携帯電話基地局設置による賃料収入は『収益事業に該当』~国税庁・ホームページで注意喚起~
移動体通信業者と契約を結び、屋上に携帯電話基地局を設置し収入を得ている管理組合が、税務署から所得の“申告漏れ”を指摘されるケースがここ1,2年増えている。国税庁は、こうした収入は「法人税法上の収益事業に該当する」として、法人税の課税対象になるとホームページ上で告知している。
告知がホームページに掲載されたのは、国税庁によれば7月25日。税法・解釈などに対する対する国税庁の解説・見解等を示す質疑応答事例」に、携帯電話基地局設置に関する項目を加えた。題名は「マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定」。掲載理由について国税庁課税課監理2係は「こうした案件について、一部の管理組合で申告漏れが数件あった。同様の取り引きが多数見込まれるということで、注意を喚起した」としている。
事例では、携帯電話基地局の設置について業者と建物賃貸借契約を結び、設置料収入を得ることになったが、設置料収入は「法人税法上の収益事業に該当するのか」と質問。質問に対しては、管理組合などの「人格のない社団」に対する法人税は「収益事業から生じた所得のみに課される」と解説した上で「管理組合が賃貸借契約に基づいてマンションの一部を他の者に使用させ、対価を得た場合には収益事業たる不動産貸付該当する」と回答した。「収益事業から生じた所得には法人税が課税される」と結論付けている。
設置料収入は消費税の課税対象にもなる、とした。告知では、前々年度の課税売上高が1000万円以下の場合は当該課税期間、つまり前年度の納税義務は免除されると解説している。ただ昨年1月以降に事業を始めた場合は、前々年度の課税売上高が1000万円以下でも、前年度の事業開始から6か月間の課税売上高が1000万円を超えれば課税対象になる、としている。事例は国税庁ホームページの「税について調べる」→「質疑応答事例」→「法人税」の収益事業項目に掲載されている。
今回の注意喚起は、携帯電話基地局の設置で管理組合が得る賃料収入に対して税務署のチェックが入るケーㇲが増えていることを示しているといえそうだ。そうしたチェックで申告が行われていない実情が認識され、注意喚起につながったと考えられる。
(マンション管理新聞:8月5日付)