『管理状況届け出制度』約4割が届け出完了<東京都>〜9月30日に提出期限、「そこそこ順調」と評価、年内にも督促へ〜
今年4月にスタートした東京都の管理状況届け出制度が9月30日、届出期限を迎えた。10月12日時点の届け出数は、都マンション化によると全体の約4割。届け出義務対象は約1万4000棟だとしており、おおむね5600棟が届け出を行ったことになる。
未届けマンションには管理組合・区分所有者への報告を求めたり、職員が調査をできることになっているが、まず督促などで自発的な届け出を促す考えだ。
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マンション課は約4割という届け出状況を「そこそこ順調だ」と評価する。同様の制度を先行実施している豊島・板橋の2区では、届出数が5割に達するまでに1年を要した点が、半年で4割という結果に一定の評価を与えた要因となっている。
届け出は都の「マンションポータルサイト」から行うか、最寄りの自治体に書類を郵送・持参することになっている。マンション課は「正式な数は精査中で未確定」としたうえで、比率としては、オンラインによる届け出が多い」としている。
見届けマンションについては「管理組合がないケースも考えられる」とする一方、コロナ禍で総会の開催が遅れ、届出の承認・報告など行えないため未届けになっているマンションのあるのでは」とも。「今後も地道に、丁寧に粘り強く届け出を呼び掛ける」としている。
都条例では「正当な理由なく届け出がないマンション」には管理組合・区分所有者に報告を求めたり、職員らによる調査ができるようになっている。都知事による指導・勧告も認められている。こうした措置を取るかどうかは特別区の場合、各区の判断に委ねられている。都マンション課は「区市町が年内に1回は督促して貰うことを想定している」(同)届け出を促すために積極的な周知活動を行う方針で、都の広報紙でのPRなども検討しているという。管理状況の届け出対象は1983年以前に建築された6戸以上の分譲マンション。届け出義務がないマンションによる、任意の届け出も認めている。任意の届け出は10月12日現在、「20〜30棟前後ある」(同)
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都内23区26市のうち要届け出マンション棟数上位10区・上位3市に、届け出済みがどの程度に達しているか尋ねた。(下記表を参照)
上位10区では、世田谷区・杉並区・品川区・目黒区・板橋区の届け出率がそれぞれ4割強。最も高いのは世田谷で48.5%。上位3市では、多摩市が64.3%で6割を上回っている。
要届け出マンション数最多の世田谷区(1285棟)は、届け出期限の9月30日現在で623棟の届け出があった。今後は「早ければ10月中に督促を目指している」(居住支援課)。一方新宿区は10月に広報紙で周知活動を行ったが、コロナ禍での総会延期等を考慮し「督促は様子見する」(住宅課)。ただし、「管理不全」の兆候があるなどと判断したマンションへの指導は、「今年度中に実施したい方針」だ。
八王子市は11月から督促を開始する予定で「さらに出てこない場合は3月頃に再度督促する」(住宅政策課)
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【東京都の上位10区・上位3市の届け出状況】
順位 | 自治体名 | 要届け出マンション数 | 届け出マンション数 | 届け出率(%) | 日付 |
1 | 世田谷区 | 1285棟 | 623棟 | 48.5% | 9月30日 |
2 | 港区 | 970棟 | 約320棟 | 約33.0% | 10月6日 |
3 | 渋谷区 | 936棟 | 237棟 | 25.3% | 9月30日 |
4 | 新宿区 | 約900棟 | 約250棟 | 約27.8% | 10月6日 |
5 | 大田区 | 約750棟 | 4割弱 | ― | 10月13日 |
6 | 杉並区 | 695棟 | 297棟 | 42.7% | 10月7日 |
7 | 豊島区 | 649棟 | 182棟 | 28.0% | 10月7日 |
8 | 品川区 | 603棟 | 264棟 | 43.8% | 9月30日 |
9 | 目黒区 | 593棟 | 251棟 | 42.3% | 10月7日 |
10 | 板橋区 | 583棟 | 278棟 | 47.7% | 10月8日 |
15 | 多摩市 | 395棟 | 254棟 | 64.3% | 9月30日 |
19 | 八王子市 | 247棟 | 131棟 | 53.0% | 10月8日 |
22 | 武蔵野市 | 184棟 | 79棟 | 42.9% | 9月30日 |
(マンション管理新聞:令和2年10月15付)