監事になったが一体どのようなことをすればよいのでしょうか?

投稿日:2015年04月30日 作成者:右田 順久 (4846 ヒット)
相談内容

2年前、都内の一戸建の住宅から郊外の分譲マンション(築18年、戸数58戸)を購入し、家族4人で引っ越してきて自然豊かな環境の暮らしにも満足し暮しております。
ところが、今年、役員輪番制で初めての管理組合の監事を任されることになりました。気軽に引き受けたものの、実は“マンションの監事”ってどのようなものか、全く知らないので戸惑っています。どのような仕事をすればよいのか、教えていただけませんか。

回答

・一言で云えば、管理組合の監事とは、管理組合の業務が適切に行われているかをチェックする大切な役目を担っています。総会で選出される管理組合の役員の一人ではありますが、理事会の構成員ではなく、独立した立場として監査の業務を行います。

・標準管理規約(第41条第⒈項)に「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況監査し、その結果を総会に報告しなければならない」と業務の規定がされています。 (おそらく、貴方のお住いの管理組合の管理規約に同様の規定があると思います) そのためには、まず理事会に出席して月次業務報告をはじめ、共有の建物、付属施設などの維持管理に管理費が適切に支出されていること、そのための理事会の協議を経た執行状況等を確認することが必要です。必要であれば専門委員会にも出席します。
・また、監事は理事会(業務執行機関)には属しないので、上記の業務執行の協議などでの賛成・反対の表明はできませんが、管理組合の運営が適切に行われるよう、「監事は理事会に出席して意見を述べることができる(同41条第3項)」とされています。
・そして監事の権限(あって欲しくはない伝家の宝刀)として、「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認められるときは、臨時総会を招集することができる(同41条2項)」という意思決定機関(総会)の招集を行うことができるという、組合員のための重要な役目をもっていることを意味します。

・なお、区分所有法の規定の中に、管理組合の監事についての規定はありません(第6節:管理組合法人には監事の規定があります)が、組織(例えば会社)や団体(社団法)の監査役や監事と同じように内部牽制の為の役割とも共通する重要な役割です。
・共同生活を営む同じ組合員同士のことではありますが、分譲マンションのより良い管理運営の為の意識を持ちつつ、これからの任期での監事の仕事を頑張ってください。

補足コメント

①財産の状況の監査である会計業務の監査については、自身の仕事の経験からイメージがつかめるが、管理組合の業務の執行に関しては、どういう事柄に、どのようにチェックするのかよく分からない、という場合もあるかと思います。
そういった場合には、分譲マンションの組合運営についての国家資格の専門家であるマンション管理士をご活用されることもお勧めします。
ご相談だけではなく、マンションの実状に即し、管理組合の役員(理事会、監事)に対してのさまざまな、具体的な助言やサポートのご提供をすることが可能です。

②また参考となる資料として、例えば「マンション管理標準指針」を参照されることも各業務の状況の確認に役に立つかと思います。
*「マンション管理標準指針」:国土交通省から示された標準管理の指針(平成17年12 月)で、マンションの維持・管理のため、「何を」「どのような点に」留意すべきか、いわばマンション管理の重要事項に関する標準的指針のこと。

以下、国土交通省のHP参照
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071215_.html

http://www.mlit.go.jp/common/001080787.pdf

注:ここにご紹介しております相談事例につきましては、秘密保持義務(マンション管理適正化法第42条)遵守の関係から当事務所に寄せられた直接的内容のものではございません。

 


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