新築物件(2010〜19年)の管理費等の推移を調査<東京カンテイ>〜首都圏は10年で積立金2割増〜
東京カンテイ(本社東京、長田千江美社長)は5月7日、2010年〜20年に発売された新築マンションのランニングコスト推移を調査・分析し、結果を公表した。首都圏では10年から19年の管理費は18.4%、修繕積立金は2割以上、それぞれ上昇している。
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東京・神奈川・千葉・埼玉の首都圏で10〜19年に発売した新築物件の管理費・修繕積立金・修繕積立基金・駐車場使用料(表は省略)を示した。管理費・積立金・基金は1戸当たりの単価を基に専有面積70平方メートルに換算した数値を使っている。調査は近畿圏、中部圏、地方4市も対象に行っており、3大都市圏では階数・戸数規模別の集計も行っている。
首都圏では10年、月額1万6116円に設定されていた管理費は、19年には1万9085円と18.4%上昇。同様に修繕積立金は6410円から7826円と22.1%上昇している。
管理費と積立金を足した、月々のランニングコストは2万2526円から2万6911円と4385円上がった。
19年における1平方メートル当たりの月額は管理費272.6円、積立金111.8円という結果になった。
修繕積立基金は41万9913円が60万7811円と18万7898円、駐車場使用料は2万280円が2万3563円と3283円、それぞれアップしている。基金は44.7%と1.5倍近く上がったことになる。
管理費・修繕積立基金は15年以降4年連続で上昇している。管理費は19年、前年の1万7838円から7%も挙がった。新築物件の坪単価は12年以降上がり続けており、東京カンテイでは「新築価格と管理費・修繕積立金との相関性が確認でき、新築価格と連動して管理費・積立金が推移している」とコメントしている。
15年以降の管理費、16年以降の積立金の値上がりについては「大手不動産業者の供給システムが年々拡大し、相対的に維持管理コストがかかるハイグレードマンションの比率が高まったため」と分析した。
また、昨今問題になっているマンション管理業界・建築業界の人手不足による人件費、あるいは建築資材の高騰などによって、修繕工事費用など「建物の維持管理にかかる費用そのものが値上がりする状況にあることが深く影響しているものと考えられる」と推測している。
積立基金の上昇については「積立金の設定額が十分な金額に達していない」。このため「基金でカバーする動きが出ている」と分析した。業者の販売戦略として、融資返済額・管理費・修繕積立金といった「入居当初の月々支払い額を極力抑える工夫を凝らしているため、この影響が基金の大幅な上昇に影響した」との分析も加えた。
(マンション管理新聞:令和2年5月15日付)