年度内に公布・施行へ・管理状況届け出、来年4月から<東京都>~『管理不全』予防へ条例案~
1983以前に新築された、6戸以上の分譲マンション管理者に管理状況の届け出を義務付ける東京都の条例案が2月20日に閉会した都議会定例会に提出された。
本会議での議案説明、常任委員会での審議を経て、3月28日の本会議で可決・成立する見通しだ。都によれば、年度内の公布・施行を見込んでいる。管理状況届け出制度は、来年4月1日にスタートする予定だ。
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条例案で「都知事が定める」とされた、「管理不全」を予防し適正な管理を実現するための施策を具体化・推進するための総合的な計画、管理の適正化に関する指針は、新年度に入る4月以降に策定・公表する。
条例案の作成に先立ち都が行った意見募集(パブリックコメント)には13通・50件が寄せられた。管理組合だけでなく、理事会の定義を求める意見もあり、都は理事会の役割等について「指針において記載することを検討する」旨の考え方を示した。
条例は分譲マンションの管理不全を防ぎ、適正な管理を促進するのが主な目的。関係者の協力のもと、管理主体の管理組合に対して「行政が積極的に関わり」と明文化している点が特徴だ。東京都に加え、管理組合・区分所有者、マンション管理士、マンション管理業者、分譲事業者の責務を規定した。罰則規定はない。
管理組合の責務は、管理の主体としてマンションの適正な管理・社会的な機能の向上に向けて取り組むよう努めなければならない、と規定されている。区分所有者は、「管理組合の運営に参加するよう」求められている。管理組合の留意事項として、管理状況の届け出項目に当たる運営体制の整備、管理規約の設定、総会開催と議事録作成、管理費・修繕積立金の額・徴収方法の規定、修繕の計画的な実施が定められた。管理状況の届け出は、原則的にマンションの管理者が行う。届け出対象外でも任意の届け出はできる。
知事は必要な範囲でマンションの調査、助言ができる。届け出がない場合や内容が事実と異なる、助言だけでは管理状況の悪化を防ぐことが困難なときは指導・勧告ができる。条例案では、すでに同趣旨の管理状況届け出制度を運用している自治体は都の制度の対象外になる、と定めたが、各自治体は都の制度適用を求めることも可能だ。
(マンション管理新聞・平成31年2月25日付)