敷地内の樹木が伐られましたが、総会に諮らなくてもよいのでしょうか?
- 相談内容
初めて理事しています。うちのマンション(団地型210戸、築18年)の敷地内道路沿いの樹木の大木170本のうち40本が、昨年、総会の決議も諮られることのないままに、植栽委員会によって伐採(所謂、間伐・間引きのこと)されてしまいました。
住民の中にはマンションを購入する際に「これらの樹木の風情が気に入り購入したのに勝手に伐るのは組合員に諮らずやるのは何事だと、怒った人もいたそうです。
毎年替わる理事会メンバーに対して、この委員会は当初から同じ顔触れです。植栽委員会の性格、状況は、私もよく知りませんが、次の2点から教えて下さい。①敷地内の樹木の伐採は、標準管理規約に規定される共用部分等の変更に当たるとも考えられるので、樹木を伐るのも総会決議が必要なのではないでしょうか。
②植栽委員会は、委員会だけで単独で決めて実施できるものなのですか。- 回答
①の共用部等の変更かどうか、総会の決議の要否について
1.標準管理規約第38条関係コメントによれば「例えば、植栽による日照障害などの日常生活のトラブル防止の対応として~中略〉~植栽の伐採などの重要な問題に関しては総会決議により決定することが望ましい」とされています。
2.今回の樹木の伐採は、理事会決議がなかったとのことですが、専門委員会は理事会の諮問機関ですから、区分所有者が共有している樹木を伐ることを、理事会に諮らずに自分達の判断だけで勝手に行うことはできません。理事会では承知していた可能性もありますので、昨年の理事会の状況を確認してみてください。
3.樹木の伐採が共用部分等の変更にあたるかどうかの判断は、今のところ判例もないようです。総会決議にかけるべきか否かの判断は難しいと思われますが、理事会は共用部分等の変更(形状及び効用の著しい変更)ではなく、管理(区分所有法第18条)にあたると判断したのかもしれません。ちなみに管理組合の共用部分等の管理については、原則として総会の決議が必要ですが、規約で別段の定めをすることができる(同法第18条2項)とされていますので、規約を確認してみてください。②の専門委員会の位置づけ、設置、役割について
・専門委員会は、理事会がその責任と権限の範囲において設置する理事会の下での諮問機関の位置づけです。委員会の設置する場合には、目的、任期(→独走・マンネリ化防止)、業務内容、人員等を細則で規定しておくことも大切です。- 補足コメント
マンションでの植栽状況により、ルールや管理方法も異なると思いますし、住民の植栽への関心・考えも様々です。後になって問題化しないためには、理事会は組合員の意向を把握しながら、事前に了承を得てから行うことが必要です。
また 植栽の管理にあたって、次の点にも留意したいものです。
(1)植栽管理の年間計画(種類・剪定方法・予算等)
管理組合の総会の事業計画の中に入れて組合員の承認を得ておくこと。
(2)植栽台帳による維持管理(費用面での把握も)
年月を経た樹木の維持費用は予想以上に増加するための費用検討も必要。
注:ここにご紹介しております相談事例につきましては、秘密保持義務(マンション管理適正化法第42条)遵守の関係から当事務所に寄せられた直接的内容のものではございません。