民泊の可否 条文整備(標準管理規約改正・国土交通省)~新築時の原始規約 細則委任も想定~

投稿日:2017年09月08日 作成者:右田 順久 (1868 ヒット)

国土交通省マンション政策室は8月29日、マンション標準管理規約・同コメントを改正し、公表した。6月9日に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)を踏まえ、民泊事業の可否を定める条文を整備した。
6月19日に示された改正案から大きな変更はなかったが、新築時の原始規約においては民泊の可否について「使用規則に委任しておくこともあり得る」旨の考えをコメントに追加した。

改正は単棟型に加え、団地型、複合用途型で行われている。民泊の可否を定める規定は12号2項として整備された。昨年11月に提示された「特区民泊」の可否を定める条文例も12条2項として想定されているが、標準管理規約の改正という形で提示されていないためか、条文番号はついていなかった。条文・コメントともに、改正案とほぼ同じ内容だが、新築時に原始規約で民泊の可否について使用細則に委任しておくこともあり得る、とする考えを12条関係のコメントに追加した。民泊を認める場合の標識の取り扱いについて記した18条関係のコメントも「標識」を「標識の掲示場所等」に改め、別添4「管理情報提供様式に記載のある項目例」の専有部分使用規制関係にも民泊の可否を追加している。この2点は、いずれもパブリックコメントに寄せられた意見に配慮して行われた変更だ。

6月19日から7月18日まで1カ月間行われたパブリックコメントには、1120件の意見が寄せられた。団体を含む意見提出者数は、,294件と、前回改正時における760件・125を大きく上回った。最も多かった意見は「専有部分の用途等」で289件。法施行に間に合わない場合の対応や考え方を明らかにするよう求めたり、「特区民泊が含まれるのかどうかが不明」「特区民泊、民泊新法、旅館業法、シェアハウスをそれぞれの項として掲げる必要がある」といった意見が挙がった。規約で民泊を制限できるのは「せっかくの新法が完全な骨抜きになる」との意見もあった。
マンション政策室は「届け出の際に民泊を禁止する旨の管理規約などないか確認したい」とした上で、規約の改正までには一定期間を要することから「総会・理事会決議を含め、管理組合として民泊を禁止する方針が決定されていないことを届け出の際に確認する予定」だとした。特区民泊については、特区民泊の可否を定めるよう求めた。「専有部分の貸与」には269件、その他全般に関する事項や改正事項以外に係る意見として297件が寄せられた。民泊の賛否については「あくまで感覚的な話で、具体的2何割くらいとはいえないが、どちらかといえば反対的な意見が多かった」(マンション政策室)としている。
(マンション管理新聞:平成29年9月5日付)


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