駐輪場の使用者名簿を理事長は個人情報保護を理由に開示しないのですが・・・
- 相談内容
私は戸数82戸(築16年)のマンションに住む一組合員です。駐輪場は台数が少く、従来は誰がどのスペースを使用しているかなどの状況を、理事会からの報告書でも明らかにされていました(全戸配布)。ところが今期から「個人情報の保護」を理由に、使用者の詳細が一切開示されなくなりました。区分所有者である以上、またマンションで生活するうえで、知る権利があると思いますが、理事会にどう申入れたらよいのでしょうか。また個人情報に関する扱いと対応についてアドバイスをお願いします。
- 回答
規約がマンション標準管理規約に準拠していれば、組合員が理由を付した書面により理事長に請求をすれば、使用者名簿の閲覧を請求することは可能です。
(個人情報保護法について)
・個人情報保護法は平成15年に制定されました。個人情報とは「生存する個人に関する情報で、その氏名、生年月日等が、記述等により特定の個人を識別できるもの」を言い、使用者名簿が氏名、住戸番号、駐輪スペース番号等が記載され、利用者(使用者)が特定できる情報であるとすれば、個人情報にあたります。
・しかし個人情報保護法は、個人情報データベース等を事業の用に供する者で、過去6ヶ月のいずれの時点においても5千人以下の者(事業者も)に対して適用されません(同法第2条第3項、同法施行令第2条)ので、原則として適用の対象外です。
また消費者庁の「個人情報保護法によくある質問と回答」では「 NPO法人や自治会、町内会、同窓会のような非営利の活動を行っている団体などは、5千人を超える者で構成される組織は少ないことから、個人情報取扱事業者には該当しないことが殆どである」と回答しております。(大手管理会社は適用される場合があります)(個人情報保護法とマンション管理との関係)
・駐輪場の使用細則があり使用者名簿があるとすれば、標準管理規約第64条(帳票類の作成・保管)の対象となりますので、組合員又は利害関係人による使用者名簿の閲覧請求について、理事長は正当な理由がある場合を除いて拒否はできません。
・しかし管理組合は個人情報保護法の適用は受けないとしても、法の基本理念の「個人情報は個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきことを鑑み、適正な取り扱いが図られなければならない」とされており、理事会として個人情報の管理、取り扱いについて漏洩等がないよう細心の注意をもって臨むことが大切です。
・一方、組合員にとって大事なことは自分達の情報がどのように取り扱われているのか、取り扱われるべきなのか、について関心を持ち、管理組合の組合員相互で了解されていることにも留意する必要があります。- 補足コメント
昨今は、防災・高齢者の対策などから、組合員及び住民の個人情報を管理組合として把握しておくことも求められております。当然ながら管理組合はこれらの名簿などを十分注意して管理することが重要です。
注:ここにご紹介しております相談事例につきましては、秘密保持義務(マンション管理適正化法第42条)遵守の関係から当事務所に寄せられた直接的内容のものではございません。