「『標準』の基本を逸脱」~大幅な見直しを要望<マンション学会>管理ルール検討会報告書に意見~
一般社団法人日本マンション学会は(梶浦恒男会長)は6月22日、国土交通省が5月8日に公表した「マンションの」新たな管理ルールに関する検討会報告書に対する意見を発表した。外部専門家活用やコミュニティ条項等に関する報告書の記述を「不適切」と指摘。報告書記載の標準管理規約パブリックコメント素案の内容では「標準という名がつく管理規約の基本を逸脱」するとし、11項目にわたり大幅な見直しを求めている。
意見では、役員を外部の専門家に委任する、いわゆる「第三者管理」を想定した改正としては「おおむね適切な内容」と一定の評価を与えたが、区分所有者による理事会・総会方式で行う一般的なマンションを対象にしている箇所は「管理実態を踏まえていない」と批判。
報告書で示された内容は「委任型標準管理規約」として位置づけるか、一般的なマンションを対象とする場合は「管理実態に即して大幅に見直す」よう求めた。
一般的なマンションに適用する場合の問題点として、まず報告書管理組合を「財産管理団体」と強調している点を「偏った法的理解」と批判。管理組合には「物的価値のみならず居住価値の維持」という両面の役割があり、後者の重要さを強調した。
外部専門家活用では、本来役員のなり手不足対策として「持ち回り、コミュティー形成、責任の軽減、管理会社の役割等」の観点からの工夫が必要だとして、報告書は「その視点が決定的に欠落している」と批判している。
利益相反行為は問題意識に理解を示しつつ、「集団の意思決定の中で解決する問題」だと結論付けた。報告書の「過度に誇張」した内容では理事の活動を委縮させ、「理事や委員の事態につながる懸念」があるとして、規約改正ではなくガイドラインでの対応を求めた。
理事会の親族による代理出席を否定している点は、「行き過ぎ」で、不要な混乱を引き起こすと危惧。株式会社の役員会と管理組合の理事会を同一視する発想は「不適切」だとしている。コミュニティー条項では、報告書の記述に「誇張」が含まれ、援用する法律論は「偏り」があり、「不適切」だと指摘。2007年9月20日の東京高裁判決等でコミュティー活動の必要性は認められており、コミュニティー活動を行う管理組合を違法と認めた判例はないことに触れ、コミュニティー条項削除案の撤回を求めた。
その他駐車場使用方法は「特定の方法を推奨するような書きぶりは不適切」だと指摘。専用部分修繕や共用部分保存行為についてはマニュアル検討の必要性に言及した。意見はホームページで公表している。
(マンション管理新聞:平成27年7月5日付)