれば、築40年以上のマンションは10年後には約2.5倍の184,9万戸、20年後には約5倍の351.9万戸となる見通し。
数値は3階建て以上、分譲の共同住宅で鉄筋コンクリート造等をマンションとし、建築着工統計などを基にして算出した推計値。
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データは同省ホームページ「マンション政策」ページで閲覧できる。
(マンション管理新聞:平成30年6月5日付け発行)
投稿日:2018年05月13日 作成者:右田 順久 (2483 ヒット)
マンションの大規模修繕工事の際、割高な代金で契約させられるなどトラブルが相次いでいることから国土交通省は各地の工事を調査し、5月11日に結果を公表した。調査対象は過去3年間に施工された944事例で、1戸当あたり「75万~100万円」31%で最も多く、「100万~125万」が25%、「50万~75万」が14%と続いた。(下に第34面記事=リベート横行)
同省のこうした調査は初めて。費用の目安を情報提供し、トラブルを未然に防ぐ狙いがある。分譲マンションは全国に630万戸(2016年)あり、約1500万が入居。大規模修繕な修繕工事はマンションの老朽化に伴い、住民による積立金を元に行われる。
同省は昨年5~7月、工事の実績が多いとみられる建築事務所や設計コンサルタントにアンケートを実施。回答が得られた134社の944事例を分析した。その結果、大規模な修繕は1回目が築13から16年前後で行われ、1戸あたりの平均は100万円。2回目は築26~33年前後で同97万9千円、3回目以降は築37年~45年前後で同80万9千円だった。
修繕工事はそれぞれの状況が異なり、相場が分かりにくいほか、マンションの管理組合と施行会社の間を取り持つコンサルタントの一部で、工事費を不適切につり上げるケースもあるという。国交省は昨年1月、悪質な例を紹介して管理組合に注意を促し、今回の調査に乗り出した経緯がある。
調査結果は同省のホームページで公開。マンションの規模ごとに概況を掲載している。また、事前に検討した方がいいポイントとして、▽過剰な工事項目・仕様などがないか▽戸あたり、床面積あたりの工事金額が割高ではないかーーなどを挙げている。
【管理組合自ら監視を】
住宅問題に詳しい吉岡和弘弁護士の話
大規模修繕工事では、事前に聞き出した積立金の額に合わせて見積もるなど、適正さが疑われるケースが多い。問題は設計コンサルだけではなく、マンションの管理会社でも知り合いの工事業者を使って高く見積もるケースがある。工事が適正か管理組合や住民が自ら監視していける手法を身に着けるのが大切だ。(以上、第1面の記事)
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「リベート横行 膨らむ費用」~マンション修繕コンサル、業者に要求~(以下、34面記事)
マンションの大規模修繕工事をめぐり、国土交通省が初の調査を明らかにした。
「相場」を示して管理組合に役立ててもらうほか、工事業者らにリベートを要求し、代金をつり上げるなど、一部の設計コンサルタントの行為に警鐘を鳴らす狙いもある。
大規模修繕をめぐる問題は、「マンションリフォーム技術協会」が一昨年、会報誌で訴え、注目されるようになった。国交省も昨年1月、同様の指摘をした際、「コンサルが自社にマージンを支払う施工会社が受注できるよう不適切な工作をして、管理組合に損失を及ぼしている」などの例を挙げた。
「何でこんなに高いのだろう」。横浜市内の大型団地で管理組合理事長を務める加藤統久さん(60)は3年前、修繕工事の見積書を見て疑問に思った。 事前の調べでは6億5千万円程度で済むと思っていたが、計10社から上がってきた見積もりは7億~9億円。確認すると、避難用はしごなど複数の設備で相場の倍の値段が計上されていた。落札する業者が決まっていて、費用をつり上げているのではーー。そんな疑問を胸に契約していたコンサルに質問を重ねたが、何を聞いてもはぐらかされた。数カ月後、200万余りの着手金を支払って解約。別のコンサルに頼むと当初の予想に近い金額で工事ができた。
設計事務所「シーアイピー」(東京)の須藤桂一代表によると、悪質なコンサルタントの手口はこうだ。 まず、安い料金を示して管理組合と契約。次に工事の受注業者を事前に決め、管理組合から聞き出した金額で見積もりを提出させる。そして、コンサルは受注業者からリベートを受け取るーー。「修繕工事の多くでリベートのやり取りがあり、工事費が膨れあがっているのではないか」と須藤氏はみる。
こうした不透明な取引は実際に散見される。関西の工事業者は20年間で手がけた100件近い修繕工事のすべてでリベートを支払ったと明かす。「払わないと、そのコンサルから仕事をもらえなくなる」 過大な見積もりを防ぐためにどうすればいいのか。須藤氏は「コンサルタントに業者の選定を任せないことが一番」とした上で、「管理組合もしっかりと情報を集め、工事の工程ごとに分割して見積もりを出させるなど工夫することが大切」と話している。
★大規模修繕工事に関する相談窓口
・公益財団法人「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」(0570・016・100)
・公益財団法人「マンション管理センター」(03・3222・1519)
(朝日新聞・平成30年5月12日付け朝刊:第1面及び第34面に掲載記事より)
投稿日:2018年04月07日 作成者:右田 順久 (1511 ヒット)
東京都は3月29日、マンションの適正管理促進に関する検討会(齊藤広子座長)の第1回会合を都庁で開いた。2018年度に創設予定の管理状況報告制度の方向性案が示され、課題や管理不全・不全兆候の判定などについて議論が交わされた。都が地元自治体と共同で16年度に実施した、同制度と基本情報登録制度の試行についての報告などもあった。
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案によれば、管理状況報告制度で義務付けられるのは、区分所有法が改正された1983年以前に建設されたマンション。都がおととし策定した「良質なマンションストックの形成促進計画」では対象として「旧耐震」「築40年以上」といった要件が例示されていたが、管理組合についての明確な規定がなかった旧法(1962年法)時代に建設されたマンションほど管理上の問題が多い、といった背景から、83年までに建設されたマンションを報告義務対象にした。報告義務から外れていても、管理不全の兆候があるマンションには報告を求める。
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「管理不全」かどうかは、ハード・ソフト面の状況から判断する。(下記に「管理不全」と判断する状況の例等)「管理不全の兆候」「管理不全」の定義については「維持・管理が適切に行われていない状態」、「維持・管理が適切に行われず、周辺にも悪影響を与えている状態」と、それぞれ例示された。報告内容は管理不全の兆候を判断するための情報とする。報告頻度については、数年ごとに定期的に行う。もしくは内容に変更があった際その都度報告を求める、などの考えが示された。当日委員からは、管理不全に陥ったマンションについて「リーダーの存在が必要。リーダーをつくっていくようなことまで踏み込まないと、立ち直らせるのは難しい」とする見解や、行政側が管理不全だと判断しても「管理不全と住民が思っていない場合もある」といった意見が上がった。会合は計6回を予定し、次回は5月14日。7月に中間まとめの素案を提示し、11月に最終まとめを行う。
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〚管理不全・管理不全兆候の考え方〛
【管理不全と判断する状況(例)】
<建物状況(ハード面)>
〇外壁が剥落し、隣家の通路に落下した。
〇エレベーターの点検をしておらず、目的階でドアが開かない可能性がある。
〇塔屋の高架水槽の劣化が激しく、水質検査もしていないため、居住者は購入した水を使用している。
〇強風時に屋上に野ざらし状態のアンテナの落下が懸念される。
〇外壁がツタで覆われており、ムカデが発生している。
<管理運営状況(ソフト面)>
〇共用部分の電気料金の滞納が発生し、電気供給の停止通告を受けている。
〇長期修繕計画がなく、不具合は各区分所有者が自己負担で、自分の関係のある箇所のみ修繕している。
〇清掃が十分されず、居住者の私物放置、たばこの吸い殻散乱、異臭発生など不衛生である。
〇敷地内に不法投棄と思われる家具や家電製品等のごみ、郵便ポスト周りにチラシ等が散乱している。
【定義(例)】
〇管理不全:維持・管理や修繕が適切に行われず、周辺にも悪影響を与えている状態。
〇管理不全の兆候:維持・管理が適切に行われていない状態。
【管理不全の兆候と判断する事項(例)】
次のいづれか一つ以上がない。
①管理組合、②管理規約、③総会開催、④管理費、⑤修繕積立金、⑥大規模修繕の実施
*以上検討会資料からの抜粋
(マンション管理新聞:平成30年4月5日付)
投稿日:2018年04月02日 作成者:右田 順久 (2285 ヒット)
一般社団法人マンション管理業協会(管理協、岡本潮理事長)は3月15日、今後5カ年の「中期事業計画2018~2022」を発表した。管理組合・居住者の資産・居住価値の維持拡大により寄与するため、総合的なマネンジメント手法の構築を進めるほか、管理業務主任者設置数・資格名の見直し、外国人労働者の受け入れも検討する。
計画では、基本目標として「マンション管理業の成長発展・社会的評価の向上」と「業界従業者の処遇の改善・社会的評価の確立」を提示。社会環境の変化に対応できる「総合マンション管理業」への発展を目指す。(文末に主な施策を記載)
◇
「マンション管理業の成長発展・社会的評価の向上」の施策は、①コンプライアンス体制の強化・深耕、②建物の高経年化に配慮した安全・安心な空間の提供、③居住者の高齢化等に配慮した快適に長く住み続けていくための専有部サービスの提供、④防災・減災への取り組み、コミュニティー形成の促進、⑤従来の管理会社の業務範囲から踏み出し、マンションごとの長計・バリューアップ・長命化提案や管理組合収益改善方法の提案を図る「マネジメント」サポート機能の強化、⑥マンション管理業の広報宣伝活動の促進、協会機能の強化ーで構成。
「業界従業者の処遇の改善・社会的評価の確立」は、⑦労働生産性の向上を意識した管理業務品質の維持向上、⑧法制度・税制度等への対応、⑨IT化の推進、⑩国際化への対応ーを提示した。
◇
①ではマンション管理業務共通見積書式の活用実態や浸透状況調査を通じた各書式の見直し・追加等の検討、②では会員の大規模修繕工事等の受注環境の実態を把握し客観的立場で受注できる枠組み造りの着手などのほか、管理協による長期修繕計画モデルを取りまとめる。共用部分等のバリュ―アップを含む修繕工事の提案や実施ができる環境を整備する。➂では認知症高齢者の研究会の発足、高齢化全般の課題に対する支援策を策定する。④では、大規模災害の発生時、管理会社の対応を後押しできるような新保険制度の組成を検討する。⑤は、「苦情解決事例集」の過去15年間の掲載事例を見直し・改定した「(仮称)事例集総集編」の発行、⑥では、管理協設立40周年事業や、管理受託シェアの拡大を図るための「協会入会基準規定」の管理実績要件の見直しの検討などを行う。⑦では、マンション維持修繕技術者について、より実践的な能力を習得させ、業務内容にふさわしい資格名称の検討や公的資格化を働き掛ける。フォローアップ研修を年2回にするほか、指定法人としてのマンション管理業樹自社向け研修では体験型の研修の新設などを掲げた。⑧では、関係当局に管理業務主任者の設置要件や名称の変更等を要請、⑨では、現場の高齢化と採用難による人手不足に対応するための方策を検討、⑩では外国人労働者の受け入れ、教育・研修体制等の環境整備を進める。法制度の調査や適した職種の検討を行う予定だ。
【計画で提示された主な施策】
★大規模修繕工事を客観的な立場で受注できる環境を整備。
★共用部分等のバリューアップ提案・実施ができる環境を整備する。
★管理協版の長期修繕計画モデルを作成(2019年度以降)。
★居住者の高齢化に伴う課題に対する支援策を策定(2021年度以降)。
★大規模災害発生時、管理会社の対応を後押しする新保険制度の組成を検討。
★マンション維持修繕G術者の公的資格化を働き掛け(2019年以降)。
★管理業務主任者の設置要件や名称変更等について働き掛け(2019年度)。
★外国人労働者の受け入れ、教育・研修体制等の環境整備。
(マンション管理新聞:平成30年3月25日付)
投稿日:2018年03月01日 作成者:右田 順久 (1711 ヒット)
団地型マンションの敷地売却制度が3月中にもスタートする。
昨年10月、「住宅団地の再生のあり方に関する検討会」(浅見泰司座長)で提示された制度案を基に国土交通省は昨年12月、マンション建替え円滑化法(マンション建替法)施行規則・基本方針に加え、「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」の改正案をまとめ、パブリックコメントで意見を募集。2月28日に開かれる検討会を経て、3月中に規則・基本方針を改正し、公布・施行する。
団地型における敷地売却制度構築について国交省マンション政策室は「2017年度中に終わらせる」とするが、「中間取りまとめをいつ行うかなど、その後の流れについては、次回の会議次第」と話している。
◇
意見募集は1月22日締め切り。2月20日時点での意見集計を同政策室に聞いた。
意見提出者数(団体含む)と意見数は共に「数件程度」。意見内容は「団地内の全棟で手続きを同一化すべき」など、改正案に盛り込まれている点の提示などが多く、「具体的に中身に踏み込んだものはなかった」と話した。
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団地型の敷地売却制度は、団地内の全棟が耐震性不足と認定された場合に適用対象となる。全ての棟で5分の4の決議を行うことが必要だ。規則の改正案では、買受け計画の申請を規定する53条を見直し、他棟の買受け計画の認定申請を行う予定時期を追加することとしている。同一団地内の全要除却マンションが確実に買い受けられ、かつ除却されるようにする狙い。別記様式18の買受け計画書も他棟の認定申請予定時期を記載できるよう改正する。
基本方針は全ての棟で敷地売却組合を設立することなどを加える。ガイドラインは、再生方針決議や売却推進決議等は一般的に団地管理組合の普通決議で行う旨、法に基づく手続きは団地全体での合意を前提とし、各棟で進める旨を明記するなどの改訂を行う。
(マンション管理新聞:平成30年2月25日付)
投稿日:2018年02月18日 作成者:右田 順久 (1526 ヒット)
公益財団法人マンション管理センターは2月13日、「住宅宿泊事業(民泊事業)関係資料集」を発刊した。
法関係では住宅宿泊事業法・同法施行令・施行規則や関係告示に加え、国土交通省が昨年12月に公表した「民泊の安全措置の手引き」「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」、旅館業法を収録。
分譲マンションに特化した資料としては昨年8月に改正されたマンション標準管理規約とパブリックコメントの結果、昨年9月~11月に同センタが主催した「住宅宿泊事業法公布に伴う『マンション標準管理規約』改正についての解説セミナ―」の講演資料をまとめている。
おととし11月の国交省住宅局長通知、昨年10月の内閣府地方創生推進事務局通知に加え、国家戦略特別区域法など、特区民泊についての資料も盛り込んだ。
同センターは「民泊を認めるのか、認めないのか検討し議論いただくための資料集」だとしている。定価税別500円、同センター通信購読会員は450円、登録管理組合には無料送付済み、登録組合が別途購入する場合は450円。A4版、361頁。問い合わせは同センター出版部☎03(3222)1535へ。
(マンション管理新聞:平成30年2月15日付)
投稿日:2018年01月18日 作成者:右田 順久 (1966 ヒット)
国土交通省・厚生労働省は12月26日、住宅宿泊事業法の解釈や留意事項をまとめた施行要領(ガイドライン)を公表した。
管理規約に民泊を禁止する規定がない分譲マンションで事業を行う場合に事業者が提出する書類として、「誓約書」が示された。
同法施行規則では、分譲マンションで事業を実施する場合に専有部分の用途に関する管理規約の写しの提出を義務化。規約に規定がない場合は「管理組合に民泊を禁止する意思がないことを確認したこと」を証する書類の提出を事業者に求めている。
「誓約書」には、管理組合に事業実施を報告した年月日、報告した管理組合の役職・指名、当該マンションでの民泊に関する決議の有無などを記載する。報告書の相手は理事長などの役員に行う。
誓約書以外に、同法成立以降の総会・理事会で民泊を禁じる意思表示が行われなかった場合、当該総会・理事会の議事録も「民泊を禁じる意思表示を行っていないことを証する書類」として認める。
ガイドラインでは「民泊を禁止する意思がない」とは、総会・理事会で民泊を禁じる決議が行われていない場合を指す、としている。
規約における民泊の禁止規定については「宿泊料を受けて人を宿泊させる事業」など「住宅宿泊事業を包含する事業を禁止する場合も含む」とし、「一定の様態の事業のみ可能とする規約の場合はそれ以外の様態は禁止されていると解される」との考え方を示した。
同法の対象となる住宅については「現に特定の者の生活が継続して営まれている家屋」や休日のみ生活しているセカンドハウスなど「生活の根拠としては使用していないが随時居住の用に供されている家屋」などを規定しているため、使用履歴が一切ない民泊専用の新築投資用マンションは「対象外」とした。
パブリックコメントで具体的な取り扱い例を示すよう求められていた標識の掲示場所は、共同住宅の場合、個別の住戸や共用玄関、集合ポストなど「公衆が認識しやすい箇所」が望ましいとした上で、分譲マンションの場合「あらかじめ管理組合と相談する」のが望ましい、とした。
(マンション管理新聞:平成30年1月15日付)
投稿日:2017年12月19日 作成者:右田 順久 (1547 ヒット)
マンション管理組合の理事会で選んだ理事長であれば、理事会で解任できる—-。解任は不当と訴えた元理事長の裁判で18日、最高裁は初判断を示した。理事長の解任は、国土交通省が作成した管理規約のひな型に記載がなく、活用する多くのマンションに影響を与えそうだ。
問題になったのは福岡県のマンションのケース。理事長の男性が管理会社を競争で決めるべきだと謡えたところ、理事の反発を受け、欠席した理事会決議で解任された。男性は「理事長を理事会で解任できる、との定めはない」と訴えていた。
判決は、このマンションの管理規約に「理事の互選で理事長を選任できる」との定めがある点に注目。総会で選ばれた理事の過半数の意見で、理事の解任もできると認めた。その上で「解任できない」とした一、二審判決を破棄し、理事会の手続きが適切だったかを判断するため、審理を高裁に差し戻した。
全国の多くのマンションは、国交省作成の「標準管理規約」を参考にしている。だが、この規約には理事長を解任できるとは記されていない。同省は「必要があれば規約の見直しを検討をする」という。
日本マンション学会の折田泰宏弁護士は「会社の代表を役員会で選任、解任できるのと同じで、常識にかなった判断。総会を開くには時間や労力がかかるため、理事会で素早く対応できる方が実務にも合う。今後、標準管理規約にも、解任について明記されるようになるだろう」と話した。
(朝日新聞・朝刊:平成29年12月19日付)