管理規約案提示も<国交省>トラブル回避へ検討~「民泊」新法では住宅の位置付け~
年内にも法案が提出される見込みの「民泊新法」の施行に際し、国土交通省が民泊関連の管理規約を提示することを検討している。
新法による民泊は「住宅を活用した宿泊サービス」と位置付けられており、現行のマンション標準管理規約における専有部分の用途変更だけでは、条文解釈をめぐって混乱が生じる可能性もある。同省は「専ら住宅~」という現行規定の解釈について専門家の意見を聞くなどする一方、トラブルの最小化を目的に分譲マンションで「民泊を認める場合」「民泊を認めない場合」それぞれの管理規約案を提示したい考えだ。
厚生労働省と観光庁が6月20日に開いた民泊サービスの在り方に関する検討会。この日で最後になった会合では、民泊サービスの制度設計の在り方についてまとめた最終報告案が提示され、承認された。22日には正式に報告書として公表された。
報告書は3月に示された中間報告を踏襲した内容。年間の提供日数に上限を設けるなどといった「一定の要件」を満たす「住宅」で宿泊サービスを行う場合、旅館業法の適用を受けず、インターネットによる届け出や登録で民泊を行えるようにする。
サービスの形態は住宅提供者が居住しながら一部を利用者に提供する「家主居住型」と、提供者が不在の「家主不在型」を想定している。いずれも分譲マンションの場合は「管理規約に違反していない」ことの確認を求める。ただ、新法による民泊は「住宅」を活用した民泊サービスと位置付けられている。会合終了後、検討会の事務局サイドは「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」と規定するマンション標準管理規約の「専有部分の用途」について、「現実には住戸に小さなオフィスがある職場兼住居というケースもあり、判断が分かれる可能性もある」とコメント。「今後も分かり易く整理したい」と、現行規定が新法による民泊を認めていないかどうかの解釈については明言を避けた。
国交省マンション政策室は「行政法上の『住宅』と、当事者間の合意内容にもよるが、管理規約のような民事上の契約における『住宅』の扱いはまた別」としている。ただ、今後立法化が進む中で規約解釈をめぐり、トラブルになる可能性もあることから、現行条文の解釈の掘り下げに加え、民泊関係の管理規約案を提示したい考えだ。(マンション管理新聞:平成28年6月25日付)